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ウェールズで夕食用のレストラン探しに苦労した(https://m-tokuhain.arukikata.co.jp/london4/2021/07/dna.html)苦い経験を教訓に、スコットランドでの滞在は全日程分を事前予約し、万全の態勢を整えました。
結果、空腹を抱えて町をさ迷い歩くという無駄な時間を費やすことなく、非常に効率的な旅となりました。その場の雰囲気や気分で当日選ぶという楽しみは残念ながらなくなってしまいますが、子連れファミリーという形態においては特におすすめです。
しかも、その店がアタリだった場合、よいことづくめです。今回で言うと、どれも2重丸で全般的に大満足だったのですが、なかでも特筆すべきは初日の「ウイスキー(Whiski Bar & Restaurant)」。スコットランドの名物郷土料理、ハギスに挑戦した様子をお届けします。
パブと見紛う雰囲気
本記事タイトルにもあるように、首都エジンバラの繁華街にあり、アクセスもよいこちらのレストランは旅の出発前、知り合いになにげなく聞いた、元スコットランド在住者からの情報でした。
知人がスコットランドに住んでいたことも初耳ながら、紹介された店も外見は悪くはないですが、中に入ってみてもパッと見「あぁ、スコットランドと言えどイギリス、やっぱりパブね……」と思ってしまうような雰囲気。
これはまた予想どおり、フィッシュ&チップスにバーガーか、と内心ガックリ。気を取り直しメニューを開くと、スコットランドの名物(悪名高き?)「ハギス」の文字が。
郷土料理満載の充実メニュー
地元料理ばかりを食べたくて、こうしてわざわざ予約まで入れていたわけですが、ハギスばかりはちょっと……。スコットランドの伝統料理であるこちらの料理は、羊肉やオートミール、スパイスなどを羊の腸に詰めて蒸したもので、ようはホルモン系、生臭いイメージが個人的に抜けません。
以前食したように、お祭りの冒険的にチョコっと食べてみる(https://m-tokuhain.arukikata.co.jp/london4/2020/01/post_57.html)のは許容範囲内ですが、わざわざレストランでひと皿分としてまでは頼みたくないという心理。
ここは夫に任せ、私は無難にバーガーを。結局ソレかい、と思われそうですが、スコットランドは東部のアバディーンシャー、アンガスの両州が原産地のアバディーン・アンガス (Aberdeen Angus)牛が有名で、普段からスーパーでも見かけており、本場でビーフを食べてみたかったのです。本当に。
イギリスのパブ・レストランなどのバーガーは、たいてい店名を冠した看板バーガーがあるのですが、こちらにもやはりWhiski's burger(£15)があったので、そちらを選びました。その下のHaggis burgerについては、見なかったふりで……。
レジェンド的ハギスに驚愕
ほかに、カレンスキンク(Cullen Skink)というチャウダースープを前菜に頼みましたが、こちらも伝統的な料理で燻製したタラ、ジャガイモ、玉ねぎなどが入っています。
栄養満点、クリームシチューのように濃厚な味は、寒くなるこれからの季節にもピッタリです。
バーガーも安定のおいしさで、この店のレベルの高さを確信しました。そこで登場したのがお待ちかね? ドキドキの、本場ハギスです!
見た目は大きなまん丸のコロッケといった形で、茶色いクリームがかかり、てっぺんにはフライド・オニオンがトッピングされています。
一見ハギスとはまったくの別物のようですが、スプーンを入れるとおなじみの、あの黒い挽き肉のような「中身」がお目見えしました。
通常マッシュポテトはつけ合わせとしてハギスとは別に添えられますが、こちらは「揚げコロッケ」の内部、底部分に詰められており、その上にハギスがのっています。
口に含むとポテトの柔らかさ、挽き肉や大麦のジューシーでプチプチした食感、濃厚なクリームソースが入り混じり、イギリス料理とは思えない複雑さ!
そのおいしさに感動する反面、これはもやはハギスとは言えないのではないか、というかすかな疑問も頭をよぎりましたが、よくよく気をつけて味わうと、蔵物っぽい食感と味覚の物体が、確かにほんのわずか存在しました。
ふと顔を上げ周りを見回すと、ほぼどのテーブルにもこの丸い「コロッケ」がありました。改めてメニューを見ると、Haggis tower(£16)「award winning MacSween haggis」と説明書きがあります。
「マックスウィーン賞」とやらでも受賞した有名なハギス?!と思いましたが、調べてみるとMacSweenというブランドのハギスを使っている、という意味なようです。
その見かけと言い「おいしすぎる」味といい、おそらくフュージョン料理のようで、本来のハギスからはかけ離れた、邪道とも言えるものかもしれません。けれどもわれわれ外国人やイギリス人でも、イングランドなどほかの地域からやってきた人にとっては、こちらの方が断然好まれそうな味です。
スコットランドでも、都会で一大観光地であるエジンバラだからこそ生まれた料理なのかもしれません。これまで海外で勝手に?アレンジされて広まっていく「誤った和食の味や定義」について、あまり快く思っていない自分がいましたが、今回の件で考えを改めました。
おいしいと思われたらそれでよし?!
◼️ウイスキー(Whiski Bar & Restaurant)・住所: Whiski 119 High Street
Edinburgh Scotland EH1 1SG・アクセス: 電車Edinburgh Waverlay駅徒歩約5分・営業時間: 月11:00~22:30 火 10:00~22:30 水~日10:00~1:00・URL: https://www.whiskibar.co.uk/