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「(食事のみ)50%オフ」のバナーに誘われ、ふらふらと入ったロンドン南部、パーリーにあるインド料理店「ボンベイリシャス(Bombaylicious)」。
出血大サービスのこのプロモーション(2023年2月いっぱいで終了)は、もしかして開店1周年記念だったのかもしれませんが、白いテーブルクロスに白ナプキン、ワイングラスがセットされている上品めなレストランで、お得に食事を楽しんできました。
夕食にはまだ早い時間帯だったのでほかに利用客はおらず、1番乗りでした。席につくと照明が絞られ、一気にディナーモード、グッと雰囲気がよくなりました。
配られたメニューには、図解つきでボンベイがかつては7つの島の集まりだったことが書かれており、驚きました。もともとはシンハラ(Silhara)朝やグジャラート・スルタン朝といった、インド土着の帝国の一部だったこれら7島は、大規模な干拓により1845年までにはひとつの島に統合、ついにはインド本土の一部となりました。
その独特の屋台料理の味は新たな文化の拠点として、瞬く間に世界に広まったそうです。
ボンベイはインドの西海岸に位置しますが、ボンベイリシャスが出す料理は北部中心とのこと。鮮度と品質にこだわった最上のものを出すことに力を注いでいるようなので、味には期待できそうです。
とりあえずボンベイと名のついた「Bombay Batata Wada Pao(£6.95)」というものをスターターに選んでみたら、パオなので饅頭系? ひよこ豆と芋のパテが挟まれた、まるでベジバーガーのようなものが出てきました。
皆で食べようとしていたのでどうやって分けるか戸惑いましたが、確かに屋台風、とてもおいしかったです。ビールはもちろん、インドビールのコブラを。
この日わが家は全員カレー気分だったのか、こちらの前菜をひとつ頼んだほかは、追加注文にいたる間もなくほぼすべてカレーで終わってしまいましたが、食べ比べができてよかったです。
子供は豆腐だと勘違いしていた、カッテージチーズのパニールが入った「Paneer Butter Masala(£10)」、チキンカレー「Keralan Chicken Curry (£11)」、ちょっと豪華にカニ入り「Tawa Crab(£16)」を頼みましたが、皆それぞれ自分が選んだものがいちばんおいしいと言い張りました。
カレーなので当然ご飯が進み、珍しかったので始めに頼んでおいたチーズとチリのナンだけでは到底足りず、白米にサフロン・ライスをお代わり。カレー同様、銅色のミニバケツに入れられ、かわいい盛り付けです。どれも予想以上に辛く、特にカニカレーに入っている緑の唐辛子は要注意でした。
口に広がった辛さを和らげるには、甘いスイーツの出番ですね。生産量世界一、“マンゴー大国”とも称されるインドのデザートとしてピッタリなマンゴーのクリームブリュレ(£6.95)と、“新レベル”だというブラウニー(£7.95)を注文しました。
すると、デザートなはずなのに、なぜかジュージューという香ばしい音が(聞こえたような!?)……。熱々の鉄板に鎮座する黒々としたブラウニーの周りに、さらに黒いチョコレートソースがフツフツと煮えたぎっています。
トップにはお決まり、クリーム色のバニラアイスが乗っており、熱さとひんやり冷たさを絡めながらいただくブラウニーはまさに、同店のコンセプトどおり新鮮さを打ち出し、シメのデザートにふさわしい逸品でした。
ボンベイとはポルトガル語のボン・バイア(良港)に由来するよう、植民地時代に委譲されたイギリスにとっても交易、軍事ともに重要な拠点となり、縁が深い場所です。現在は従来より使われていたムンバイという名前に戻りましたが、都市コードがBOMのままだったり、インド現地ではムンバイは公のもので、日常ではいまだにボンベイの方が自然と感じる人も多いそうです(参照:Knox, Patrick. “Why did Bombay change its name to Mumbai, when did it happen and what was Shiv Sena’s reason?” Aug 2018, The Sun.)。
西洋とインドの食文化が融合したかもしれない、“ボンベイリシャス”なフードをロンドン郊外価格でぜひ1度、お試しあれ。クーズドン(Coulsdon)にも支店があります。