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2024年5月21日の月曜日から土曜日まで、ロンドンでは毎年春の恒例イベントとして「チェルシー・フラワーショー」が開催されていました。
王立園芸協会が主催し、“世界最高峰”とも言われる国際的なガーデニング・ショーで、オープニングにはチャールズ国王や著名人がひと足先に招かれます。
私が楽しみにしているのは、会場となるチェルシー王立病院の周辺で催される無料イベント「チェルシー・イン・ブルーム(Chelsea in Bloom)」。ショーの期間中、商店やレストランの店先がフラワー・アレンジメントで飾られ、町全体が華やかに大変身するんです! こちらは日曜日の26日までなので、いまロンドンにいらっしゃる方はまだ間に合いますよ!
毎年「イギリスの象徴」「名作映画」といったテーマがあり、今年は花で表す「ごちそう(floral feasts)」。映画や文学、歴史、芸術作品に出てくる料理や食事シーンが再現されるなど、目の保養となること間違いなし!
フラワーショーと同じように、王立園芸協会による審査があり、優れた作品には各賞が贈られます。そのため、どれも並ならぬ気合が込められており、見応え抜群です。
場所は地下鉄スローン・スクエア駅を起点に、キングス通りやスローン通り沿いに112ヵ所もあるので、とても全部は掲載できませんが、とりわけ目を引いた作品をいくつか紹介します。
キングス通りに面して、デューク・オブ・ヨーク広場に入る手前に店を構えるコスメ・ブランド「トリニー・ロンドン」は、企業カラーでもある明るい黄色のレモンをモチーフに選び、準金(シルバー・ギルト)に選ばれました。
特筆すべきは設置されたブランコ。老若男女問わず、座って撮影するために長蛇の列が。こんな爽やかでジューシーなベンチなら、どうしたって座ってみたいですよね!
英王室主催の華やかな競馬「ロイヤル・アスコット」の公式スポンサーである、女性服ブランド「エルケー・ベネット」は銀賞を獲得しました。
レース時に供されるお茶会をイメージして、ティーポットとカップがアフタヌーンティーのように4段ラックに置かれた様は、とってもイギリスらしいです。
ロイヤル・アスコットの通称「ロイヤル・ミーティング(会合)」期間中の5日間で、「5万5千セットのアフタヌーンティー、22万切れのフィンガー・サンドイッチ、11万個のスコーンが消費された」と書かれた看板もディスプレイの一部として飾られ、スポンサーならではのトリビアまで知ることができます。
『くまのプーさん』の作者、ミルンは21年もの間チェルシー地区に住んでいたそうで、ピグレットやティガーなどおなじみの登場キャラクターがピクニックをする作品もあります。
本来クリストファー・ロビンが座るべき切り株で、記念撮影できるようになっているので大人気。ほかの展示と同じく、正面から写真を撮るのに苦労しました。
さて皆さん、もちろん気になるのは金賞ですよね!? ハイブランドなブランド店が並ぶスローン通りは、上位入賞の常連がひしめく激戦区。
今年も期待に違わず力作揃いでどちらを紹介するかおおいに迷いますが、使われている花の量が半端なく、他者を圧倒していた高級ジュエリー・ブランドの「カルティエ」にします!
カラフルで華やかなディスプレイはもちろんのこと、真紅のバラがブランドカラーとマッチしている点、店頭に出ていたイケメン・スタッフのふたり組がベルボーイのような、やはりえんじ色のジャケットと帽子を身につけていたのも抗い難い魅力です。
このときはちょうど雨が降ってきて、普段ならガッカリするところですが、モデルのような(おそらくモデル!?)彼らがさすブランドのロゴ入り傘がまたすてきで……思わぬボーナス・ポイントでした。
賞についてですが、おもしろい(紛らわしい?)のはフラワーショーもそうですが、「ブルーム」でも同じ賞がいくつもあることです。つまり、ほかにも金賞や銀賞……の作品が多数あるということで、はじめは理解するのにしばし時間を要しました。
途中、海の町、イーストボーンから電車で1時間半かけて来たというキャロラインさんと出会いお話したのですが、「ブルーム」には以前ロンドンに住んでいた頃から、足かけ10年も通っているそうです。
フラワーショーで一時期働いていたこともあるほど、根っからの花好きですが、それでも「ショーの方は高くて……」とこぼしていたので、誰もが無料でこのようなイベントを楽しめるというのは、とてもありがたいことですね。
また、期間中はお得なキャンペーンをしている店が多いです。フラワーショーをテーマにした、アフタヌーンティーや特別コース料理を出すレストラン、カフェ。店内でジャズを流してドリンクをサービスする紳士服店、くじ引きのラッフルを開催し、買い物をすると発泡性ワインとスイーツが出されるジュエリー店など、盛りだくさん。
来年のこの時期は、「ブルーム」を目当てにチェルシー散策をしてみてはいかがでしょうか。こちら(関連記事)は2年前、故エリザベス女王が即位70周年のときに開かれた「ブルーム」です。テーマが違うので、ぜひ見比べて目を楽しませてください。