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こんにちは。アントワープ特派員のマユミです。
ベルギーでは新型コロナウイルスが蔓延しており、ロックダウンも継続中です。
事態が収束したら訪れてほしいおすすめの場所、今回は近代建築のひとつを紹介します。
アントワープはベルギー王国設立に重要な役割を果たしてきた歴史があり、古い建物も多いのですが、一方で近代建築も目を見張るものがあります。そのひとつで公のオープンスペースにあり、いつでも見ることができるParkbrug(パークブリッジ)を紹介します。
アントワープ市内の北エリアにPark Spoor Noordという大きな公園があります。Parkbrugは、その西端からItaliëlei通りをまたぐ形で建っています。これはアントワープ北エリアのカディックス地区(写真左側)とアイランチェ地区(写真右側)を結ぶ役目を果たします。
Parkbrugは日本式にいうと歩道橋で、歩行者と自転車が通ることができる橋。
公園側からは緩やかな坂になっていて、そのままブリッジにつながります。アイランチェ側からは自転車用の樋"VeloComfort"と階段、隣接するタワービルに直結している大型エレベーターが24時間利用可能です。"VeloComfort"は特別な自転車用の特別なシステムで、サイクリストの負担を軽減します。例えば、自転車を降下する場合は樋に付随している剛毛が自転車の速度を落とし、直立状態を維持するため、余分な力が要りません。逆に自転車を上昇させる場合も、ベルトによって持ち上げるので楽に移動ができます。これが公共の施設に用いられるのはフランダース地区で初めてだそうです。
Parkbrugは2016年の6月11日に設置、7月8日に正式オープンとなりました。
施行はAG Vespa、設計・デザインはNey & partnersによるものです。
Parkbrugの輸送は壮大な規模で行われました。水上輸送と設置の両方は、技術的に本当の偉業でした。長さ67m、重さ170トンの橋をふたつの建物に正確に設置するのは簡単ではありません。多くの忍耐と精密な作業の甲斐あって、いまではアントワープ北エリアの印象的な玄関口となっています。
下記URLのページ中ほどにある"Transport en plaatsing van de Parkbrug"というタイトルの動画ではメイキングの様子が見られます。建築ファンは必見です。
・URL:https://www.antwerpen.be/info/56544ab3b2a8a7c3998b45f2/parkbrug
この橋を訪れたら、ぜひ、いろんな角度から眺めて欲しい。
視線の方向や、通過する場所によって、さまざまな光景を見ることができます。橋の形が変わって見えたり、光の方向や強さによる違いも楽しめます。また、橋の中を歩くと、空を歩いているような錯覚を覚えます。これは橋の質感と構造によるもの。橋の壁にあたる部分には、レース模様のように無数の穴が開いていて、美しさとともに開放感や浮遊感を感じさせてくれます。
日中は光と影、空とのコントラストを楽しめます。夜になると、橋が灯籠のように浮かび上がって幻想的です。
橋の上は右側通行で、歩行者が外側の壁沿い、自転車が中央を通行します。
Parkbrugのアイランチェ側にも自転車用のスロープが作られます。2021年1月、さまざまな部品が水路を渡って届き、巨大なクレーンを使った設置がダイナミックに始まりました。この様子は下記URLの"Plaatsing fietshelling Parkbrug"というタイトルの動画から見られます。
なだらかな傾斜の自転車専用スロープ、長さは140mで、白い軽い鉄骨構造のループ型のデザインになっています。完成予定は2021年5月、遅くとも秋までに使用できるようになるそうです。
前述しました、大型エレベーターと"VeloComfort"も継続利用できます。
ベルギー人は自転車が大好き、自転車競技もとても盛んです。アイランチェは競技のスタートやゴール地点にたびたび選ばれる場所でもあるので、競技開催が可能になったら、すぐにでも使われるでしょうね。建設中のスロープを通ってParkbrugを通過……なんてとても絵になりそうです。
・URL:https://www.agvespa.be/projecten/parkbrug#over