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ローマに観光客が戻って来た!

阿部 美寿穂

阿部 美寿穂

イタリア特派員

更新日
2021年11月23日
公開日
2021年11月23日
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皆さん、こんにちは!

この1年半、新型コロナウイルス感染症の影響で、ローマの町は訪れる人も少なく、どの観光スポットに行ってもがらがらな寂しい状態でした。しかし、11月に入って突然観光客さんが戻って来ました。今週あまりに突然ローマに人が増えており、筆者は腰が抜けるほどびっくりしましたので、有名な観光スポットはどんな様子なのかを見るために少々まわってきました。場所によっては、コロナ禍以前より人の出があるところもありました。

↑ 世界最大の石造り建築の遺構、パンテオン(Pantheon)です。

パンテオンとは、ギリシア語のPan(パン)、意味は"すべての"、theos(テオス)の"神"より由来し、"すべての神々の神殿"という意味でさまざまな神々を祀る万神殿でした。2000年前の建築物がほぼ完全な形で残っているのは、世界でもローマだけかもしれません。こういったものが入場無料なのもうれしいところです!

今から5日くらい前の平日にパンテオンの前を通ったところ、このように入場のための長い列があり、300~400人は並んでいました。ここまで大勢の人が並ぶ列は、新型コロナウイルス感染症拡大以前からもなかった現象です。

参考記事:2013年8月6日号 ローマのパンテオンはパワースポットだった!https://tokuhain.arukikata.co.jp/rome/2013/08/post_145.html

↑ パンテオンはいつもすてきです。今皆さんが目にしているこちらのパンテオンは3代目で、あの旅が大好きな五賢帝のひとりローマ皇帝ハドリアス帝が118~125年に再建したものです。このように、入場の列はパンテオンの前の広場をぐるっと一周して、脇の小道へまでも続いていました。脇の小道にはスーパーマーケットの生協がありますので、最初はスーパーが混んでいて、入るための列ができているのかと思いましたが、皆さんが入りたかったのは、スーパーではなくパンテオンの方でした。

参考記事:2013年6月15日号 イタリアの世界遺産「ヴィッラ・アドリアーナ(ハドリアヌス帝の別荘)」 その1 https://tokuhain.arukikata.co.jp/rome/2013/06/post_128.html

↑ 同じ日に、日が暮れてからまた通りましたが、まだパンテオンに入場するために並ぶ観光客の列がありました。写真の左奥に見える人の集団が、パンテオンの入口からのびる人の列です。そして、筆者が撮影しているちょうどこの位置からは、パンテオンの内部にある主祭壇辺りがよく見えますので、撮影ポイントとしても秘かにおすすめです。パンテオンの内部にある彫像が見えますでしょうか。こちらは、1717年にミラノ出身の彫刻家フランチェスコ・モデラーティが完成した聖アナスタージアの像です。

↑ もしや、この調子ならパンテオンの横にあるパスティーニ通り(Via dei Pastini)に軒を連ねるレストランにもたくさん人が増えているのでは?と思い、覗いてみました。ローマっ子の夕食の一般的な時間帯は19~20時くらいですが、外国では17時半~18時頃に夕食を摂るところも多いため、筆者が通過した17時半頃には、お客さんも入り始めていました。イタリア人の感覚ですと、17時半はまだ夕食にはかなり早いです。外国の方には、店の外で食べることのできるテラス席がとても人気です。冬でも寒くてもいつでも外の席が人気です。今の季節は、レストランの前には、キノコがメニューの一例として展示されています。

↑ 続いて、ナヴォーナ広場に行ってみました。ローマっ子の憩いの場、ナヴォーナ広場は南北に細長いおもしろい広場です。もともとは皇帝の競技場の遺構だったため、このような形になっています。チルコ・マッシモ系の形の広場です。こちらの広場も、いつもより人影が多く見えます。ローマのいつもと違う雰囲気にだんだん怖くなって来ました。

参考記事:2014年7月11日号 イタリアらしい写真が撮れます、ナヴォーナ広場! https://tokuhain.arukikata.co.jp/rome/2014/07/post_231.html

↑ やはり、いつもよりたくさんの人がいます。いつもは、ちょろりと通行する地元の人がいるくらいで、噴水などのモニュメントの写真を撮っている人はあまり見ません。耳にするのは、スペイン語、フランス語が多いです。ヨーロッパ内からの旅人でしょうか!

