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こんにちは。アントワープ特派員のマユミです。
ベルギーでは新型コロナウイルスが蔓延しており、このところ、新規感染者他の数値の伸びが止まらない状態でした。政府は再び強いロックダウンを決め、4月25日まで決行されます。
自由に旅行できる日が戻ることを願いつつ、今日も情報をお届けします。
レトロ好きにはたまらない【聖アンナトンネルと木製エスカレーター】。事態が収束したら訪れてみてください。
アントワープの地図を見たとき、町を縦断しているのがスヘルデ川。そのスヘルデ川を横断、つまり町の中心から川向こうの"Linkeroever"という地区をつなぐトンネルが聖アンナトンネルです。徒歩か自転車で通行可能です。
トンネルは地下31.57mの深さにあります。自転車が10台弱は乗りそうな大型のエレベーターか、木製のエスカレーターを使って行きます。残念ながら、エレベーターは不具合が続いたようで、2021年3月現在休止しています。2021年夏に全面改修を予定しています。エスカレーターは24時間運行していますので安心してください。
町の中心側の入口は写真のビルが建っています。華やかな装飾が普通だった頃の建物にしては、質素で逆に目立っています。
1874年頃から、人々は市の左岸と右岸をつなげる方法を協議し始めました。スヘルデ川に架かる橋について多くの計画が提出されましたが、それらは毎回放棄されました。 特に橋が輸送交通を妨げるであろうという貿易の町、アントワープならではの理由です。昨年まで(ロックダウン前)を見ていても、大型コンテナー船、大型客船の通過も多いスヘルデ川。大きく、高い橋を作っても充分でないかもしれませんし、美観を損ねるという懸念もあったかもしれません。
1931年にようやくトンネル建設案が決定され、長さ572mの聖アンナトンネルは1933年に完成しました。
多くのヨーロッパの建造物と同様に、トンネルは第二次世界大戦中にひどく損傷しました。そのあと修理され、歩行者や自転車が毎日通る市民の足のひとつとなっています。
町の中心側のトンネル入口の壁には、トンネルの歴史とその建設方法を示す案内があります。写真のタイル製の見取り図もすてきですよね。
・URL: https://www.visitantwerpen.be/en/transport-antwerp/pedestrian-and-cyclists-tunnel
トンネルと同じく、1930年代に作られたエスカレーターは木製で、当時から珍しいものでした。美しい木工品は保存と管理がよく、いまもツヤツヤしています。古さは否めないので、音は大きく響きますが、レトロ好きにはたまりません。
また、自転車が日常生活やスポーツ競技としても根づいているベルギーらしく、エスカレーターに自転車ごと乗っている人を多く見かけます。
はじめてこのエスカレーターに乗ったときは、珍しさ、美しさに感動し、何度も行ったり来たり、乗ったり降りたりしたものです。エスカレーターの両側のタイルの壁も、飾られた絵も楽しみです。
町の右岸が昔からの町の中心だとすると、左岸は住宅地として開発されたエリアです。右岸⇄左岸の公共施設による往来は現在3種類となっています。地下鉄(トラム)、水上タクシー、そして聖アンナトンネルです。
トンネルを渡って、Linkeroeverに到着すると、川に沿って気持ちいいSimons Parkが広がっています。川を挟んで眺める、大聖堂を中心とする旧市街は絶景だという人も多いです。ぜひ、体験してみてください。