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プラハで感じる伝統的な日本の文化とおもてなしの心、創業26年の日本料理店 miyabi

ART SURVIVE BLOG

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プラハ特派員

更新日
2021年11月17日
公開日
2021年11月17日
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近年、チェコ共和国のプラハでは、日本食などのアジアの料理が人気を博しており、中心地を歩いていると、SUSHIと書かれた看板を見かけることも多いです。

そんな数多くあるアジアの料理のレストランの中に、伝統的な日本の文化とおもてなしの心をチェコの人々に伝えているお店があります。

それが、チェコ人オーナーのダリアさんが営む、日本料理店のmiyabi

このレストランでは日本の家庭料理と懐石料理、和菓子を堪能できるのはもちろん茶道、琴や尺八の演奏といった日本の文化を体験できるイベントも開催しています。

オーナーのダリアさんは、日本のICU(国際基督教大学)に留学、同大学を卒業した後、日本で13年を過ごし、名のある茶道流派のひとつ裏千家で学ぶなど、茶道を嗜み、幼い自分の子供のために、日本の食文化を学び、チェコに帰国後、1995年の5月5日、子供の日に日本料理店のmiyabiを立ち上げました。

miyabiには、テーブル席と、座敷、そして、和室があります。

この座敷の畳は、最初の畳が少し使い古されたとき、miyabiの畳のござを変える人を探していました。

そんな折、ワシントンDCの全米寿司コンテストで知り合った三重のお寿司屋さんから、お店の常連客の町田誠二さんを紹介してもらいました。

この町田さんは、畳を手作りで生産する事業に加えて建設業も手がけている方で、町田さんの協力のおかげで、畳のござを交換することができたそうです。

そんななか、私たちが通されたのは、イベントや常連のお客さんが招かれる和室。

昨年、完成したこの和室には、堀こたつがあり、来客は足を伸ばしてくつろぐことができます。

部屋から見える日本式の庭園は、趣深く、心を穏やかにしてくれる風景でした。

今回、私たちがいただいたのは、プラハ握りとお弁当、和菓子。

プラハ握りは、4種類のお寿司のセットで炙りサーモン・バターフィッシュ・赤身の黒ビールづけ・こんにゃく寿司をいただくことができます。

炙りサーモンは、脂がのっていて、サーモンの上には、オレンジの皮のピュレがあり、口の中でサーモンの旨味と溶け合います。

バターフィッシュは、日本では聞きなじみのない魚ですが、オーナーのダリアさんに聞いてみると、日本のアブラボウズにあたる魚だとのこと。

出されたバターフィッシュは湯引きがされており、名前とは裏腹にさっぱりとしていて、口に入れた瞬間に上にかかった抹茶塩の香りを感じることができました。

マグロの黒ビールづけは、名前にもある黒ビールと醤油で漬け込まれており、上には生クリームと洋わさび、味噌と黒ビールのドリップしたエキスが上にかかっていてチェコでよく採れるりんごを薄くスライスしたものがのっています。

繊細な味わいで複雑に絡み合った味と匂いが鼻からスッと抜けていく一品です。

個人的には、このお寿司を一番初めに味わうことをおすすめします。

こんにゃくの巻き寿司は、チェコ にはベジタリアンの方が多いこともあり

そんな人向けて作られたお寿司です。チェコではこんにゃくの製造がないこともあり、こんにゃくはこのお店の自家製です。

自家製こんにゃくを大葉で包み、ご飯に柚子胡椒と梅肉がのった2種の握りです。

中でも私が好きだったのは、柚子胡椒の握り。

こんにゃくの食感に大葉と柚子の爽やかな香りと味わいを胡椒でピリッとさせ味を締めます。

日本人には発想できない握り、組み合わせのインパクトだけでなく材料一つひとつの組み合わせが最高で、本当においしかったです。このこんにゃく握りは世界でもここだけでしか味わえないかもしれません。

miyabiでは、日本から職人の方をお呼びして、お寿司を学んだため

本当に繊細でおいしいに伝統的な日本のお寿司を味わうことができるほか、

日本では味わえない、チェコならではのユニークな発想から生まれたお寿司も味わえます。

次に、私たちがいただいたのは、さまざまな日本の家庭料理が詰め合わされたお弁当です。

お弁当の中身は日替わり、魚と肉のそれぞれのお弁当や、魚と肉を半々にしたお弁当、それからベジタリアンの方向けのお弁当といった種類から、選ぶことができます。

その中で今回、私たちがいただいたのは、魚と肉を半々にしたお弁当です。

お弁当の中身は、サバの味噌煮込み、バターフィッシュ(アブラボウズ)の醤油煮込み、肉団子と大根おろし、ひじきとほうれん草のおひたし、レンコン、浅漬け、味噌汁。

このお弁当はチェコの方にも人気で、毎日このお弁当を食べに来るお客さんもいらっしゃるようです。

チェコ料理は基本的に味が濃く重たい料理で、日本食とは対照的な食事なので、お昼に日本食を食べると、その日の午後からの調子がいいというお客さんからの声もあるそうです。

このお弁当からはオーナーのダリアさが日本で暮らし、自分の身体のため、

そして、わが子、家族の健康のために身につけた味を味わうことができます。

また、それはプラハで暮らす日本人の私にとっては

日本の実家の味を思いださせてくれる味でもありました。

なかでも、魚の煮込みは、魚をちびちびと食べるのもいいし、大きく口を開けひと口で頬張って食べるんもよし、もうひと口、もうひと口と手が自然と動くごはんがすすむ一品でした。

