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オランダ南西部、南ホラント州にある「デルフト(Delft)」には首都アムステルダムから電車で1時間強、あるいは第2の都市ロッテルダムから15分ほどで到着します。
張り巡らされた運河と古い町並みの調和が美しく、“オランダの古都”といわれていますが、デルフトの駅は古都のイメージとは対照的で青いガラス張りの近代的な建物です。
逆三角のロゴが目印の観光案内所には無料の地図があり、カウンターではスタッフが町の周り方を親切に教えてくれます。まずは新しいものと古いタイプがあるという、2種類の教会を回ることにしました。
町歩きの目印となるプロテスタントの新教会(Nieuwe Kerk)はまたの名を“沈黙公”ともいうウィリアム1世など、歴代王家の面々が眠る墓所でもあります。
オランダで2番目の高さを誇るゴシック様式の尖塔から眺める景色はすばらしいですが、その高さゆえこれまでなんと2度も落雷による被害を受けたとか。
マルクト広場を挟んで対面するもうひとつの豪華な建物は、デルフト市庁舎(Stadhuis)です。赤い雨戸とところどころに見られる金色のさし色が目を引くデザインはルネサンス様式で、1618年の火災後に再建を請け負ったヘンドリック・デ・ケイゼルによるものです。
当時最高の建築士のひとりとして名を馳せていたケイゼルは、新教会に埋葬されたウィリアム1世の霊廟を作ったことでも知られています。
唯一火災を逃れた塔部分の「Het Steen」はかつて拷問が行われた牢獄で、学校の休み期間中に限りガイドツアーが開催されます。そのほかの施設は現在も市役所として使われているので、観光としての見学はできません。
デルフトに骨まで埋めたフェルメールの墓がある旧教会(Oude Kerk)には、ユニークなあだ名が複数あります。ひとつは“年とったヤン”というように、1246年に建てられたデルフト最古の教会を表しています。
もうひとつが1325年、新たにつけ足された塔につけれらた“千鳥足のヤン”あるいは“曲がったヤン”というものです。
強度の足りない運河の埋立地に建てたことが原因で、なんと傾いたままで完成。一時は取り壊しも囁かれましたが、地元の建設業者によって補強されなんとか難を逃れました。新教会とセットになった入場券でなかを見学できます(新教会の塔に登るのは別料金)。
見どころがたくさんのデルフト、まずは新旧両方揃っている、教会を見比べることから始めてみてはいかがでしょう。