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イギリスは日本と同じ島国なので、さまざまなタイプの海洋都市があります。イングランド北西部にあるリバプール(関連記事)や南部沿岸のポーツマスといった港湾都市ですと、クルーズ船やフェリーなど大型船舶が停留しているのを見られます。
南東部サセックス州の海岸(関連記事)ですと、地元民が海岸を散歩していたり漁船がポツンとあったりと、のどかなイメージがあります。
はたまた元王室の保養地、現一大ビーチリゾートとしてにぎわっている同州ブライトン(関連記事)は大衆的な海水浴場といった感じです。
そして今回、友人を訪ねに行った別の町、「ポート・ソレント(Port Solent)」はそのどれとも違い、規模からいってもこぢんまり、プライベートな空間でまた新たなタイプでした。
強いて例えるなら、場所柄近いのもあり、王室の避暑地として有名なワイト島(関連記事)にあるヨットハーバーと少し雰囲気が似ていました。ただし、それよりずっと小さい、マッタリできる場所です。
衣食住が揃うレジャー施設型の不動産エリア
どこに行くにも駐車代がバカにならないイギリスにしては珍しい、無料の駐車場に車を止めて友人との集合場所であるレストラン、「ワイルド・ウッド」に向かいました。
途中、映画館やフィットネス、ショッピングセンターを通りましたが、インドにタイなど多国籍な飲食店も揃い、そこら一帯がひとつの娯楽施設となっています。
イメージとしては東京・お台場の小型版のようなもので、場所はポーツマス中心街の北側、ポーツマスの駅から車ですぐのところにあります。ただし、海ではなく「ポールズグローブ(Paulsgrove)湖」に面しており、1980年代後半にヨットやモーターボートなどを係留する港、マリーナと住居を併せて開発された小さな町です。
食後の散歩にピッタリの遊歩道「ボード・ウォーク」
湾が小さい分ボートの密集度が高く、遊歩道からも個々の船体がよく見えるので、散歩をしていても飽きません。各ボートには船籍を示す船旗がくくりつけられ、友人に「アレはスコットランドの、コレはウェールズの」などと教えてもらいました。
さすがは長く暮らしているだけあり、船のメーカー名からもドイツ産だ、フランス産だと詳しく、日本産としてはおなじみ、ヤマハ発動機のものももちろんありました。これらの企業名からも垣間見れるように、停泊しているものはイギリス国内に限らず、周辺のヨーロッパ諸国から来ているものもあるそうです。
多少の違いはあれど、その多くは中型機ですが、なかには浮き輪のようなゴムボートにモーターをつけただけのものもあり、お金持ちの息子なのか、中学生のような子供がふたりだけで周遊していたのには驚きました。
海のように広いポールズグローブ湖
マリーナはプレミア社によって管理されており、歩道の突き当たりには同社の受付があります。そこまで来ると、まるで海にしか見えない雄大なポールズグローブ湖が姿を現します。
対岸には「ポートチェスター城(Portchester Castle)」が見えますが、週末はお休みという変わった施設なのが残念です。その先にはワイト島が、さらにもっと先をゆけばフランスがあります。
歴史ある軍港として栄えたポーツマスの一部にあるため、ポート・ソレントにも写真中央部に写っているような海軍施設が近くにあったりと、軍事的にも重要な町だったようです。左端に写っている崖の色が白いのも、石灰石を多く含んだイギリス南部沿岸の特徴です。
アン王女によって公式にお披露目された1988年当時は、ポート・ソレントのようなマリーナ一体型の居住地はまだ珍しく、ヨーロッパ一の規模を誇っていたそうです(参照:" History of Port Solent" Posol.)。
現在ではそれに加え、マリーナを眺めながら食事ができるおしゃれなレストランやショッピングアーケード、子供用の遊び場まである、さらにパワーアップした町に発展しました。メジャーなポーツマス港周辺の中心地よりゆったりと落ち着いて過ごせるポート・ソレント、おすすめです。
ポート・ソレント(Port Solent): https://www.portsolent.com/