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マレーシアは王制の国です。全13州のうち9州にはスルタン(王様)が存在し、5年任期の輪番制で国の君主に選出されます。
2019年にパハン州のパハン州のスルタンであるアブドゥラ・スルタン・アフマド・シャー国王(アゴン)が選出されています。
クアラルンプールには国王(アゴン)の公邸であるイスタナ・ネガラ(Istana Negara)がその美しさと壮大さで知られています。
そして今回ご紹介するのは、19世紀後半にセランゴール州ジュグラ(Selangor, Jugra)に在ったスルタンの居城イスタナ・バンダー(Istana Bandar)です。別名イスタナ・アラエディン(Istana Alaeddin)とも呼ばれています。
セランゴール州の州都はブルーモスクの名で知られるスルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャーモスク(Masjid Sultan Salahuddin Abdul Aziz Shah)があるシャー・アラム(Shah Alam)ですが当時はジュグラ(Jugra)が州都でした。
第5代の王スルタン・アラエディン・スライマン・シャー(Sultan Alauddin Sulaiman Shah)は1938年に亡くなるまでこの地に35年在住しました。
1905年頃に完成したというイスタナ・バンダー(Istana Bandar)は40室もの部屋があり、また後年リノベーションが行われたために2つの玄関を有しています。建築に使われたのはれんがと石灰、窓やドアなどはマレー半島で育つチェンガルという木が使われています。
バルコニーがある側には緑あふれる庭が広がっています。
周囲にはヤシの木が植栽されすっきりとしていますが、当時はさまざまな植物があったようで当時の写真が残っていました。
しかし当主のスルタン・アラエディン・スライマン・シャー(Sultan Alauddin Sulaiman Shah)が没し、州都が移転したことから町は勢いを失い、瀟洒(しょうしゃ)でとても美しい宮殿はいっときは廃墟のようになってしまいましたが、1988年に修復され保存されることになりました。
まだ修復途中のため内部は何もありませんが、広々とした部屋や柱、窓枠にいたるまで優雅な趣が伝わってくるようです。
玉座の広間、謁見の間、バンケットルーム(宴会場)など王の居城であった面影はありますが、修復が決まるまではコーラン研究所、工芸センターとしても使われていたそうです。
将来的には古都の貴重な文化財として活用されるとのこと。
海辺のリゾートとして知られるマリブビーチ、パンタイ・マリブ(Pantai Molib)などからもアクセスがよいので穴場の観光スポットとして人気がでそうです。
(撮影by逗子マリナ)
※撮影許可をいただいています。
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