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【スコットランド】絶滅危惧種の赤リスを見た

ベイトマン明子

ベイトマン明子

イギリス特派員

更新日
2023年6月11日
公開日
2023年6月11日
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イギリスやスコットランドでは暮らしの近くに森や公園などの自然が多く、日々の暮らしの中で多くの野生動物に出会います。その中でもあちこちで見かけるのがリス。公園やゴルフコース、森の中はもちろんのこと、家の庭でも走り回る姿をよく見かける、人々に馴染みの深い動物です。
しかし私たちが普通に見かけるのは灰色リスという外来種で、本来イギリスやスコットランドに生息していたリスは「赤リス」なのだそう。
赤リスは灰色リスに比べて身体も一回り小さくて穏やかなので、長い間をかけて力が強くて凶暴な灰色リスに生息地域を奪われていってしまったそうです。
現在では赤リスの数は激減し、イギリスの北部またはスコットランドの一部の地域でしか見ることができません。
今回はそんな幻の絶滅危惧種「赤リス」について紹介します。

赤リスとは

赤い毛色をしているので赤リスと呼ばれていますが、本来は「キタリス」というのが元々イギリスやスコットランドに生息していたリスの名称です。
体長22~27cm、尾長16~20cm。小さな身体にふさふさした尻尾が可愛らしいこのリスは、松林などの針葉樹林に生息し、昼行性で冬眠はせず、木の実や種子を食べて生息しています。
1940年ごろまでは、この赤リスがイギリスの元々の種として普通に生息していました。ところが1876年にアメリカから身体が大きくて凶暴な灰色リスが渡ってきて以来、その生態が変化してきたそうです。灰色リスによる病原によって赤リスの数がどんどん減り、その生息地も奪われていきました。
現在では赤リスが16万匹に対し、灰色リスは250万匹であり、赤リスの数は更に減少傾向にあります。現在では赤リスは絶滅危惧種に認定され、様々な保護団体が巣箱の設置や保護地区の設定を行って、活発な保護活動が行われるようになりましたが、その姿を見ることができるのは稀です。
イギリスやスコットランドでは赤リスは人々から愛されていて、もしも赤リスを見ることができたら幸運の印とされ、バースデーカードや生活用品などのモチーフとして使われることも多い、人気の小動物です。

外来種の灰色リス。見た目は可愛いけど凶暴な性格。
これが赤リス。毛色が赤く、身体が小さい。

ゴルフコースで赤リスを見た

私が所属しているファイフ地方のレディーバンクゴルフクラブは、松林に囲まれたパークランドコースです。このゴルフコースは南北のアンズミュアウッズという森林に囲まれていて、鳥、鹿、ウサギ、リスなどの野生動物も数多く生息しています。
先日ゴルフをしていた時、あちこちの松の木にナッツ箱が設置されているのに気づきました。鳥の餌箱かな?と思っていましたが、なんとそれは幻の赤リス用の餌箱なのだそうです。本当にこんな身近なところに、あの幻の赤リスが生息しているのだろうか、と思っていたら、本当にいました。
松の木から木へ飛び移り、走り回る赤リスが数匹。通常見る灰色リスとは大きさも色も全く異なるので、見間違いではありません。しばらくは大興奮で、ゴルフをするのもすっかり忘れてしまったほどです。

ゴルフコースは通常自然の中にあります。ゴルフはスポーツであると共に、自然の中を歩き、自然を楽しむものだと思っています。こうしてゴルフコースを囲む松林に、絶滅危惧種である赤リスが生息していることは、本当にうれしいことだと思っています。
レディーバンクゴルフクラブのクラブロゴは赤リスがモチーフにされています。このゴルフクラブができたのが1879年ですから、そんな昔からこのゴルフクラブには赤リスが生息していたんですね。

レディーバンクゴルフクラブのロゴ。赤リスとゴルフボールがモチーフです。

今回は絶滅危惧種である赤リスについて紹介しました。
実際に赤リスに遭遇するまでは、リスといえば見慣れた灰色リスがあたりまえのものだ、と思っていましたが、今回実際に調べてみて初めて私自身もイギリスに本来生息していた赤リスの存在を知ることができました。
幸運にも赤リスの保護活動にも参加できる場所で暮らしているので、これからは様々な保護活動に参加していけたら、と思っています。
皆さんもイギリスやスコットランドにお越しの際は、幸運のシンボルの赤リスをぜひ探してみてください。

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