↑ 焼き栗屋さんも、お客さんが戻って来て喜んでいるかと思います。

↑ 広場の南にある、ムーア人の噴水(Fontana del Moro)です。

中央に見えるのは、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニのデッサンを基にして1654年に完成したオバケイルカと戦うエチオピア人です。オバケイルカもかわいいです。

ローマは噴水がたくさんあることから"噴水の町"とも呼ばれています。古代より、水のおいしさと豊富さで知られてきたローマの街ですが、現代でもおいしい水は旅行者でも、誰でも差別されることなく誰でも無料で飲むことのできるみんなの共有財産です。カエサル(シーザー)が生きていた頃の時代には、"この町はまるで水の上を歩くようだ"と表現され、それもそのはず、今日のおよそ倍以上の水関係の施設(水道、公衆浴場、噴水、ニンフェウムなど)が町中にあふれ返っていました。

現在、ローマの町なかには2000以上の噴水があると言われていますが、実際は5000とも言われ、いずれにしても軽く2000~3000はあるように思います。水道局で働く友人に尋ねてみたところ、正確な噴水の数は不明とのことですが、"ナゾーネ"という愛称で呼ばれる水飲み場はローマの中心部のごくごく小さいエリアだけでも200個以上設置しており、24時間/365日清涼な水を噴出しています。ローマ市内全体では、ナゾーネは2500個以上設置してあるそうです。夏のローマは、噴水の近くは涼しくてとても気持ちがいいです。冬は、冷たい水飛沫が散らばりシャキッとしますので、興奮して頭を冷やしたいときにぴったりです(?)。

↑ 次は、スペイン階段に行ってみました。ご覧下さい、原宿の竹下通りのような混み具合でした。なるべく人の顔を入れないように撮影したかったのですが、次から次へとどんどん人が横切って来て、それは完全に不可能でした。筆者は、スペイン広場の正面のコンドッティ通りからまっすぐ歩いて来たのですが、広場に入る手前から人であふれ返っていてびっくりしました。地元ローマの住民もいましたが、外国語も多く飛び交っていましたので、観光客さんもとても多かったです。満員電車の中にいるような場所もあり、渋滞でスムーズに歩けないほどでした。

↑ こんなに人が多いスペイン広場とスペイン階段を見たのはずいぶん久しぶりです。スペイン階段の上にあるトリニタ・デイ・モンティ教会に夕日が当たっていてきれいでした。

↑ こちらは、スペイン広場に続くミニャネッリ広場側から撮影したお写真です。スペイン階段は、画像の向かって右手にある建物が途切れて窪んでいる部分になります。階段の正面辺りには、びっしりと黒い人影が見えます。

↑ 今度はヴェネツィア広場に行ってみました。バスの車窓からの撮影です。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂にもたくさんの観光客さんがいました。皆さん記念堂のお写真を撮影しています。記念堂の前にこんなに人が集結しているのを見るのは、2019年の夏以来です。

↑ フォロ・ロマーノの遺跡の前まで来ました。こちらもバスの車窓から見ています。ちょうど日没で、夕焼けがきれいです。立ち止まって遺跡を見ている人の数も普段に比べて断然多いです。

↑ 最後に、円形闘技場のコロッセオの前を見てみました。バスの中から撮影をしているため、車内の照明が窓ガラスに反射して映っています。コロッセオの周辺もたくさんの人がいました。今日は観光馬車も多くが出払っていて、2台しかこの場所では待機していません。

つい最近の10月頃までは、ローマの町は人も少なく哀愁が漂っていましたが、最近突然観光客が増えて来ました。増えたら増えたで、以前のようにゆったりのびのびと町を歩けた時期が、ローマの住民としては懐かしく感じます。

とはいえ、早くコロナウイルスの状況が落ち着き、皆さんがイタリアの素晴らしいユネスコ世界遺産の数々を見に来てくれることを願っています!

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