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イタリアの新型コロナウイルス感染症の、昨日10月30日の新規の感染者数は4877人です。数ヵ月ほど、イタリアの新規の感染者数は、増えもせず減りもしない状況が続いています。
昨日はとても良いお天気でしたので、久しぶりにポポロ広場を散歩しました。観光客の皆さんはまだとても少ないですが、昨年の未知のウイルスの驚異に誰もが怯えていた時期に比べれば、現在のイタリアは、心理的に多少市民も明るい気持ちにはなっているようです。ポポロ広場の今の様子をお写真でお届けします。夕方のお散歩を楽しむローマっ子がたくさんいました。
↑ 夕方の活気あふれるポポロ広場です。撮影したのは、ちょうど17時で、気温は21度ありました。双子教会は双子なので今日もそっくりです。
このポポロ広場は、1800年代初頭に、ローマの都市計画による見直しが行われた際に、ジュセッペ・ヴァラディエにより、こちらのポポロ広場やその上のピンチョの丘なども一緒に広範囲にわたって綺麗に整備をされたゾーンです。ポポロ広場の上のピンチョの丘からは、ローマの素晴らしいパノラマが楽しめます。行き方は、ポポロ広場の、これからご紹介するサンタ・マリア・デル・ポポロ教会の右脇にある細長い階段を上って行くとピンチョの丘へ辿り着くことができます。ピンチョの丘からは、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂と、ヴェネツィア広場のヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂のローマのふたつの良く知られたモニュメントを同時に見ることができます。
↑ こちらが、ポポロ広場にあるとても有名なサンタ・マリア・デル・ポポロ教会(Basilica di Santa Maria del Popolo)です。教会の入口を入ってすぐに撮影しました。主祭壇には、13世紀初頭のものとされるビザンチン風の「マドンナ・デル・ポポロ(市民の聖母)」が祀られているのが見えます。
ポポロ(Popolo)とは、イタリア語で市民の意味です。この教会の建設が始まったのはローマ教皇パスカリス2世の治世下の1099年頃ですが、建設費の一部を市民が負担したことから、サンタ・マリア・デル・ポポロ教会と名づけられました。
↑ 近づいてみます。美しい絵画、彫刻があふれる教会は、さながら美術館のようです。実は教会の一つひとつの礼拝堂は、名のある芸術家の作品であったりするのですが、全てを書くととても長くなってしまいますので、こちらの記事では、その中でもとりわけ有名で、ぜひ見ておきたい作品のみをご紹介致します。
↑ 教会の入口を入って、右側にある部分、まず右身廊から見て行きたいと思います。人が集まっていて、何だかとても美しいブルーのマントを持つマリア様が見えてきました! こちらは、入口からふたつ目のチボの礼拝堂というところです。
↑ カラフルな16本の大理石の円柱の間に、美しい絵画があります。1682~1687年にかけて建築家のカルロ・フォンターナにより設計された礼拝堂の祭壇には、画家カルロ・マラッタによる聖母と聖人の油絵「無原罪の御宿り」が祀られています。天井画も美しく、お部屋の中に引き寄せられそうです。
↑ すぐ隣の教会の入口から3番目の礼拝堂です。ロヴェレの礼拝堂といい、ルネサンス時代に描かれたピントゥリッキオのフレスコ画で飾られています。緑色が特徴的なピントゥリッキオ、ローマでは他にはバチカン博物館の「ラファエロの間」の階下に位置する「ボルジアの間」などで、その作品を堪能することができます。
参考記事:ローマ特派員ブログにて、筆者がバチカン市国についての寄稿したものは約25記事ありますので、代表してひとつのみこちらに添付致します。
2014年9月7日号 バチカン博物館の入場前に知っておいた方が良いこと!!https://tokuhain.arukikata.co.jp/rome/2014/09/post_247.html
↑ 右の翼廊にある、フィレンツェの画家ジョヴァンニ・マリア・モランディにより1600年代後半に描かれた「訪問」です。その絵画を支えるのは、優雅で美しい天使さんです。こちらの教会を訪ねると、いつも必ずこちらの天使さんたちを見にきます。
↑ 中に入っての写真撮影は禁止ですので、遠くから見てみます。こちらのチェラージの礼拝堂は、カラヴァッジョの「聖パオロの改宗」と「聖ピエトロの逆さ磔」の2枚の絵画があります。この教会で、最も訪れる人の多い場所といっても良いでしょう。中央の祭壇には、またこちらもたいへん美しいアンニバーレ・カラッチの「聖母被昇天」があります。1601年頃の作品です。
↑ こちらは、左身廊の教会の入口からふたつ目のキージの礼拝堂です。この教会でカラヴァッジョの次に見学者が多い場所かもしれません。ルネサンスの三大巨匠のひとり、ラファエロが礼拝堂の設計と天井のクーポラのモザイクのデザインを行っています。美術品であふれる宝物のような礼拝堂です。その後、1652~1656年にかけて、最後の万能の人とも呼ばれたバロックの巨匠、ジャンロレンツォ・ベルニーニにより、ファビオ・キージ枢機卿(後にローマ教皇アレクサンデル7世)のために改修が加えられていますので、ベルニーニの作品も残っています。
参考記事:2014年4月2日号 やっぱりすごいなベルニーニ。バロック美術巨匠の傑作、天使の矢が聖女の胸を射抜く瞬間。https://tokuhain.arukikata.co.jp/rome/2014/04/smv.html
↑ 貴族のマリア・フラミニア・キージ・オデスカルキのお墓です。ライオンが目をひきます。
サンタ・マリア・デル・ポポロ教会を訪れたのはもう夕方でしたが、18時を過ぎた頃から、近くで道路工事に携わっていて仕事が終わった工事現場のおじさんや、帰宅途中のお巡りさん、会社勤めの人々などがたくさん入ってきました。背広にネクタイ姿のお兄さんも、芸術鑑賞を楽しんでいました。
"本物"が常に手に届くところにあるというのが、イタリアという国なのです。