• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

金沢観光の穴場「徳田秋聲記念館」へ文学さんぽ

松岡 理恵

松岡 理恵

石川特派員

更新日
2021年11月17日
公開日
2021年11月17日
AD

金沢観光の大人気スポットと言えば、「ひがし茶屋街」です。

観光客の多くは茶屋街のお土産屋さんを散策してすぐに帰ってしまうので、

とてもとても歯がゆい思いをしています。

ひがし茶屋街に来たらならば、ぜひ浅野川の風情をゆったりと楽しんでほしいのです。

「女川」と呼ばれる浅野川は、芸妓のお座敷がある茶屋街にふさわしい大人のムードが満点です。

この浅野川沿いの歩道は「秋聲のみち」と名づけられています。

浅野川の近くで生まれた小説家・徳田秋聲にとって、茶屋街は遊び場のひとつだったそうです。

花街が身近だった小説家は、恋愛小説の名手でした。

男性作家が女性を描くと、同性としてツッコミを入れたくなることが多いのですが秋聲のリアリティのある女性の描写は、今読んでも女性の生々しい思いに共感できます!

文豪の観察眼に感動です!

茶屋街の入口にある「秋聲のみち」をまっすぐ進むと、浅野川を代表する名所「梅ノ橋」にたどり着きます。

夜はライトアップされデートにぴったりな雰囲気です。

梅ノ橋のたもとにある「徳田秋聲記念館」

川床のような休憩スポットがあり、美しい景色をゆっくり楽しめます。

徳田秋聲は明治・大正・昭和と3代にわたって文壇の第一線で活躍し、今年2021年で生誕150年を迎えています。

昭和・平成・令和の3代を体験している私たちにとって、秋聲の文学からは時代がめぐっても変わらない「人間の生きる力」を感じることができます。

ちなみに、ノーベル文学賞受賞作家・川端康成が秋聲を日本文学の最高峰と絶賛しています。

「日本の小説は源氏にはじまって西鶴に飛び、西鶴から秋声に飛ぶ」

と、川端康成は秋聲を評しています。

日本を代表する小説家だった秋聲ですが、令和に生きる若者にはなじみのない作家となっています。

とても残念なことですが、時の冷酷さと芸術の宿命も感じられます。

ぜひ徳田秋聲記念館に出かけて金沢の隠れた魅力を味わってみてはいかがでしょうか。

館内には梅ノ橋を一望できるベンチがあり、金沢通の地元民はこのベンチで休憩したくて、わざわざ足を運ぶ人がいるぐらい見晴らしのいい場所です。

生誕150年の朗読劇「赤い花」

徳田秋聲の誕生日である12月23日(木)に生誕150年の朗読劇が金沢市文化ホールで開催予定です!

テーマは「死よりも強き恋」

元ナンバーワンダンサーの米子がシングルマザーになり、恋愛と仕事に葛藤する物語です。

私は米子さんの役で出演予定です!

プロの声優さんによる朗読、社交ダンス、金沢が誇るオーケストラ・アンサンブル金沢メンバーによる生演奏が楽しめるスペシャルな舞台です!

詳しくは

朗読会に出演する声優 板倉光隆さん、うえだ星子さん(金沢出身)、私。

金沢を代表する文豪の幻の名作の舞台化です!

クリスマス前の金沢の夜をぜひ文学の香りいっぱいにお過ごしください。

【徳田秋聲記念館】

※解説ボランティアによる館内案内あり(要予約)

・アクセス: 「北鉄路線バス」(金沢駅東口7番のりば)

橋場町・兼六園経由バス「橋場町(金城樓前)」下車 徒歩7分

・駐車場:駐車場は館正面に2台分。近くに公共の有料駐車場があります

・観覧料: 一般310円、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方およびその介護人210円(祝日無料)、高校生以下無料

・開館時間: 9:30~17:00(受付は16:30まで)

・住所: 〒920-0831 石川県金沢市東山1丁目19番1号

・TEL: (076)251-4300

※本記事の写真は許可を得て掲載しています

トップへ戻る

TOP