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日本では新築の家が好まれますが、古きをよしとするイギリスでは一軒家などの場合、築100年を超える物件はザラにあるはずです。そのため家のメンテナンスをする業者さんとのつき合いが、極めて重要となってきます。電気屋さん(electrician)などそれぞれ専門の業者さんがいますが、わが家のトラブル対応に欠かせないのはプラマー(plumber)と呼ばれる配管工の業者さん。
仕事の種類によっては配管工ではないのかもしれませんが、わが家ご用達の業者さんはなかなかに万能な方なので、たいていの家に関する修理はこのプラマーに任しています。
順繰りに壊れていく家電と調度品
日本でも同時期に購入した家電製品は数年後、同じ時期に次々と順番に壊れていくという体験をしましたが、こちらでも同じようなことが頻繁に起こります。わが家は家具つき物件を借りていますが、そもそも始めから壊れていた家具や調度品がけっこうありました。
ほかのものも各部屋の引き出しや便座、その蓋といった小さなものから給湯器、ガスコンロ、洗濯機といった大型家電まで、徐々にひとつずつ不具合を起こし始めます。そのたびに大家さんがお抱えプラマーを呼んでくれるので、自然とプラマーとのつき合いが細く長いものになっていきます。
人気の業者さんは引っ張りだこ
こういった業者さんを手配するときは口コミで周囲に尋ねることが多く、腕の確かなプラマーは人気者で小さい問題ですと頼んでも後回しにされがちです。そのため、1度いい人材を見つけたらわが家の大家さんのように離さず、末長くおつき合いをするのが得策です。
ただ、店子である私たちにとっては特に長いつき合いなわけでもありません。それにもかかわらず作業中に「外出するので……」と、それとなくお引き取りを願っても「オーケー、どうぞご心配なく。まだずっとやってるんで」と言われ、仕方がないのでプラマーがまだ作業中のまましばし外出したこともあります。内心とても戸惑いましたが、この大家さんお抱えのプラマーとはその後、何度も顔を合わせているうちに、わが家の生活に欠かせない重要人物となっていきました。
フレンドリーな業者さんたち
わが家がお願いする作業は基本的に屋内がメインですが、周りを見回せば前庭の整備、屋根、壁、玄関ドア、フェンス(塀)の張り替え、ペンキ塗り、そして増築など、屋外で作業している業者さんも多く見かけます。
彼らは概してラジオや好きな音楽(ビートルズ、お里の曲、Kポップなどジャンルや年代もバラバラ)をガンガンにかけ、夏は上半身裸で陽気に作業しています。そんな自由でリラックスした職場環境のせいか、フレンドリーな人が多いです。普段通る道にいつもいて顔なじみになるせいもありますが、道の反対側からでもわざわざ声をかけて挨拶してくれたり、興味津々で見つめる子供の相手までしてくれたりします。
困った業者さんたち
ただ、フレンドリーを通り越して図々しすぎる業者さんもいます。公共工事の人でわが家に特段かかわりがあるわけではないにもかかわらず、2、3の報告をしたあとトイレを借りていった業者さんがいました。それだけでも唖然としたのですが、この人はそのトイレから一向に出てくる気配がなく、明らかに「大」をし、臭いも盛大に!! 残して去って行きました。
またあるときはガス管の工事をしていて、わが家のガスを一時的にいきなり止めた(!)だけならまだしも、そのあとガス栓を開けないままガス管をまた地中に戻し、何日もガスが使えなくなったこともありました。そのあとは再びガス栓を開けるため、わが家の前庭の芝をくり抜くといったこともされ、年がら年中やたらと業者さんとやり取りをする羽目に。
屋外で作業をしている業者さんたちは、宣伝のために連絡先などが書かれた自社の看板をよく現場に置いています。「自社製品」を実際に見て、連絡をくれるお客さんもいるのでしょう。このようになにかと個性的な業者さんたちですが、住宅街では見かけない日はないほどよく見かけ、町の風景と一体化しています。