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【フランス リヨン便り n°59】
こんにちは、マダムユキです。フランスのリヨンからお届けしています。
ヴァカンスのピークを迎えた8月中旬。
8月に入ってから、リヨンは35度の真夏日が続いていましたが、ここ数日、25度前後で過ごしやすいです。
先日、実習生のシャルル(トゥーリズム専攻の学生)を連れて、レマン湖のほとりにあるイヴォワール村を訪れました。
イヴォワールはリヨンから車で2時間ほどのところにある、レマン湖のほとりにたたずむ小さな村で、「フランスの最も美しい村」に登録されています。スイスのジュネーブからは車で1時間の距離にあり、リヨンからもジュネーブからも日帰りで楽しめる、おすすめの観光地です。
マダムユキ:シャルル、今度はイヴォワールへ行くわよ
シャルル:ペルージュのつぎはイヴォワールね~
マダムユキ:イヴォワールはもちろん知っているわよね!
シャルル:美しい村でしょう?
マダムユキ:最も美しい村! 「最も」がつくの(再び、声高らかに)
シャルルと「フランスの最も美しい村」に登録されているペルージュ村を訪問した様子をブログで紹介していますので、お時間のある方は合わせてお楽しみくださいませ。
「城塞の村」イヴォワール
イヴォワール村は城壁とレマン湖によって防御され、現在も、村へは、城壁に設けられたふたつの門、あるいは湖から舟で村に入ることができます。村の中は、配達用の営業車を除いて、一般車両の通行が禁じられています。
▼イヴォワール村への入口(表門)
▼昔は馬車が通り抜けした門、いまは車がやっと一台通れる道幅(裏門)
シャルル:レマン湖のほとりの優雅な場所に城塞都市とは驚きだね
マダムユキ:レマン湖を一望できるようにと城が建てられたのが12世紀のこと。湖畔にあるというロケーションは中世の時代、軍事的戦略においてとっても重要だったから、村の略奪が繰り広げられていたのよ。
シャルル:ペルージュもそうだけど、中世って戦争だらけだ。村人はたいへんだっただろうね。
マダムユキ:だから封建制度が機能したのよ。この城壁は1306年にサヴォワ伯アメデーオ5世の命で建てられ、城塞都市イヴォワールが誕生したの。イヴォワール村では、2006年に開村700周年を盛大に祝ったそうよ。
「花の村」イヴォワール
シャルルとそんな会話を交わしながら、門をくぐれば、そこは中世の村。
イヴォワール村の魅力はなんといっても家々を飾る花の美しさ。まるでおとぎの国のようです。
写真をご覧ください。色鮮やかな花々が時代を感じる石造りの家を飾り、通りゆく人の目を楽しませてくれます。
▼花一面に飾られた一般家屋の窓や壁
▼伝統的な造りの家屋(地階が仕事場で2階が生活の場)
▼石の窓枠と木の雨戸を花で飾ると1枚の絵になる
▼バルコニーも花でにぎわう
イヴォワール村は1950年頃から、農村・漁村から観光地として発展していきました。その成功の秘訣が村を花で飾ること。1959年に「花の村(Villes et Villages Fleuris)」というラベルが創設され、生物多様性も考慮された厳しい基準に従って、植物で彩られた村にそのレベルに応じて1~4つの花マークが授与されます。イヴォワールは1959年から花マークを獲得し、現在は最高レベルの花マーク4個✿✿✿✿が授与され、正真正銘「花の村」として観光客の人気を集めています。
ショッピングも食事も充実
イヴォワールの魅力はそれだけではありません。
おみやげ店、民芸店、骨董品店、地元アーティストのかわいいブティック、おしゃれなレストラン・カフェなどで活気にあふれています!
▼自転車がおしゃれなオブジェとなるカフェの入口
▼民芸品のお店に惹きつけられる
▼地元アーティストのブティックめぐりは旅の醍醐味
▼中世にタイムスリップしてお茶しよう
▼店番のマダムはインスタグラマーに大人気
イヴォワール村を始めて訪問したのは数年前のこと。観光局のクリストフさんが村を案内してくれました。そのときの彼の言葉がいまでも忘れられません。
「マダムユキ、ぼくはイヴォワールで生まれ、イヴォワールで育ち、そして、イヴォワールで働いている。ぼくだけじゃない。村人のほとんどがそうだよ。この村は、美しい村という冠をかぶったアトラクションじゃない。村人の生活の場なんだ。だから、観光客だけでなく村人たちによる本物の活気がここにはあるんだ。それがイヴォワールの魅力だ」
▼村人たちが集まり、朝のコーヒーを飲み、語り合い、1日をスタートさせる
イヴォワールおすすめ観光スポット:五感の庭園
のんびりと村を歩いていたら、「五感の庭園(Jardin des Cinq Sens)」と書かれたプレートを見つけました。
マダムユキ:あっ、ここは絶対おすすめ
シャルル:庭園が?
マダムユキ:五感をテーマにした小さな植物園だけど、迷路のような小路が張り巡らされていて、「小路の向こうには何があるんだろう」って、わくわくしながら、いろいろな花々を発見できるの
シャルル:五感を使って花見をするんだね
マダムユキ:そう、花を見て(視覚)、香りを楽しんで(臭覚)、小川や噴水の水音、鳥たちのさえずりをを聞いて(聴覚)、草木に触れて(触覚)、棘があるものは注意してね、葉や花を味わう(味覚)ことができるのよ
シャルル:えっ、食べることもできるんだ!
