キーワードで検索
こんにちは。デルフト特派員のあおです。
皆さんは、オランダの食文化にどんなイメージをお持ちですか?
おそらく「オランダの食文化はさびしい」という噂を耳にし、食事に期待をしていない方が多いのではないでしょうか。
オランダの伝統料理には素朴なものが多いので、食への関心が高い日本人からすると物足りなさを感じるかもしれません。しかし、実際に生活してみると意外にもバリエーションに富んだ食事を楽しめます。
そんなオランダの食についても今後紹介していきたいと思いますが、今回は、ガイドブックでもほぼ見かけないオランダの誇るB級グルメ、その名も「カプサロン(Kapsalon)」について紹介します。
「カプサロン(Kapsalon)」は、オランダ・ロッテルダム発祥のいわゆるB級グルメ。
アルミ容器の底にフライドポテトが敷き詰められ、その上にどっさりのったケバブの肉、たっぷりのソースにチーズ、そして一番上にサラダがトッピングされた食べ物で、写真を見てもわかると思いますが、ボリューム満点でハイカロリーな一品です。
オランダ発祥とはいえ、中東系の食事がベースになっているメニューです。
興味のある方は、ケバブ屋や中東系のファストフード店に足を運べば、食べることができます。
ただし、カプサロン(Kapsalon)は、本来オランダ語で「床屋、美容室」という意味の単語。
そのため、"kapsalon"の単語だけを頼りに検索してしまうと、本物の床屋にたどり着いてしまうので要注意です。
一説によると、ロッテルダムのある床屋の店員が、行きつけのケバブ屋で大好物のフライドポテトとケバブを組み合わせた独自メニューをお願いしたのがきっかけで「カプサロン」という食べ物が誕生したのだとか。それが瞬く間に人気メニューとなってオランダ全土に広がり、いつしかそのまま「カプサロン」として親しまれるようになったそうです。
ここでちょっとこぼれ話を。
カプサロン発祥の地でもあるロッテルダム。このロッテルダム中央駅のニックネームが「カプサロン」なのだそうです。
確かに言われてみると、駅舎のデザインがカプサロンのアルミ容器に似ているような。
夏などの晴れた日は日光が反射してシルバーが際立ち、余計にカプサロン度が増します。
カプサロンと本当に関係があるのか真偽は不明ですが、ロッテルダム観光に訪れる方はぜひご自身の目で確かめてみてください。
今回、私が食べたのは、鶏肉のドネル(kipdöner)とショアルマ(shoarma)。
肉やソースの組み合わせは自分で選ぶことができ、お肉はツナやファラフェルも選ぶことができます。
上にかけるソースにもいくつか種類がありますが、ガーリックソース(knoflooksaus)かサンバル(sambal)というインドネシアのチリソースの2種類が主流です。サンバルはかなりヒリヒリするので、辛いのが好きな方にはおすすめです。
一見野菜たっぷりでヘルシーに見えますが、サラダは申し訳程度の量しかのっていません。
サラダをかき分けるとすぐにチーズやお肉、ポテトがどっさり見えてきます。
見た目からは想像がつきにくいですが、けっこうおいしいです。
ソースのよくからんだ肉と塩気のきいたチーズとポテトは相性抜群で、背徳感を抱きながらもフォークを口に運ぶ手が止まりません。味が濃いので、少量のサラダもちょうどいい箸休めになり、意外とバランスがとれています。
ただし、食後はものすごくのどが渇きます。カプサロンを食べに行く日は、水を多めに用意しておいた方が賢明かもしれません。
最後に、カプサロンを食べるうえで気をつけていただきたいのは、注文するサイズ。
今回紹介したものはすべてスモールサイズ。この小さなアルミ容器にこれでもかというくらいぎっしり具が詰まっています。
私は比較的よく食べる方だと自覚していますが、スモールサイズですら完食するのがたいへんでした。
少食の方は、スモールサイズを誰かとシェアしながら食べるくらいがちょうどいいかもしれません(ただし、新型コロナの心配がいらない世の中になっていればですが……)。
価格設定は、スモールサイズでだいたい€5~7と手頃で、「安くて、おいしくて、お腹いっぱいになれる」と三拍子そろったB級グルメなのです。
そんな現地で人気のカプサロンですが、日本人向けガイドブックではほぼ見かけたことがありません。
あまり写真映えする見た目ではないからでしょうか……?
しかし、手頃な価格でオランダグルメをお腹いっぱい食べてみたい!という方にはいち押しの食べ物です。
事態が収束し、安心してオランダに旅行できるようになったら、ぜひ現地で食べてみてください!
デルフトでカプサロンを食べられるお店はこちら↓です。