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イングランド東部にあるケンブリッジを訪れたことがある友人より、中心地に近い町なかの宿は観光には便利だが、その立地ゆえずいぶんと割高だということを聞かされていました。
それに教訓を得たわが家は、同じくケンブリッジ観光に出向く際、駅ひとつ分離れた北ケンブリッジ(Cambridge North)という場所を拠点にしました。すると、これが大正解。開発されたばかりの新興エリアなのか、駅もその真横にあるホテルも新しく、周りは住宅街で混雑とは無縁。わが家のような家族連れには、願ったり叶ったりでした。
地元市民の優雅な週末
観光客にとっては「なにもない不便な町」とも言えますが、住宅街ならではの地元市民の生活感あふれた飾らない日常が垣間見えて、個人的には大満足でした。
なかでも癒されたのが、駅から歩いてすぐに現れる川岸。ケム川(River Cam)が流れるWater Streetには個人所有と思しきボートが浮かび、その前に椅子を並べておしゃべりに興じる近所の人たちや、屋根に寝そべって大音量で音楽を聞いている若者、カヌーを漕ぐ老若男女がときおり通り過ぎます。
川に面した庭を持つ住宅には一様にテラスが設けられ、庭の木々や吊るされた飾りなどが、場所柄なんだかやけに南国風。もちろん、気候的に特別暖かいというわけではありませんが、これまでほかの地域では感じたことのない、トロピカルな雰囲気が醸し出されていました。
そんな居心地のよい庭先に椅子を出し、静かに読書をする住人がチラリと見えました。若者がかけている音楽をBGMに、読み疲れたら顔を上げ、目前に広がる生き生きとした緑とゆったり流れる川を見て、目と頭を休めているようでした。
なんて優雅な週末の過ごし方でしょう!夕日が当たりを包み込む様子も幻想的で、住宅街にもかかわらず旅気分がいやでも盛り上がりました。
不思議な移動手段
なお、川に向かう道中では、現代の路上においては空耳かと思った馬のひづめの音がパッカパッカと聞こえ、振り向いたらなんと、本当にいました。
脚が短くて太い、体毛がやけに長いポニーのような馬に、荷台のような椅子を引かせた乗り物?が後ろからやってきたのです。若者男女3人、特に結婚式やパーティーをしている様子もなく、全員Tシャツにジーパン、馬を駆っている青年も業者に見えず、友達同士のような雰囲気。
富裕層が多そうなケンブリッジでは、馬も普通に所有して日常使いするものなのでしょうか!? はにかむ女の子たちがかわいらしく、こんな路上でもほっこり癒されました。
薄型ピザが絶品の地元パブ
さらに歩みを進めると「ハイ・ストリート」に出ます。通常イギリスでハイ・ストリートといったら、町の中心部、さまざまな商店や飲食店が並ぶ繁華街、もしくはちょっとした商店街を指すのですが、こちらのハイ・ストリートは郵便局のほかにはカフェと持ち帰り専門店、パブがそれぞれ1軒ずつあるのみ。
夕食には、地ビールの種類が豊富とあらかじめ下調べをした「ザ・ヘイメイカーズ(The Haymakers)」を選びました。イギリスのパブ料理こと"パブ飯"は、ガストロ系(関連記事)でないとハズレが多いので、この日もさほど期待せず入ったのですが、メニューを見るとなにかおかしい……。
2枚あるうちの1枚が、デザート以外すべてピザ!さまざまな種類のピザが取り揃えられており、こういった特定のメニューに力を入れている場合、アタリの確率が高いです。
ほかのメイン料理には目もくれず、さっそくサラダとピザのみを3種類注文しました。出てきたものは薄型の生地がほどよく、目にも鮮やかな色とりどりのトッピングがのった、いかにもおいしそうなタイプ!
ツナやナス、チェリートマト、パプリカなど、具だくさんなのも捨てがたいですが、子供たちにも大好評だったのはモッツァレラとヤギの2種類のチーズと、キャラメリゼされた玉ねぎとトリュフオイルがかけられたCaramellata。
玉ねぎの甘みとチーズの塩気が絶妙な組み合わせでした。1枚の大きさも十分で、お腹もすっかり満たされましたが、別腹のデザートをシェアしたティラミスとアイスクリームもおいしかったです。
帰りはまた川沿いを歩きながら戻るので、膨れたお腹とカロリーを消費させるのにピッタリでした。
◼️ザ・ヘイメイカーズ(The Haymakers)・住所: 54 High Street Chesterton, Cambridge CB4 1NG・アクセス: 電車Cambridge North駅から徒歩15分・営業時間: 月-木、土12:00〜23:00、金12:00〜24:00、日12:00〜22:00・URL: https://www.individualpubs.co.uk/haymakers/