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「イギリスの食事はイマイチ……」という声は一般論としてときおり耳にすることで、実際否定できない部分もあると個人的に思います。けれどロンドンやその近郊、ある程度大きな都市では移民として定住した人も多いので、世界中のグルメが楽しめます。
ロンドン南部のサウス・クロイドン(関連記事)もそんな地域の好例で、カフェやレストランがずらりと並び、食事選びには事欠きません。数あるお国料理のなかで、今回はトルコ料理店の「アテッシュ(Atesh Turkish Restaurant)」を試してきました。
と、すでに無知をさらけ出していますが、これ以上恥をかかないようブリタニカ百科事典など、ウェブサイトからの情報を参考にトルコについて少し勉強をしてみました。
アジアとヨーロッパのふたつの大陸にまたがったトルコは、北に黒海とマルマラ海、西と南は地中海(西はエーゲ海)に面した半島で陸上国境は西でブルガリア、ギリシャと、東でジョージア(グルジア)、アルメニア、アゼルバイジャン、イラン、イラク、シリアと接します。
ものすごい数に驚きましたが、確かにこれだけの国に囲まれていれば、食にもそれぞれの文化が反映されないわけがないですね。さらに、トルコ料理はフランス料理と中華料理に並んで、世界3大料理のひとつでした!
そのユニークな地形から、同じトルコ国内でも地域によって料理のテイストがかなり異なってくるようです。自国をこよなく愛し、地元民ならではのトルコ情報をブログで発信しているGenitさんによると、“地中海風”は「ギリシャやキプロス、イタリアといった国の料理と似ており、 オリーブと野菜を多用するのでとてもヘルシー、特にベジタリアンにとっては天国」だそうです。
主要な材料としてはオリーブ、オリーブオイル、野菜、ハーブ、魚介類、ラム肉で、地元の新鮮なものを使うことにこだわっていそうです。
となると、今回のアテッシュも……と、行く前から予想していましたが、やはりそうでした。お店紹介には「a taste for fabulous Mediterranean and Turkish food」とあり、やはり地中海の文字が入っています。
トルコは中央アジアというイメージが強かったのですが、地図を見れば一目瞭然、地中海に面しているからなんですね。
と、このように予習をしてから臨んだトルコ料理店「アテッシュ(Atesh Turkish Restaurant)」。なかなか豪華で凝った造りの店内でした。「meze」とは前菜でしょうか。「メゼは皆でシェアした方が楽しいよ」と、メニューの冒頭に書かれています。
辞書を引いてみると、「オードブル、前菜◆ギリシャ・トルコ・中近東の料理の一種で冷菜・温菜の盛り合わせ」などとあり、スペイン料理のタパスのようなものかもしれません。種類を増やせば増やすほどお得になるシステムだったので、豆ペーストのフムスにこれまた似た感じのナス入りディップ(babagannoush)とイカリングのフライ、カラマリを選択。3種類で£17.5です。
ナスの一品はフムス同様ディップのペーストだったので見た目も味も似ており、もうひとつ気になっていたフライの方のナス料理にすればよかったと少し後悔しましたが、ドリンクからメインまですべてスムーズに運ばれてきたので、お腹を空かせた子連れ家族にはうれしい給仕でした。
メインとして頼んだ鶏やラム肉の盛り合わせケバブやエビのグリルも、地中海らしいトマトとキュウリのサラダが添えられおいしかったです。ゴマが散った厚みのあるトルコ風パンや、なんにでも合うトマトのサルサソース、タルタルソースも立派な名脇役です。
デザートにはチョコレートケーキやイギリスのお菓子に混じって、見慣れないトルコのデザートが並びます。「Torta Rocher」というチョコとバニラ、ヘーゼルナッツクリームのムースを選ぶと、出てきたのはケーキのような三角の形をしたずいぶんと大きなもの。アイスの下に敷かれている、乾燥レモンのスライスがおしゃれです。
対してトルコ・コーヒーこと「Turkish coffee」は、まるでイタリアのエスプレッソのように小さなカップで濃く、甘いデザートにピッタリです。おいしいものでお腹もいっぱい、トルコ料理の知識も深められ大満足のレストランでした。