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今回はカンクンから車で約2時間のところにあるバジャドリ(Valladolid)からさらに20分ほど行ったところにある、小さな小さな村「ウアイマ」のご紹介です。
この村には、愛らしいピンク色の教会があり、写真スポットとしてひそかに知られています。
教会周囲には多彩な建物が並び、現代では味わえない魅力が漂っています。
ウアイマという名前はマヤ語で「ここではない」という意味だそうです。
それを知った時にトゥルム遺跡の名前の由来を思い出しました。
トゥルム遺跡は、カリブ海を見下ろすマヤ文明終末期の要塞城壁都市で、その名は「壁」を意味します。
一説によると、スペイン軍がこの場所に初めて到達した際、壁に囲まれた都市全体のことを知りたくて「ここは何だ?」と尋ねたそうです。
その時、彼らが指した先に壁があったため、現地のマヤ人は「トゥルム」(壁)と答えたということで、
これが由来で、この都市、現在の遺跡は「トゥルム」と呼ばれるようになったといわれています。
ウアイマの名前も同様に、スペイン軍が攻めてきた時に何かを尋ねられたのでしょう。
見た目も言葉もまったく異なる異人から発せられた質問に対し、思わず現地の人々が
「ここ」を意味するウェイ(way)と、「いいえ」を意味するマ'(ma')で、
「ここではない」と答えたのではないかと想像しました。
メキシコの歴史を知ったうえで、このように名前の由来を調べてみると、マヤの人々の機知やその時代の状況を物語っているなと私は感じます。
教会の装飾は、赤がキリストの殉教を、緑が希望を、白い星とバラが聖母マリアへの信仰を表しているそうです。
訪れた日は「パペルピカド」も飾られていてさらに鮮やかでした。
※「パペルピカド」とは切り絵で、メキシコでお祝いの時によく使われている装飾のことです。
ウアイマで有名なのは、1646年にフランシスコ会によって建てられたサント・ドミンゴ教会とその修道院で、
この教会はチチェン イッツァなど近くのマヤ遺跡からの石を使用して建てられています。
メキシコの歴史をおさらいすると、1521年から1821年の300年の間、スペインの支配にありました。
彼らのおもな目的は、新しい領土を獲得し、富を追求し、キリスト教を広めること。
この教会も支配下の時代に建てられたのですが、マヤ人の大反乱といわれたカスタ戦争中(1847年から1901年)にスペインの支配に対する反乱を起こしたマヤ人によって教会は焼かれてしまいました。
その後、教会は長らく廃墟となっていましたが、2003年からの修復作業でもとの色鮮やかな装飾が発見され、2004年に再開されました。
現在、教会ではコンサートや結婚式などのイベントが行われているようです。
少しの間滞在してみましたが、スペイン人の征服からカスタ戦争を経て現在にいたるまでのマヤの人々が住むこの村「ウアイマ」が10年、20年先も現在のまま風化せずそのままの姿であり続ける姿が目に浮かび、
そっと見守り続けたいという気持ちが強まりました。
歴史地区を訪れる際は、少しでも背景を知ってから訪れると、その場所の意味が深まりますよね。
ウアイマは車がないとアクセスが難しい場所ですので、興味のある方はツアー会社を利用することをおすすめします。
ツアー会社で取り扱っているプランを利用すると、よりスムーズに訪れることができるでしょう。