キーワードで検索
個性あふれる、モダンで独特な建物が多いことで知られるオランダ第2の都市ロッテルダムのブラーク駅近くには、これまた変わった集合住宅「キューブ・ハウス(Cube Houses)」があります。
黄色い外壁が目立ち、あちこちで自撮りやポーズを決める観光客にあふれ、SNS映え抜群の名所を紹介します。
文字通り、家の形が正方形なのが特徴ですが、驚くべきはその角度。三方が地面に向かって53.5度傾いており、残りは空を向いています。
オランダの建築家ピート・ブロム(Piet Blom)氏によって、1984年に完成した全38戸の家々はすべて同じサイズと造りの3階建てで「こんなところに住めるの!?」と思ってしまいますが、実際に創設以来ずっと人が住んでいるそうです。現在でも、たまに賃貸の空きがでるそうです。
「いったい中身はどうなっているのだろう」と、気になる住み心地ですが、たった€3で内部を見学できる博物館がちゃぁんと用意されているのです!
それも、気まぐれな観光客にはたいへん好都合な、予約なしで毎日開いているという便利さ。とはいえ、開放されているのは部屋の床面積100㎡の1軒分のみなので、1度に入れる人数は限られています。
それでもさほど待つこともなく、すんなり順番が回ってきました。チケットは施設内の受付で現金、またはカードで支払います。
1階にはキッチンと浴室が、2階には寝室と書斎があり、3階はリビングとなっています。最上階にあるこの青いイスに座って写真を撮るために、皆順番待ちをしていました。
来場者からは窓の清掃についてよく質問を受けるようですが「暴風雨頼み」とのことで、住人が外側から自分で拭くことはできないようです。
実際には、ウェブサイト上に清掃作業中の写真がたくさん載せられていたので、日本のマンションでいう管理維持費のような形で家賃に含まれているのかも? しれません。
住宅のすぐ裏手には近代的な光景が多いロッテルダムには珍しい、古きオランダらしさを感じさせる旧港(Old Harbour)エリアがあります。
13世紀の頃に小さな漁村だった同地区はロッテルダム生誕の地で、ロッテ川の河口に位置していた港は、ロッテルダム初の自然港となりました(参照:“History Old Harbour” Kubuswoning.)。現在では飲食店が軒を連ねる、にぎやかなエンタメスポットとなっています。
キューブ・ハウス博物館の公式ウェブサイトによると、住人にはクリエイターや自由業、“オープン・マインド”な偏見を持たない柔軟思考な人が多いそうです。
よく見ると、隣に立つマンションらしき建物も十分個性的で、一帯はアートな雰囲気に包まれています。実際80年代までは、キューブ・ハウスに囲まれた4つの遊歩道、通称「オーバー・ブラーク(Overblaak)」でファッションイベントなど、文化的なイベントが定期的に開催されていたそうです。
2000年代からは緑化が盛んになり、多くの鉢植えが置かれるようになりました。また、旧港サイドには、オランダ国内のユニークな場所でホステル業を展開する、地場のStayokayによる宿泊施設があります。
博物館の室内と同じものではありませんが、傾斜した窓や空間などキューブ・ハウスを再現したデザインの部屋に泊まることができます。低価格帯のホステル式なので、相部屋のドミトリーなどもあり、予算に合わせてキューブ・ハウスに暮らす雰囲気を味わえそうです。
近くにはキューブ・ハウス同様、ブラーク駅前すぐに位置する、オランダで初めて建てられた屋内型マーケット「マルクトハル(関連記事)」もあるので、観光面でも充実していますよ。