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今日2021年2月16日は、イギリスで「パンケーキ・デー」こと告解の火曜日です。例年ですと、わが子が通う現地校では授業でパンケーキを実際に焼いたり、家でも作ってもらうよう促したりします。
それも今年は全国一斉学校閉鎖(関連記事)で叶わず、せめてもの慰めで子供たちにパンケーキをふる舞うことにしました。
パンケーキ・デーはいつも火曜日
パンケーキ・デーはキリスト教に関係した伝統的な祭日で、レント(関連記事)というイースターの断食期間が始まる初日「灰の水曜日(Ash Wednesday)」の前日なので、「告解の火曜日(Shrove Tuesday)」と毎年この日は必ず2月か3月の火曜日となっています。
アングロ・サクソン系のキリスト教徒にとっては懺悔をする重要な日で、その昔は当日に鐘を鳴らして人々に知らせたそうです。この行いは「パンケーキの鐘」と呼ばれ、いまでも鳴らされているようです(参照:Castelow, Ellen. "Pancake Day" Historic UK 2021)。
パンケーキ・デーの由来
では、なぜこの日がパンケーキの日となったかと言えば、翌日から始まる断食に備えてハイカロリーな食事でエネルギーを蓄えておくことと、卵など日持ちしない食材を使いきってしまうためにパンケーキは最適だったからです。
意外なことに、イギリスの伝統的なパンケーキはとても薄く、昔ながらのゴールデン・シロップをかけるか、あるいはレモン汁に上白糖をふりかけるシンプルなものだったようです。アメリカのような分厚くてフワフワな食感ではなく、むしろフランスのクレープのような形状でした。
関連イベント
イギリスには、この日を祝う一風変わった関連イベントがあります。1445年、パンケーキを焼いている最中に懺悔の鐘を聞いたとある女性が、フライパンを持ったまま慌てふためいてエプロン姿で教会に走ったのが始まりだと言われているこの「パンケーキ競争(Pancake race)」は、特にバッキンガムシャー州のオルニー(Olney)村のものが有名です。
参加資格は地元の主婦で、エプロンに三角巾が標準装備。本物のパンケーキをフライパンに入れて持ち、ゴールである教会に到達するまでに3回ひっくり返さなければなりません。
1番始めにゴールした女性は鐘を鳴らす大会主催者(bellringer) に自作のパンケーキを献上し、かわりに祝福のキスを受けた時点で勝者となります。
告解の火曜日はキリスト教の祝日なので、そのほかの欧米諸国にもあるものですが、食べるものや行事などは各国で特色があり、通り名も違います。パンケーキ・デーではなく、フランス語でFat Tuesdayを意味するMardi Grasと呼ぶ国が多いです。
早くコロナが収束し、いつか皆さんに実際のパンケーキ競争の模様をお届けできるよう、願っています。