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スコットランドでクリスマス当日に家族で集まって食べる料理としては、「ローストディナー」が一般的です。
ローストディナーというのは、チキン、ターキー、ビーフ、ラム、ポークなどの肉類と根菜を長時間かけて蒸し焼きにし、グレービーという肉汁と野菜のソースをかけて食べる料理のことをいいます。
スコットランドを含めた英国ではローストディナーは家庭料理としては一般的で、普通は日曜日に「サンデーロースト」と呼ばれるロースト料理を家族で食べるのが習慣になっています。
クリスマスのロースト料理としては、肉料理のメインとしてターキー(七面鳥)が使われることが多いので、英国のスーパーマーケットでは12月になると様々なサイズのターキーが出回ります。
今回は日本では珍しい、ターキーを使ったクリスマスローストディナーを紹介したいと思います。
ロースト料理というのは、日本語では「蒸し焼き」や「炙り焼き」と表現される料理方法です。英国ではオーブンを使い、数時間かけてじっくりと素材に火を通すのが普通です。
私はこのロースト料理が大好きなんです。ジューシーで柔らかい肉と、外側がカリっと香ばしく、中がホクホクの野菜。それに野菜と肉の旨味がギュッと詰まったグレービーソースをかけて頂きます。
ロースト料理は時間はかかりますが、準備さえ整えてしまえば後はオーブンに入れて待つだけなので、実は手がかからない料理であり、一気に大量の素材を調理することもできます。つまりロースト料理は、クリスマスなどの家族が集まるイベントには最適の料理といえるでしょう。
ちなみにスコットランドを含む英国では普段からオーブンを使って調理することが多いですね。パイ、グラタン、ピザ、そして揚げ物のチップスや魚フライも、冷凍のものをオーブンで調理(温めて)することが一般的です。これは恐らく寒い国だからこそ発展した調理法だと思います。
ホールターキー(七面鳥丸一羽)やターキークラウンと呼ばれる胸肉のみのターキーの場合は、肉と皮の間にバターを塗りこみ、表面には塩コショウ、ハーブで味付けをします。首の部分にスタフィングという詰め物を入れる時もありますが、ほとんどの家庭ではスタフィングはターキーとは別に調理します。
じゃがいもは皮をむき、茹でて粉ふき芋にして冷ましておきます。じゃがいもは日本では男爵のようなほくほく系のじゃがいもを使います。一旦冷ましておくことで、表面がカリカリに仕上がります。
人参とパースニップ(白人参)は適当な大きさにカットして、水にさらしておきます。白人参は日本では珍しい野菜ですが、ローストディナーには欠かせない根菜です。味は甘く、人参というよりもかぼちゃに似ています。
芽キャベツは硬い部分に切り込みを入れておきます。芽キャベツもまたクリスマスのローストディナーには欠かせない野菜の一つです。今年、我が家ではこの芽キャベツをスライスし、ベーコンと共に炒めて、ゴマと醤油で味つけしました。
スタフィングというのは「詰め物」のことです。パン粉と玉ねぎ、卵とハーブを混ぜ合わせてボールの形に整えます。我が家ではピザのように薄く伸ばして焼くことが多いです。
ピッグインブランケットというのは、小さなソーセージをベーコンで巻いてから焼いたものです。
根菜類、ニンニクなどを鍋に入れ、水とストックを加えて煮込み、いわゆる野菜の出汁を作ります。野菜は取り出さずにミキサーでつぶし、とろみのあるソースにします。そこにローストの際にできる肉汁を加えて完成させます。
このグレービーは野菜と肉の旨味がギュッと詰まっていて、大変美味しいです。「ソース」というよりも、料理に旨味を加えるという役割が大きいと思います。
英国ではこのグレービーをチップスやパイなどにもかけて食べることが多い、人気のソースです。
今回はスコットランド(英国)定番のクリスマスディナーを紹介してきました。
今年の我が家のクリスマスは夫婦2人だけだったので、準備も調理もあっという間にできましたが、家族全員、十数人で集まる、などというときには、数日前から準備をする特別な料理です。
完成したローストディナーを皆で切り分け、分け合い、一緒に食べる。その後はクリスマスプレゼントを開けたり、ゲームをしたり、散歩に行ったりして、クリスマスの一日を家族でゆっくり過ごします。
元々クリスマスはキリスト教の祭日ですが、現在では宗教色は濃くないですね。現在ではもっと家族が集まって過ごす、いわゆる日本のお正月みたいなものになっています。
それでも昔も現在も、クリスマスは英国の人々にとっては大切な日です。その日のために愛情込めてつくったローストディナーを家族で分け合って食べる。今回はそんな英国の人々にとって特別なクリスマスローストディナーを紹介しました。
メリークリスマス!