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前回もお伝えしましたが、クアラルンプールと隣接するセランゴール州(Selangor)はひとつの経済圏としてとらえられクランバレー(Klang Valley)と称されています。ところが今回のCMCOでは個別にロックダウンされ、通勤や物流などを除く経済活動以外の不要不急の移動が禁止されてしまい移動ができなくなってしまいました。
クアラルンプール⇄セランゴール州間を移動するためには最寄りの警察署に行って、移動許可証を取得しなければなりませんが、観光や娯楽ではなくお葬式や空港に行くなどといった実務的な申請のみとなります。
2020年10月14日〜27日までクアラルンプール、セランゴール州、プトラジャヤ(Putrajaya)で発令されていた「条件付き行動制限例(CMCO=Conditional Movement Control Order)」が11月9日までさらに2週間延長されました。
緩和されたロックダウンですが、CMCOが最初に発令されたのは5月4日で、そのときは2週間ごとの延長の繰り返しを経て6月9日まで続きました。6月10日から12月31日までは「経済再生の行動制限令(RMCO=Recovery Movement Control Order)」の期間に入っていたのですが、感染拡大でひとつ段階が戻ったCMCOとなっています。
現在マレーシアはこのような状態のため、経済以外の社会活動を最低限に抑えているのですが、感染者数は思うように減っていません。選挙活動や第三波の引き金になったと思われる東マレーシア(ボルネオ半島)のサバ州は都市封鎖となる「強制行動制限例(EMCO=Enhanced Movement Control Order)」が発令された地域が増えています。
EMCOは当初のロックダウン期間となった4月に発令件数が多かったもので、外出禁止および立ち入り禁止、近隣エリアへ続き道路の封鎖となり該当エリアは有刺鉄線で囲われるなど強制力のあるものでした。
23日にはムヒディン首相がパハン州クアンタンのアゴン(国王※)に緊急に面会を求めて宮殿を訪問したことで、「緊急事態宣言(State of emergency)」が発令されるのではないかという噂が国中を駆け巡りました。
翌24日には1日あたりの感染者数が1228人と過去最大数に。
首相が提言した内容については25日に各州のスルタン(州の王様)が集まり、話し合いがもたれました。
※マレーシアでは首相とは別に5年任期で9州の中から国王が選出される。
最終的に非常事態宣言は回避できましたが、新たにクアラルンプール南西に位置し、ビーチリゾートのポートディクソン(Port Dickson)、工業団地なども多いニライ(Nilai)などがあるヌグリ・スンビラン州(Negeri Sembilan)もCMCOになるなど、状況はよいとは言えません。
経済活動はそのままであり、地域ロックダウン措置の一環ですが、人口が多くマレーシアの中心ともいえるエリアが次々と閉鎖され国の停滞が余儀なくされています。
1日あたりの感染者数は800〜1200人となっており、その多くが依然としてサバ州となっていますが、マレー半島側も数十人〜100人ほどで気を抜けません。
今回は制限はあるものの、自分が住むエリア(州や連邦直轄領)内であれば移動が可能となっています。また運動も屋外でソーシャルディスタスを厳守し、直接接触のないものであれば許可されています。ただしCMCOのエリアでは映画やテーマパーク、ライブなどの娯楽や宗教施設での礼拝など、人が集まるものはすべて禁じられています。
また新しい動きがあるようでしたらお伝えします。
マレーシアでもSNSなどを通じたフェイクニュースが拡散されていたりします。
詳細の確認は信頼のおける公式ウェブサイトなどからお願いします。
◎在日本国大使館
◎ベルナマ(Bernama) ※マレーシア国営通信社(英語)
(撮影by逗子マリナ)
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