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現地に着いてもなお、その長さゆえ地名をなかなか覚えられなかったイギリスのストラトフォード・アポン・エイボン(Stratford-upon-Avon)はロンドンのメリルボーン駅から電車で2時間強で行ける、イングランド中部の町です。
文豪ウィリアム・シェイクスピアの故郷として世界的に知られており、多くの観光客が訪れます。わが家でも、小学校で習ってきたという子供から以前よりせがまれていたので行ってきました。
町は地名にも関係しているエイボン川に面しているので、川とボートの景色が印象的です。地元のボートクラブもあるくらいで、さっそく川に漕ぎに出ているグループや、遊覧船ならぬ周遊ボートがたくさん走っています。
このストラトフォード運河は1816年に開設されたのですが、なぜだか看板の説明書きが日本語併記。中国語はあっても日本語は日頃ほとんど見かけないので、こちらは建設や調査などで日本の企業か研究機関が関与したのでしょうか。
「餌をやらないでください」という注意書きの横で、食パンを大量に投げ入れる観光客がいるので、川はギョッとするほどの白鳥であふれ返っています。なかには町の通りにまで上ってきてしまうものもあり、地元住民が必死で誘導していました。
日によって違うのでしょうが、この日はマーケットが並んでおり、スコーンやケーキにキャラメル、カードに絵、マフラー、レゴを使ったフィギュアや木製のアウトドア大型家具まで、手作り品が軒を連ねています。
そこから町のメインストリートが続き、歴史を感じさせる古い建物の商店を冷やかしながらズンズン歩いて行くと、なんだかやたら記念撮影が途切れないとある1軒の家が現れました。
こちらがかの象徴的な、「シェイクスピアの生家(Shakespeare’s Birthplace)」でした。さっそく窓口でチケットを買って中に入ろうとしたのですが、コロナ禍の名残りか目の前にあるにもかかわらずオンラインで購入しなければならず、立っているスタッフの助けを借りながら予約、無事希望どおりの時間帯で入れました。
シェイクスピアに感化された、芸術家たちによるアート作品が展示されているはずの資料館は、なぜだか2022年11月現在閉鎖中で再開は未定とのことです。
シェイクスピアの父は革手袋の商人だったそうで、生家の1階では気さくなスタッフが当時の手袋の作り方を実際の革を使って教えてくれました。
それによると家の前は牧草地が広がり、手袋を作る際はまず動物の皮を家畜の尿に数日間浸し、さらには糞を塗りたくって乾かすという衝撃の内容でした。そうすることによって皮が柔らかく、しなやかになるそうです。
家も庭も決して広くはありませんが、2階の寝室など当時を再現した部屋の壁紙や家具などはどれもおしゃれで、商家の子としてそれなりに裕福であったことがうかがえます。
再度1階に降り、台所の展示コーナーを経て家を出ると、最後は別館のギフト・ショップへと続きます。こちらは入口が表通りに面しており、入館者でなくとも誰でも入ることができます。
シェイクスピア作品の書物はもちろんのこと、作品の1場面をカードにしたものやゆかりのある地を描いた絵、文房具などが並びシェイクスピアのファンにはうれしい品揃えとなっています。
定番の紅茶やショートブレッドといった菓子類も、落ち着いたピンク色と金色でまとめられたパッケージが高級感を出しており、町の水彩画とともに買い求めました。
入館チケットにはシェイクスピアの妻であった「アン・ハサウェイの生家」や、シェイクスピア最後の居住地であった「ニュー・プレイス」にも入れるお得なものもあるのですが、「冬季」であるこの時期は残念ながらやっておらず、また、衣装に身を包んだスタッフによる各種ショーや中庭で繰り広げられる演劇なども今回ありませんでした。
再開は2023年の春季からとなっています。イベントやアクティビティなどについても、詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。