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2021年3月23日夜、オランダでは首相会見が開かれ、ロックダウンが4月20日まで延長されることが発表されました。
夜間外出禁止令が、現在の夜9時開始から夜10時に変更となる以外は、ほぼ現状維持となります。(参照:在オランダ日本国大使館 、オランダ政府 )
ところで、ルッテ首相といえば……
先週の話になってしまいますが、3月17日にオランダでは下院総選挙が行われ、今期もルッテ首相率いる自由民主党が第一党となりました。
私には選挙権がなく静観する立場でしたが、日本とは異なる興味深い光景がいくつかあったので、少し紹介したいと思います。
オランダでは国民の政治への関心が高く、今回の投票率はなんと82%もあったそうです!
選挙制度の違いを差し引いても、日本の投票率に見慣れている身としては驚きの数字です。
高い投票率と関連してなのか、オランダではいたるところに投票所が設置されます。しかも、選挙のたびにユニークな場所が投票所になるそうで、今回も珍しい投票所がいろいろと登場していました。
たとえば、車や自転車でのドライブスルー投票所。
新型コロナ対策のために登場した投票形式ですが、自転車も含まれるところがオランダらしいですね。
健康省大臣を務めるデ・ヨング氏が、車でこのドライブスルー投票所を利用したものの、提示した身分証明書が期限切れのパスポートだったため出直すはめになった…なんていう珍事件も起こりました。
また、美術館が投票所になることもあるそうで、今回は観光名所としても有名なゴッホ美術館(アムステルダム)も投票所として利用されました。
ロックダウンのため12月以降閉鎖されていますが、久しぶりに市民に開かれたようです(ただし、絵は鑑賞できなかったようです)。
参照:https://www.vangoghmuseum.nl/nl/over/nieuws-en-pers/nieuws/breng-je-stem-uit-in-het-van-gogh-museum
そのほかにもコンサートホールや5つ星ホテル、デン・ハーグの国会議事堂(上院)まで投票所になっていたようです。
そしてデルフトはどうだったかというと、
町のシンボルである旧教会と新教会の両方が投票所となっていました!
「Stembureau」と書かれたのぼりが投票所の目印です。
私の認識では、日本で投票所といえば、公民館や地域の小学校などが定番。
歴史ある教会が投票所として利用されるとは、想像すらしませんでした。恐らく滅多にあることではなく、コロナ禍だからこそ会場として選ばれたのだろうと推測しますが、すごいです。
私の知る限りで間違いなく「最も美しい投票所」です。中に入れる方たちが羨ましく感じた瞬間でした。
もちろんいくつもある投票所の中の一部ですが、どうも人気があったようで新教会の前にはずっと長い列ができていました。
ちなみに、のぼりに描かれている赤鉛筆のイラストが見えるでしょうか。
オランダでは投票用紙の支持政党、候補者の名前の横にある「〇」を赤鉛筆で塗りつぶすことから、赤鉛筆が選挙のシンボルとなっています。
通常は持ち帰り不可なのですが、今年の選挙では持ち帰りを許可する自治体も多かったそうで、SNSでは赤鉛筆との記念写真で盛り上がっていました。
また、インターネットのフリーマーケットサイトでも赤鉛筆が多く出品され、便乗してまったく無関係の色鉛筆セットまで売られはじめ、なんともシュールな光景が繰り広げられていました。どこの国でも似たようなことを考える人たちがいるものですね。
次回の選挙は4年後。その頃には安心してオランダへ旅行できるようになっていると信じていますが、もしかすると観光で訪れた場所が投票所になっているかもしれません。