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こんにちは。デルフト特派員のあおです。
今回は、デルフトからもアクセス可能な、デン・ハーグ郊外にあるアート「De terp van Leidschenveen」を紹介します。
事態が収束し、オランダへ安心して旅行できるようになったらぜひ訪れてみてください。
De Terp van Leidschenveenは、フォトスポットとしてオランダ国内でひそかに人気のある屋外アートです。
丘の上に建つ白い教会がとても印象的で、角度を変えたり、近づいたり離れたり、空模様によっても印象がガラリと変わるので、写真の撮り甲斐があります。
この日も、本格的な一眼レフを携えた方が撮影に来ていました。
今回の写真は、2021年4月初旬の午前中に撮影したものです。まだ少し陽が低く、逆光気味になりました。
これはこれで気にっていますが、時間帯や季節を変えると異なる印象の写真が撮れると思うと、また足を運びたくなります。
De Terp van Leidschenveenは直訳すると、 「Leidschenveenの丘」(英訳:The mound of Leidschenveen)。
もともとはゴミ捨て場だったそうですが、現在は芝で覆われたきれいな丘に生まれ変わり、住宅街のすぐそばを走る電車や高速道路の騒音を防ぐ役割も果たしているようです。
丘の上の教会は、写真だけ見るとまるで果てしなく広がる草原の丘にポツンと建っているように思えますが、実際はごく普通の住宅街の中にあり、写真の印象との違いに驚きます。また、古い時代の風景を想起させるたたずまいですが、歴史的建造物というわけでもないのです。
この教会は、Laurens Kolks と Dennis Lohuisにより2009年にデザインされました。
この教会には宗教的な意味はなく、あくまでアート作品です。中は空洞で入ることはできず、実際に使用されているわけでもありません。
最寄りのトラム停車駅 Leidschenveen Centrumを降り、住宅街のなかを10分ほど歩いていくと、奥の方に丘と教会が見えてきます。丘をのぼって教会に近づいていくと、想像していたよりもずっと小さな教会であることがわかり、不思議な感覚に陥ります。
これには巧妙な視覚のトリックが用いられているそうで、教会の寸法は実在するような教会と同じようになっていること、大きさの比較になるようなものがそばにないこと、そして広いピラミッド形状の丘の上にあることで遠近効果が強まり、こうした感覚が生じるそうです。
丘の上からの眺めは絶景というほどでもなく、ごくありふれた生活感漂う景色ですが、喧騒からすこし距離を置くことで日常を俯瞰するような感覚を味わえます。視覚のトリックだけでなく、そうした概念的な体験ができるのもこの丘のおもしろさです。
デルフトからはトラム(19番)と徒歩で40分ほどの場所にあるので、デルフトやデン・ハーグ観光の際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
【補足(2021年5月28日追記)】
かつてオランダは海よりも低い土地を彼らの祖先が干拓して開墾してきましたが、オランダ北部地域(フリースラント)では、人工の小高い丘の上に集落を形成しました。その人工の丘はTerp(テルプ)と呼ばれており、オランダ北部の古くからの景色です。
この作品は、芝で覆われたこの丘をTerp(テルプ)に見立て、かつてのオランダ北部でよく見られた風景を象徴的に再現しているそうです。