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2021年4月12日より、ようやくイギリスでのロックダウン規制が緩和され、必需品以外の小売店や一部の飲食店、娯楽施設が再開しました。日本ではGW前後が緊急事態宣言下にあり、外出を控えた方も多かったかと思いますが、こちらではやはり5月に祝日があったので、コロナ対策のとりやすい屋外施設「キュー・ガーデン(Kew Gardens)」に行ってきました。
ロンドン南西部リッチモンドとキューの中間に位置するこの植物園は、チャールズ皇太子が後援する王立植物園で、2003年には世界遺産にも認定されています。ロンドン中心部から電車でわずか30分ほどの場所に、約132ヘクタールもある広大な敷地が広がっています。
さすがは「ロイヤル」、優雅で巨大な温室
入場ゲートは駐車場脇、電車、地下鉄などの最寄り駅近くと4つもあり、とてもアクセスがしやすい施設です。門構えはキュー・ブリッジ駅近くの「エリザベス・ゲート」が、まるでバッキンガム・パレスのようで一番立派でしたが、メイン・ゲートとして入場者がもっとも多そうなのは、キュー・ガーデン駅近くの「ビクトリア・ゲート」です。
こちらですと目の前にすぐ、目玉施設のひとつである「パーム・ハウス(Palm House)」という巨大な温室があり、主要ポイントを効率よく見て回ることができます。
屋内施設のため、そのほかの温室(Glasshouses)やギャラリーなどと同様、こちらも残念ながら今回はまだコロナ規制が適用され、中を見ることができませんでした。
それでも、1万6000枚の窓ガラスを用い、当時世界最大、かつ最古の温室として建てられた温室は外観からでも十分、歴史に思いを馳せることができました。中の展示は「パーム」の名前のとおり、ヤシの木といった熱帯植物が集められているそうです。
船体技術を元に、船の形を模した「パーム・ハウス」から一転、もうひとつの大型温室「テンペレート・ハウス(Temperate House)」は、王立の名にふさわしい、まるで宮殿のような優美さをかもし出しています。
5年間もの改装期間を経て、2018年にリニューアル・オープンを果たしたこちらの温室にはアフリカ、オセアニア、アメリカ、アジアの大陸と太平洋諸島に生育する1500種の植物が置かれています。建物の大きさは「パーム・ハウス」の2倍で、植物の種類、数、施設ともに世界最大級です。
イギリス国内最小の宮殿
キュー・ガーデンは1759年に宮殿併設の庭園として始まり、いまでは世界で最も有名な植物と菌類の研究機関として知られています。その「キュー宮殿(Kew Palace )」も園内で見学できますが、この宮殿はイギリスにしては珍しい外観をしています。
オレンジ色に近い赤レンガ造りのこちらは、オランダにルーツを持つロンドンの絹商人が1631年に建てた、もとの名を「オランダ・ハウス(The Dutch House)」と言います。
1728年、王家に貸し出されて以来「最も小さな王宮」として親しまれ、特に療養のために滞在したジョージ3世にとっては、心の拠りどころともなった場所です。本来は建物の中まで入れますが、この日は案の定まだ立ち入り禁止で、公開は今年6月4日までお預けです。
代わりに「女王の庭(the Queen's Garden)」を散策しましたが、宮殿同様こぢんまりとした庭園はこの時期、黄色い藤の花が見頃でした。
個性的な建造物とそのほかの見どころ
そのほか、遠くからでもすぐに見つけることができる、高さ約50メートルの仏塔「パゴダ(Great Pagoda)」や日本庭園があるアジアコーナー、現代アートのようなモダンな蜂の巣を模した建造物「ハイブ(The Hive)」、トロッコ貨車の線路?と思った空中遊歩道「Treetop Walkway」、子供たちが夢中になる「The Children's Garden」と、終日楽しめます。
その一方で、ロンドンから近いせいか、はたまた年間パスを所有しているからか、15時頃でも来園する日本人親子をけっこう見かけました。
それだけ便利な立地で、皆さん気軽に利用していそうなので、わが家も今回見損ねた温室や宮殿内部を見に、ロックダウン規制全面解除後(キュー・ガーデンでは6月4日が有力ですが、最新情報は下記ウェブサイトにて適宜ご確認ください)に、再び訪れたいと思いました。
◼️The Royal Botanic Gardens, Kew・住所: Kew, Richmond, London, TW9 3AE・アクセス: 地下鉄Kew Gardens駅徒歩5分など多数・開園時間: (8月末までの時間)月~金10:00~19:00、土日・祝日10:00~20:00・URL: https://www.kew.org/kew-gardens/visit-kew-gardens