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青葉が生い茂り、ようやく気持ちのよい頃合いになってきたイギリス。最高の季節に向けてこれから始まるであろう、行楽ハイシーズンで混み合う前に、定年後の移住先や保養地としての人気も高い、コーンウォール州に行ってきました。
「ランズ・エンド(Land's End)」という岬があるように、同州はブリテン本島の最西端に位置し、穏やかな気候と魅力的なビーチが数多くあるエリアとして知られています。
そのためか、宿泊費は全体的にお高めだったとかで、今回初めてエアビー、つまり民泊を利用しました。外観は普通のアパートで、事前にメールで送られてきた詳細な“利用方法”を元に、オートロックのロビーを通過し、“チェックイン”しました。
鍵はどこかと思えば、ドア脇のこれまたロックつきの小箱に入っており、暗証番号を入力すると取り出せる仕組みです。なにからなにまで知らないことだらけで、まったく驚きの連続です。部屋に入るとバスルームがふたつついた2LDKで、予想外の広さと清潔さにこれまたビックリ。
それまで民泊というのは、本当に普段の家を一部貸し出す、生活感あふれる施設と認識していたので、モダンで地元の風景が描かれた絵が各部屋にかけられていたり、ホテルと同じようなリネン類や備品(シャンプーなどのアメニティはありません)があることに感動しました(当然の基準かもしれませんが、なにせ無知だったので……)。
始めに駐車場のことで、オーナーも予想外のトラブルに見舞われたことと、ひとさまのお宅を借りているようで、退去時にはゴミ出しをしたり(任意ですが「うれしいです」と、うまく書かれています)、なるべく部屋を元の状態に戻すよう、普段と変わらぬ家事をしている気分だったのが少し手間ですが、こんな一時滞在者に対しても、周りの住人が階段でも駐車場でも軽く挨拶や笑顔を返してくれ、まるで住んでいるかのように過ごせたのはとてもよい体験で、旅における新しい発見でした。
今回滞在したのは、トルカーン(Tolcarne)・ビーチ前のニューキー(Newquay)という町にあるエアビー。ここを拠点にコーンウォール中を車で移動し、観光しました。その前に初日はまず、ニューキー周辺を探索。海岸沿いを駅に向かって、さらにその先のグレート・ウエスタン・ビーチの方まで歩きました。
駅周辺にはスーパーのリドルやアスダといった大型スーパー、テスコの小型店もあり、気どらない飲食店も豊富に並ぶので、エアビーで“住むように滞在”するにはうってつけの町なようです。
この日は残念ながらイギリスらしい雨で、せっかくの砂浜が広がるビーチの美しさをあまり堪能できませんでしたが、そんな肌寒い天気にもめげず、下を向いて濡れそぼりながらも、一心に海に向かうウェットスーツ姿の人たちを何人も見かけました。
小脇にボードを抱える彼らはそう、サーファー! コーンウォール空港があるニューキーは、国内随一のサーフィン大会である「the Boardmasters surfing championships」が毎年開かれ、海外からもプロ選手が多く訪れる、サーフィンの聖地ともいえる町だったのです。たしかに、イギリスでこんなにも波を見たのは初めてです。
連なるサーフショップを冷やかしながら、さらにトワン(Towan)・ビーチまで足を延ばすと、奇怪な光景が目に飛び込んできました。小さな島には立派すぎるほどの橋が、たった1軒の個人宅らしき建物に繋がっています。こちらは実は「ジ・アイランド(The Island)」という、最大6人まで泊まれる高級コテージです。
満潮時には完全に孤島となり、プライベート感満載。部屋から眺める果てしない大西洋の景色、バーベキューができるガーデンにテラス、出張シェフを手配することも可能と、ハネムーンや記念日など特別な日の演出にもピッタリの施設です。
地元コーンウォールのオンライン誌によると、改装された現在のインテリアはニュー・イングランド式のモダンでスタイリッシュなタイプですが、もともとは貴族の館としても使われていた、ヴィクトリア調のティールームでした。シャーロック・ホームズの生みの親、作家のアーサー・コナン・ドイルもしばしば訪れたというので驚きです(参照:Aston, Daniel. “Take a peek inside The Island dream house on Towan Beach in Newquay” Sep 2020, Cornwall Live.)。チェックインとアウトが月曜あるいは金曜のみなど、利用時の注意点がいくつかありますので、詳しくは以下のウェブサイトで確認ください。
そのままさらに10分ほども歩けば、前述した国際サーフィン大会の会場として知られるフィストラル(Fistral)・ビーチまでたどり着けたのですが、あいにくの天気だったので来た道を戻り、途中行列のできていたフィッシュ・アンド・チップス店の「コッド・エンド(The Cod End)」で夕食としました。