マダムユキ:果実をもぎ取って食べてはだめよ。食用花やハーブなどが育生されていて、勉強になるわ。
1500種類の植物が、視覚・臭覚・聴覚・触覚・味覚の5つのテーマで紹介され、四季折々の草木や花々を楽しむことができます。ゆっくり見て回るには2時間ほど用意してください。
▼庭園入口のプレート
▼噴水の水音と水を飲みにきた小鳥たちのさえずり
▼色鮮やかな花で心にぎう
▼にわとりが必死に何かを探している!
■五感の庭園(Jardin des cinq sens)
・住所: Rue du Lac – 74140 Yvoire France
・電話: +33 450 72 88 80
・開園時間: 2021年5月21日~9月12日 10:00~18:30、2021年9月13日~10月3日 10:00~17:30
・休園日: 2021年10月4日~2022年5月上旬
・入園料: 大人€14、子供(6~18歳)€8
・URL: https://jardin5sens.net/
※訪問前に開園日、開園時間を確認くださいね
イヴォワールのシンボル:お城と教会
レマン湖のほとりに三角帽子をかぶったようなお城がひときわ目を惹きます。イヴォワールのシンボルとして、村人たちからも観光客からも愛されているお城です。
12世紀頃に建てられた城は、1306年にサヴォワ伯アメデーオ5世の命で城塞が建設されてから、軍事拠点的な役割を担うようになりました。
というのも、イヴォワールはジュネーブとローヌ渓谷、そしてイタリアへと通じる街道上にあり、水路と陸路が交差する地点でもあったことから、何世紀にもわたって、領土争いが繰り広げられてきたからです。
また、対岸のジュネーブ公国がプロテスタントとなり、イヴォワールを管轄するサヴォワ公国はカトリックだったので、宗教戦争の舞台にもなりました。
城は村人を守る重要な役割を担っていたのです。
1591年、大火災により城のシンボルである三角帽子の屋根が崩落してしまいました。この屋根の修復工事は3世紀を経て、1939年になってから行われたとのことです。
残念ながらお城は私有地のため見学できません……。
▼シンボルと呼ぶに相応しく貫禄のある外観
▼五感の庭園から眺めるイヴォワール城
イヴォワールのもうひとつのシンボル。独特なフォルムの鐘塔が印象的なサン・パンクラス教会(Eglise Sant Pancrace)です。キラキラと光り、遠くから見てもすぐにわかります。まるで湖畔の灯台のようです。
鐘塔の頂点を飾る球と、十字架の上にたつ風見鶏には金箔が施されています(豪華ですね~)。
鐘塔はなんとステンレス製なので、雨風にさらされても錆びることなく、輝き続けることができます(グッドアイディア!)。
▼教会へと続く道
▼サン・パンクラスは子供たちの守護聖人
■サン・パンクラス教会(Eglise Saint Pancrace)
・住所: Rue de l'Eglise – 74140 Yvoire France
・電話: +33 450 72 80 21
イヴォワールのグルメ
真剣な顔つきで歩いていたシャルルがいきなり振り向いて、「マダムユキは燃費がよさそうだけど、ぼくは燃料切れ。お腹ぺこぺこだよ」と言いだしたので、思わず吹き出してしまい、予約しておいたレストランへ直行しましました。村の表門から出たところの、イヴォワール村役場の隣にあるレストランホテルです。
レマン湖の淡水魚「フィレ・ド・ペルシュ(Filets de perche)」のマリネとムニエルが大人気。サヴォワワインと一緒に食します。絶対おすすめのレマン湖の郷土料理です。シャルルいわく、「魚好きのマダムユキには天国だね」ですって。はい、そのとおりです。マリネにすると、歯ごたえのある引き締まった身を味わうことができて、ムニエルにすると口のなかでふんわりとろける柔らかさを堪能できます。絶品のフィレ・ド・ペルシュをぜひ、お試しください。
▼新鮮なフィレ・ド・ペルシュをマリネにした前菜
▼バターたっぷりのムニエルのポテトフライ添え
▼プラリネチョコレートケーキにレモンシャーベット
■ル・プレ・ド・ラ・キュール(Le Pré de la Cure)
・住所: 1 Place de Marie – 74140 Yvoire France
・電話: +33 450 72 83 58
※訪問前に営業日、営業時間を確認くださいね
イヴォワールからレマン湖への眺め
村で最も標高が低いところが湖。ですから、道に迷ったら、下り坂を進めは湖に到着します。
海のように波打つレマン湖。向こう岸はスイス。かなたにジュラ山脈が見えます。
シャルル:すばらしい眺め
マダムユキ:そうでしょう、来てよかったでしょう
シャルル:はい、スローな旅で心も身体もリフレッシュできました
なかなか、粋なことをいうシャルル。
そうなのです。スローな旅にぴったりの村。あくせくした日常から離れて、時間がゆっくり流れるフランスの小さな村でスローな旅を楽しみましょう。
▼坂道をくだればレマン湖が広がる
▼レマン湖のヨットハーバー
▼海のように波打つ湖の向こう側はスイス
▼かもたちものんびりしていて、横を歩いても知らん顔
▼レマン湖とイヴォワール城の美しい景色
引き続き、皆様、お身体ご自愛くださいませ。
マダムユキより
【補記】
フランスでは、2021年7月21日から、娯楽および文化施設で衛生パスポート(Passe sanitaire)の提示が義務づけられました。8月9日からは、テラス席も含め、カフェ・バーおよびレストラン(企業の社員食堂は除く)、百貨店やショッピングセンター(各県の地方長官が指定)、セミナー会場、長距離移動のための交通機関(電車、バス、飛行機)、病院および高齢者施設、イベント・見本市会場など、提示義務の対象施設が拡大されています。12歳~17歳の未成年者においても、9月30日から提示義務が課せられます。衛生パスポートの不提示には€135の罰金が科せられます。