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ニューメキシコ州チャコ文化国立歴史公園は、世界遺産にも登録されている国立公園です。当時は米国南西部で最も影響力を持っていた文化の中心地として栄えていました。西暦800年頃から1100年頃まで、古代チャコ人はプエブロと呼ばれる集落を近郊地域に多数建設します。5階建ての巨大な建造物と儀式用の広場を建設している場所もあります。複雑に入り組んだ道路網はそれぞれのプエブロをつなぎ、最盛期にはその文化は現在のニューメキシコ州のほとんどを網羅し、さらにはユタ州、コロラド州、アリゾナ州の一部にも及んでいました。
当時チャコ社会の中心にあったのが、ここチャコ文化国立歴史公園内にあるプエブロ・ボニート(スペイン語で「美しい町」という意味)。面積約1万6000平方メートルの土地に、650近い部屋が蜂の巣のように並んでいます。プエブロボニートは、太陽の動きに合わせた位置に作られており、春分・秋分に、太陽が、ちょうどD字型のボニートの南端の東西に走る壁の線上を動きます。
宗教的儀式に使われていたとされるキバ。
アメリカ自然史博物館の考古学者らによって、1896年にプエブロ・ボニートの発掘調査で、小さな隠し部屋の床下に埋葬された14人分の人骨を発見しています。これらはほかの遺跡に見られるような生贄ではなく、放射性炭素による年代測定とDNA分析により、初期アメリカ先住民族の支配者一族のものではないかとの見方が強まっています。全員、母方の血縁でいわゆる母系家族であることがわかったのです。もしかすると、宗教儀式を担う権力を持った母系一族だったのかもしれません。
壁画もありますが、かなり劣化しています。
謎多き古代人の生活や思いの断片を感じられるこの神秘の遺跡跡へは、このような悪路を行きます。人里離れた場所ですが、ゆっくりと見て回ることができます。