そして、口をピリっとさせたければ、味噌に煮込まれた生姜を、さっぱりとしたいなら、お味噌汁や浅漬けをいただけば、食事中に箸休めの日本独自の文化をあらためて感じることができます。

最後に私たちがいただいたのが、お口直しのデザート。

抹茶のジェラート、羊羹、白餡、黄身しぐれなどの和菓子をチェコで入手できる食材も合わせてアレンジした料理です。

まず、最初にいただいたのは抹茶のジェラート。

抹茶といってもまた日本の抹茶アイスとは違うこのお店のオリジナルでヨーグルト、ほろ苦いオレンジのピールが練りこまれたジェラートです。

上にのった果実はよくカクテルと一緒に出されることも多いほおずき。

食べると酸っぱい、だけどジェラートと一緒に食べるとまた癖になる味です。

余談ですが、チェコのスーパーではヨーグルトが多種多様であったりとヨーグルトを消費する文化が盛んなこともあり、このジェラートはチェコと日本がギュッと詰まった一品となっています。

次にいただいたのが羊羹。

この羊羹の材料は白餡とマルメロ(マルメロバターの一種であるジャムを自分で作ったもの)で、基本的には寒天で半分半分を固め、中には小豆とペパーミントの葉があり、さらに、日本の羊羹とはひと味違っていて、日本でもなかなか食べる機会がないザクロも使っています。白餡の優しい甘さとザクロのプチプチとした食感、さらに柚子の皮が入りほろ苦さを出し、色、味、食感すべてのもので舌を楽しませてくれる一品でした。また、食器もザクロと白餡を組み合わせた優しい色合いでマッチしていて、ついつい写真を撮りたくなってしまいます。

続いて、いただいたのが白餡の茶巾絞り。柚子のマーマレードも入っています。

優しい甘さでお茶と合わさることでお互いのよさを引出す一品でした。

白餡は豆をていねいに選別し、煮込み、裏ごし、布巾で水気を絞り、再度鍋に戻し砂糖と混ぜ合わせていくといった時間のかかる工程が必要になります。

miyabiが始まった当初はチェコの方にとって豆のお菓子は受け入れられない存在でした。

注文し、豆のお菓子だと聞くと、途中で食べるのをやめ捨てられてしまうことが何度もあったようです。

それを見た職人の方々は何度もこの白餡のお菓子をやめたいとダリアさんに訴えたそうですが、ダリアさんもスタッフの方たちを励まし、互いに支えながらこのお菓子を今でも作り続けています。

日本人にとって豆のお菓子は当たり前のような存在でしたが、このmiyabiではそういった苦労をすることがあったようです。

最後に、私たちがいただいたのが、黄身しぐれ。黄身しぐれの中は白餡と柚子で、皮は白餡、餅粉、卵黄を混ぜ合わせたものです。 もっちりとした食感が特徴的です。

それぞれの甘味が口の中で混じり合う一品でした。

miyabiの和菓子は繊細でありながらも力強さが感じられました。

日本の茶道とチェコの文化の両方を感じことのできるレストランはここだけでしょう。

また、miyabiは食器の一つひとつもとてもすてきで、アーティストからオーダーメイドで、製作してもらっているなどこだわりがあり、そちらも目で見て楽しめます。

ここmiyabiの料理は、美食家のパヴェル・マウレルさんが主催するチェコのガストロノミー・フェスティバルで、賞を受賞するなどmiyabiが生み出す、日本料理の一品一品が日本の食文化への造詣の深さを体現していると高く評価されています。

平成28年度には、農林水産省が主催するJAECAP20216にて、チェコで日本の食文化を広めているという貢献が認められ、表彰されました。

総会には、安倍元首相のお姿も。

創業から26年間、日本の文化をチェコに伝える架け橋となってきたmiyabi。

このレストランが始まるきっかけにはダリアさんの日本での暮らしとお子さんに対する思いがありました。

当時、21歳だったダリアさんは、持病をもっていましたが、日本での暮らしで、日々、日本の食を味わっていく中で、みるみる健康になり、健康的な日本食のすばらしさに感銘を受けました。

そして、この日本食のすばらしさを自分の子供たちにも、伝えたいという思いが芽生え、このレストランを始めたそうです。

ダリアさんはこう言います。

「私の子供たちは、このmiyabiで育ちました。だから、みんなグルメで日本食が大好きなんです」。

お店を訪問するまでは、緊張していたわたしたちでしたが、ダリアさんは物腰が柔かく、miyabiの話やダリアさん自身の日本文化に対する思いなどを

お話してくれたため、終始、和やかなムードで、お茶会のような雰囲気の中で取材をすることができました。

日本から遠い東欧の地で暮らしをするなかで、日本文化というものが恋しくなっていた私にとって、miyabiで料理をいただきお話していた時間は、いま自分は日本にいると感じることができる幸せな時間でした。

プラハに立ち寄り、日本の文化とおもてなしが恋しくなっつたら、ぜひ、miyabiをお訪ねください。

きっと、あなたは自分は日本にいると、感じることができるでしょう。

■miyabi

・住所: Navrátilova 664/10, 110 00 Nové Město

・電話番号: +420 296 233 102

・営業時間: 月~日 11:30~23:00

:Email: rezervace@miyabi.cz

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