キーワードで検索
オランダではコロッケやニシンサンド(関連記事)のほかに、パンケーキも名物でした。
そう思い出したのは、アムステルダム中央駅から繁華街に向かう途中、すぐに現れた「パンケーキ・アムステルダム(PANCAKES Amsterdam Centraal)」を見かけたから。
青を基調としたオシャレな外観に惹かれ、すぐさま入ってみたい衝動に駆られましたが、初めてのアムステルダムにはまだ着いたばかり。
ほかにもっとよい店があるかも、と思いいったん通り過ぎましたが、案外パンケーキ専門で売っているところはなく、あっても店の雰囲気などイマイチ「ビビビッ! 」とくるものがありませんでした。
仕方がないので、最後にわざわざ引き返してまで入ったパンケーキ・アムステルダムは行列ができ、日本でもメディアで取り上げられるような有名店でした。
15分ほど並ぶ間にメニューを見てみたところ、ハム・チーズのような4種の伝統的な「traditional 」タイプのほかにデザート、おやつタイプの甘い「sweet」、より具沢山でしっかり食事的な「savoury」タイプに分かれています。
それだけでなく、お好みのトッピングを加えたオリジナル版や、アメリカ式のパンケーキまでしっかり用意されているので、食べ比べてみるのもよさそうです。
アメリカ式というのは、日本でも「ホットケーキ」でおなじみの分厚いものですが、オランダ語で「pannekok(パンネコック)」、複数形で「pannekoken(パンネコークン)」と呼ばるオランダのパンケーキは、クレープのように薄い(それより少し厚め)のが特徴です。
スウェーデンやフィンランドといった北欧圏、はたまたイギリスのものも同様に薄いですが、いずれもわりと小さめに焼いたものをクルッと巻きます。
オランダでももともとは同じようにしていたようですが、現代ではフライパンの形に焼いたものをそのまま出す店が多く、ほかの国のものより広がっている分、大きそうです。
実際、頼んだスイーツ系の「apple・almonds・calvados・whipped cream(€16)」が出てきたときは、予想を超える大きさに驚きました。
calvadosとはブランデー漬けのリンゴのことだそうです。たっぷりのホイップクリームをつけながらも、「はて、いったいどうやって食べればよいのやら……」とは思いましたが、折ったり巻いてから切ったりと、好きに食べてよいようです。
観光客よろしく、「オランダの」という言葉にいちいち反応してしまい、飲み物には「Dutch coffee(€6.9)」を頼みました。エッグノック(eggnog)とは通常、ラム酒や生クリーム、卵黄などが混ぜられたコーヒーのホットカクテルですが、こちらではエスプレッソのような濃いめのコーヒーと、ミニグラスに入ったカスタード(これがエッグノック)が別につけられていました。
頭にはまたまたホイップクリームが乗っており、パンケーキのトッピングとかぶって「やり過ぎたかな……」と反省しましたが、お茶請けに別のオランダ名物、ワッフルのミニサイズがついており、すべてがかわいらしかったので、やはり旅の記念として頼んでよかったです。
パンケーキ・アムステルダムは、地元産の製品や放し飼い(free range)卵を使い、ヴィーガン、グルテンフリー、乳製品フリーのメニューにも対応するなど、質の高いサービスを提供しています。
なかでも特にこだわっているのが粉。同店のウェブサイトによりますと、2007年の本店創業当時より製粉業者のMaarten Dolmanと契約を結び、パンケーキ・アムステルダムのパンケーキには、全粒粉にそば粉、薄力粉を混ぜたこの特注品が使われているそうです。
この「パンケーキ・ミックス」の粉は、ほかのアムステルダム市内4店舗を含めたすべての店で購入できるそうなので、家で本格的なパンネコックを再現するのも夢ではありません!