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今回ご紹介するのは、Appenzeller Alpenbitter社がほぼ手作りで仕上げたミニ・ミュージアム「ハーブの世界 “Kräuter Welt”」。
2020年、スイス鉄道アッペンツェル駅から徒歩5分ほどの場所にある本社の一角に建てられました。
きっかけはコロナ禍。
同社にとって輸出の占める割合は少なかったものの、レストラン やバーなどがロックダウンによって営業できなくなり、必然的にアッペンツェラーアルペンビターの売り上げも落ちてしまいました。
観光客も来ない今、いったい何ができるだろう?
そういう厳しい状況のなかでポジティブに発想転換をしたのです。「アッペンツェラーアルペンビターのことをもっともっと身近に感じてもらおう、もっとたくさん知ってもらおう」というコンセプトで生まれたのがこの「Kräuter Welt」でした。
Kräuter Weltには遊び心がいっぱい。
倉庫にあった木箱を壁に打ち付けて作った棚には、販売当初からのボトルの数々(中身もまだ入っています!)、歴代の広告ポスター、グラス類などがずらりと並んでいて、そのデザインのかわいさといったら……買えないのが残念でなりませんでした。
そして、テクノロジーを使った映像では、レシピを知るたったふたりの男性(70代の父親と40代の息子)がアッペンツェルの山や村、牧場などを歩きます。
そこには大いなる自然、家族に受け継がれてきたアッペンツェラーアルペンビターの歴史、家族愛や家族の絆、地元の人たちとの結びつき、新しい挑戦、幸せに感謝して生きる姿勢などを感じました。
私にとって大興奮だったのは、原材料のドライハーブを直接手で触れることでした。容器の中に手を突っ込んだり、少しかき回してみたり、手のひらに乗せて香りを楽しんだり……ちょっとしたアロマテラピーですね。
製造方法の説明も興味深いものでした。ハーブやスパイスの種類によって抽出法が3種類あるそう。1つのグループは紅茶のように抽出する、もう1つのグループはアルコールで抽出する、など各材料の特性を活かし、その魅力を精一杯に引き出す方法が選ばれていました。
山小屋(ドイツ語でヒュッテ Hütte)風のカウンターでは、アッペンツェラーアルペンビターやリキュール、ジンなどの試飲ができます。
おもしろかったのが、ABBACELLA(アッバチェッラ、アッペンツェルスイスドイツ語でAppenzellの意味)。
ミント(左)もオレンジ(右)も、それぞれがアッペンツェラーアルペンビターの一部から作られているんです。
アルコール度は11%と少し低めなのと、オレンジやミントの香りが引き立つ仕上がりなので、氷を浮かべたり、トニックウォーターと割ったりして、のどが乾いた時にごくごく飲めてしまう商品です。
ガイドの内容を明かしてしまうと訪れる楽しみが減ってしまうので、詳細をここに記すのは控えたいと思いますが、ぜひとも足を運んでいただきたい! と自信を持ってオススメします。
無料ガイドは、毎週水曜日の10:00~11:30に行われるので、予約なしでそのまま施設にお出かけください(ガイドはドイツ語、ミニシアターで観る映像は英語、ドイツ語、スイス語、フランス語から選べます)。
突然のお休みなどもありますので、お出かけの際は事前にお問い合わせされることをおすすめいたします。