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ゴルフの聖地セントアンドリュース(St Andrews)からおよそ8マイル。歴史ある小さな町と美しいビーチ、そして格式ある典型的なスコットランドのリンクスコースであるキングスバーンズゴルフリンクス(Kingsbarns Golf Links)があるのがキングスバーンズ(Kingsbarns)です。
2014年ゴルフコースのすぐ隣に、ファイフ(Fife)地方(フォース湾からテイ湾までの間にある行政区画)産の材料で造られたスコッチウイスキーの蒸留所ができました。ウイスキー蒸留所としてはまだ歴史が浅いのですが、ゴルフの聖地に近いというロケーションから、世界中のゴルファーたちを中心に賑わうウイスキー蒸留所になっています。
今回ファイフ地方在住、スコッチウイスキーファンでゴルファーの筆者が絶対に一度は訪れてみたいと思っていたこのキングスバーンズ蒸留所を訪問してきましたので、皆様に紹介していきたいと思います。
先述したようにこの蒸留所が造られたのは2014年。当時ファイフ地方にはスコッチウィスキーの蒸留所はほとんどありませんでした。その当時ビジターが訪問できる蒸留所は1か所のみで、場所も海岸線から離れた山間部。
ファイフ地方の海岸線には有名ゴルフコースが多くあり、毎年世界中から多くのゴルファーたちがこの地を訪れるのに、気軽に立ち寄れるスコッチウィスキーの蒸留所がありませんでした。
キングスバーンズゴルフリンクスのキャディーは、しばしばゴルファーたちから「この辺りにウイスキーの蒸留所はないか?」と質問されており、それがアイデアのきっかけとなって蒸留所の設立計画が始まりました。
長年ウイスキーの蒸留所を経営することを夢見ていたスコットランド人の資産家ウェイミス(Wemyss)家が資金を調達し、ゴルフコースの隣にあった1800年に建てられ、廃墟になっていた石造りのファームハウスを改装・増築しました。この建物は建築物としてもゴシックの色が強くみられる、興味深い建物です。
ビジターセンターでは随時ウイスキーツアーが行われています(要予約。14ポンド。)が、時間に余裕がない場合はツアーに参加しなくても数種類のウイスキーとジンのテイスティングをさせてくれます。
私たちは今回閉館間近だったためツアーには参加せず、4種類のウイスキーと1種類のジンのテイスティングをさせてもらいました。
スコッチウィスキーは最低3年以上の熟成期間が必要です。熟成させる際に使用する樽によってその繊細なフレーバーや香りがウイスキーに個性をもたらせます。また、ウイスキーに少量の水を加えて希釈することにより、その香りや後味をより深く味わうことができるそうです。
私たちが最初にテイスティングしたのは、最初バーボン樽で熟成し、その後赤ワイン樽で熟成したもの。これはフルーティーでまろやか。バランスが良くて飲みやすいウイスキーでした。
次はシェリー樽で熟成したもの。これは甘みが強く飲みやすかったです。その次はピート(泥炭)で香りを付けたもの。これはかなり個性的で好き嫌いがはっきりわかれると思います。私自身は普段からスモーキーなウイスキーが好きなので、これが一番好みでした。
最後はブレンディッドウイスキー。シングルモルトを混ぜ合わせ、この蒸留所の地で製造されている蜂蜜を加えた蜂蜜入りブレンドです。これは甘みが強くスムーズで本当に飲みやすいです。私はこのボトルの可愛らしくエレガントなデザインに惚れ込んで購入しました。
サービスでジンのテイスティングもさせてもらったんですが、最も興味深かったのは「コテージシリーズの4番。コースタルハール(海岸の霧)」という名のジン。ファイフ地方原産の9種類の植物(海草を含む)で香りがつけられていて、一口飲むと潮の香りが口の中に広がる、かなり興味深いジンでした。
建物の中には広々としたカフェがあります。気持ちのいいテラス席もあり、スープ、サンドイッチ、ケーキやスコーンなどの軽食やソフトドリンクの他に、地ビールやウイスキー、ジンなどのアルコールを楽しむこともできます。
とんがり屋根で天井が高いエントランスでは熟成樽を再利用して作られた小物や棚、椅子や時計なども購入可能。
ショップではウイスキーやジンの他にオリジナルのバッグや帽子、tシャツ、マグネットなども販売しています。
ちなみにスコッチウィスキーグラスといえばグレンケン(Glencairn)グラスが有名で、私はこの形がとても気に入っていつも愛用しています。なんとこのショップではこのグラスのミニバージョンがテイスティング用として使用されていて、それを購入することも可能です。ミニグラスはとても愛らしく、お猪口としても使えると思いました。
今回はキングスバーンズ蒸留所を紹介しました。施設は清潔でスタッフも皆親切で楽しい時間を過ごすことができました。ファイフ地方の材料で造られた地ウィスキーは十分試してみる価値があると思いました。運転手が試飲できないのが残念なところですが、ショップやカフェを訪れるだけでも十分楽しめると思います。
皆さんもスコットランドのファイフ地方に来られる際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。