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先週末はラジオやテレビといったイギリスの公共放送にて、アナウンサーが意気揚々と「在英成人の半分は、コロナ・ワクチン(Covid-19)の第1接種(2回のうちの1回目)をすでに受けた」と伝えていました。
英政府によると、60歳以上の95%近くがすでに受けたようで、最近では私の身辺でも知り合いレベルで実際に受けたという人が増えてきました。
私は未接種なので詳しくは知りませんが、聞く限りでは憂慮する疾患などがある場合を除き、通常は50歳以上ですと国民保健サービスのNHS(National Health Service)から接種の案内が届くようです。
発表によると、2020年12月8日から今年3月19日までの間に1回目の接種を受けた人数は2680万人で、うち210万人は2回目も接種済みとのことです。
ジョンソン英首相は今後の道筋として、50歳以上へのワクチン投与は4月15日までに終わらせ、ゆくゆくは全成人への投与を7月末までに完了させることを目指しています(出典: Department of Health and Social Care"Half of all adults in UK receive first dose of COVID-19 vaccine" Gov. UK March 2021.)。
ロックダウン反対運動
イギリスのコロナ対策は一見順調かと思いきや、気になる報道をいくつか目にしました。ひとつは土曜日3月20日に起きた、ロンドン中心部でのロックダウンに反対するデモ行進。
昨年2020年の春、同じ頃に初めて実施された第1回目のロックダウン(都市封鎖)、秋の11月、申し訳程度に?された2回目と比べて新年早々、現在にいたるまで解除されない3回目の今回は、確かに長く感じます。
公共放送局BBCによると20日、政府のコロナ禍対策のロックダウンに抗議する数千人が市内中心部のハイド・パークから議事堂のあるウェスト・ミンスターまでデモ行進しました。
テレビ画面には、マスクもつけず社会的距離も一切取らず、ワイワイ笑顔を見せながら行進している人たちが映し出されていました。「恐怖より自由」「恐れるべきはウイルスではない、このシステムに立ち向かうために一致団結しよう」などと書かれたプラカードを掲げる人もおり、彼らとしてはいかにこれが「平和的な抗議行動」か、ということを示したいのでしょうが……。
私見としましては、ロックダウンによる経済状況の悪化、精神的苦痛、不便さなどさまざまな弊害はありますが、このデモでは一部の参加者が警察にびんや缶を投げつける場面もありましたし、普段の日常生活において、あれだけ口を酸っぱくしてアナウンスされている「マスクを」「距離を」「スーパーへの入店は各家庭ひとりのみ」「一方通行で」といった幾多ものルールを守ってきた身からすると、なんだか力が抜けてしまいました。
英政府の首席科学顧問は、これまで議会で「屋外で集まること自体の感染リスクは低い」などと話したそうですが、内務省は、現在の感染対策法のもと、抗議集会に参加するのはいまも違法だと指摘しました(参照/出典:"Covid: Arrests during anti-lockdown protests in London" BBC March 2021.)。
ワクチン数と周辺国のコロナ「第3波」
ワクチン計画に影を落としそうなもうひとつの話題が、インドの製薬会社から輸入しているアストラゼネカ製ワクチンが、来月から滞る可能性がある、というものです。
1月の時点ですでに輸出はインド政府によって当面禁止されており、「2ヵ月後には再開できるだろう」との見解でしたが、いま現在その2ヵ月後であるにもかかわらず、いまだに明確な解除にはいたってないようです(参照:Wallen, Joe and Lateef, Samaan. "Five million UK-bound AstraZeneca vaccine doses being held up 'by Indian government" The Telegraph March 2021.)。
また、ドイツやフランス、イタリア、スペイン、ギリシャ、ポーランドといった周辺諸国がコロナまん延第3波を警戒し、再びロックダウンに入ったというニュースも続々と入ってきています(参照:Minelle, Bethany. " COVID-19: As fears of a third wave mount, what's going on in Europe?" Sky News March 2021.)。
つい先日まで、メディアからはロックダウン緩和策について明るい話題が上っており、ようやく先が見えてきたか?と思いきや、早くもこの状況でたび重なる急転直下に日々ついていくのはなかなか疲れます。
以上、週末を通じて見聞きした、英国コロナ関連のニュースを一部まとめました。このように、状況は日替わりで一進一退しますので、最新情報は英政府や各種メディアのウェブサイトにて適宜ご確認ください。