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イタリア国内では、ITALO(イタロ)のブランドで知られるヌオーヴォ・トラスポルト・ヴィアッジャトーリ(伊語:Nuovo Transporto Viaggiatori/略名:NTV)とトレニタリア(伊語:Trenitalia/略語:FS)とおもにふたつの民営の鉄道会社が運行しています。イタロは、大都市を中心にフェラーリのカラーで塗装された高速鉄道の運行を目的とした民営の鉄道会社ですが、一方のトレニタリアは、イタリアの国鉄(伊語:Ferrovie dello Stato/略名:FS)の列車の運行業務を受け継いでいる鉄道会社で、イタリア全土をほぼカバーしています。なお、トレニイタリアは、日本に置き換えるとJR(名称:Japan Railway)と同じ位置づけと考えればわかりやすいかもしれません。
今回は、イタリア版の「Go to キャンペーン」の支援を受け、オーストリアとの国境を隣接する北部の町「ボルツァーノ(伊語:Bolzano)」を訪れたときにトレニタリアを利用しましたので、そのときに垣間見られた新型コロナウイルス対策を紹介します。
暑い季節に冷房のきいた車内での長時間の移動のなか、マスク着用はやはり息苦しさを感じますが、鉄道利用時のマスク着用は当然のことのように義務づけられております。また、これまで車両ごとにある乗降口は制限されることはありませんでしたが、いまは新型コロナウイルスの流行により入口、出口が明確に分かれています。そして、車内の通路にも出口の案内がしっかり表示されています。
トレニイタリアが運行する特急は、最高時速300mを誇る赤い矢を意味するフレッチャロッサ(伊語:FrecciaRossa)が中心ですが、銀の矢のフレッチャルジェント(伊語:Frecciargento)や白い矢のフレッチャビアンカ(伊語:Frecciabianca)と、そのほかにも運行都市間によっていろいろな種類の車両があります。今回、利用した特急はフレッチャルジェントでしたが、その車内サービスの一環として、乗客全員に新型コロナウイルスの対策セットを配布しています。その中身を確認すると、座席の頭の部分にたらすための清潔な使い捨てシーツ、マスク、消毒ジェルと水が入っていました。
まさか水まで用意されているとは思わず、トレニイタリアの徹底したサービスには個人的にも感動すら覚えました。
また、ローカル列車として中距離運行の快速列車(伊語:Regionale Valoce)や普通列車(伊語:Regionale)が運行していますが、ここでも新型コロナウイルス対策の一環を垣間見ることができます。
このように欧州内で新型コロナウイルス感染の初期段階において多くの犠牲者を出し、極めて深刻な被害を受けたイタリアでは、過去の経験から学びとることにより、感染の第二波をほかの欧州諸国と比べて、比較的抑えられているのかもしれません。さまざまな欧米のメディアでは、日本の感覚だと当たり前のことと思えることが多いのですが、褒めすぎといえるほどイタリアの新型コロナ対策を称賛しています。ただ、厳しい経験を忘れずに今日を過ごすということは、とても大事なことでこれからさらなるピークを迎えるだろうと推測される第二波に備えていかなければなりません。