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マカオの人気の観光名所、タイパオールドビレッジ(官也街)の一部に隣接している龍環葡韻。知っている人にはタイパ住宅博物館と言った方が分かりやすいかも知れません。ポルトガルの生活様式を保存した住宅博物館と公園、教会と野鳥観察ができる湿地帯を含む一つのエリアが龍環葡韻です。マカオではセナド広場かマカオタワー前で行われる公式イベントですが、タイパ側でここで行われる事が多く、春節のライオンダンス(獅子舞)・ロータスフラワーフェスティバル・世界中のポルトガル語圏の国が一同に集まるルソフォニア(葡韻嘉年華/LusoFonia Festival)等、一年中何某かのイベントが開催されながらも、静かで穏やかなひと時を過ごせる場所となっております。因みにこの「龍環(ロンワン)」とはタイパ島の昔の呼称です。
タイパオールドビレッジでお馴染みの階段。ここはインスタ映えする事で有名で、多くの観光客は皆ここでタイパに来たぞポーズをキメてます。階段を登るとインスタ専用のセットか?と思う様な街並みが広がり、caféやお土産物屋さんが数軒あり、そこからヨーロッパの片田舎のような石畳みの緩やかな坂道。
坂の頂点にはカルモ教会(Our Lady of Carmel Church/嘉模聖母堂)。
ここはマカオの地元の人が結婚式を挙げるポピュラーな教会。道を挟んで反対側にある建物は政府の役場で、婚姻届け専用部署。そしてその後ろに公園(氹仔市政花園)。この公園の壁面は、あのジャッキー・チェンの映画プロジェクトAで、ジャッキーが急斜面の石垣を駆け登るシーンのロケ地です。
もう一つの教会への上り口は、以前こちらで紹介をしている益隆炮竹廠の少し先の階段から登ります。夜になるとライトアップされ、ジブリ感の増す場所で、神々しくもあります。
この教会を頂上として石畳みの坂を下るか、教会のすぐ脇にある階段を下っていくと、そこがタイパ住宅博物館と公園のエリアとなります。
タイパ住宅博物館は市民の憩いの場としても、観光客のインスタ映えスポットとしても人気のエリアですが、正直、日本からの観光客の姿はほとんど見ません。きっと知られていないのだと思います。
ここに建つ住宅は1921年、日本で言うと大正10年に建てられた住宅で、あの時代にこれだけの家が建てられていた事に驚きを禁じ得ません。
五つの建物が保存されており、それぞれにテーマが割り振られております。
“葡韻生活館”(ポルトガル式生活館)
“匯藝廊” (アート館)
“創薈館” (クリエイティブハウス)
“風貌館” (ノスタルジックハウス/現在休館中)
“迎賓館” (レストラン/オープンしたばかりのマカネーゼ伝統料理のレストラン)
ポルトガル式生活館は住宅博物館のメインの建物として、当時のポルトガル人/マカネーゼの生活様式を現代に伝えております。撮影は自由はできますが、ジンバルの使用は禁止されているのでご注意ください。
アート館はその名の通り、アートギャラリーとなっていますが何も無い時は閉館しており、ギャラリーのオープン時はその内容と共にMGTO(マカオ旅遊局)のH.Pで案内されます。
クリエイティブハウスはお土産物屋さん。
ここではマカオとポルトガルがテーマになっていて、いわゆる中華系のものはありません。
しかしポルトガル特有のタイル〝アズレージョ〟がモチーフになっていて、その鮮やかなブルーは多くの人の眼と心を惹きつけます。他にもポルトガルのシンボルである黒い鶏のガロの置物やタペストリー、エプロンやマグネットなど見るだけでも飽きないアイテムで楽しい買い物の時間を過ごせます。
支払いは現金・各種クレジットカードが使えますので、お支払いで困ることは無いと思います。
現代では完全に少数派となってしまったマカネーゼ料理の店。
マカネーゼ料理とはポルトガル料理とも広東料理とも異なる、マカオ独特の料理でそのルーツは大航海時代に遡ります。
ポルトガルからアフリカの喜望峰、インドそしてマラッカ海峡を通ってマカオに着いたそのルートの軌跡を色濃く反映した料理です。
従って全体的にアフリカのスパイスや、インドのカレースパイスを使った料理が多いのも特徴で、マカオの無形文化遺産に指定されております。
このレストランの運営会社であるP.R.R.C.はマカオ半島側でポルトガル料理や、ポルトガルのお土産物を扱っている会社ですが、オーナーがマカネーゼの方で、今回、この伝統の住宅博物館でのレストランの開業を政府にプレゼンテーションするにあたり、敢えてマカオの伝統文化にこだわり、今や圧倒的な少数派となってしまったマカネーゼ料理に取り組む事になったとの事。現在、マカオ政府の文化局が音頭をとってマカネーゼ料理のレシピを世界中から文献として集めているくらい、貴重な料理となりました。
CASA MAQUISTAのちょうど正面にあるイベント広場。ここでは様々なイベント時の、コンサートなどを行う会場となります。
毎年10月に開催されるポルトガル語祭のルソフォニアではアフリカンミュージックの聖地、カーボベルデ等からもアーティストが参加。
強烈なアフリカンサウンドとポルトガルの穏やかな音楽が織りなす魅惑的な祭典もここで行われます。
公園は二ヶ所。教会前の結婚登記所裏手の氹仔市政花園と住宅博物館横の公園スペース。
氹仔市政花園は小さいスペースながら10月のルソフォニアではポルトガル料理の店が出店し、チキンやポークスペアリブ、サーディンのBBQグリルや赤ワインベースのカクテル、サングリア等が販売されるスペースとなります。テーブルが置かれ屋外の飲食エリアとなりますが、普段は静かな公園。市民の憩いの場となっております。
もうひとつは住宅博物館横からコタイ地区へ伸びるエリア。
ここも公園となっていて、毎年6月にはロータス(フラワー)フェスティバルの会場となります。
また住宅博物館脇の公園からコタイ地区へと続く通路は、動く歩道が350mにわたって設置されており、楽に移動できます。その動く歩道と並行する形で植物園の様にしっかりと管理された西側生態池があります。
ここは生態系が管理されたエリアになっており、湿地帯の生態系を保護しながら小さな植物園として維持管理がなされております。
この西側生態池を歩くには水・土・日・祝日と振替休日のみ開放されていて、時間は朝9時から17時までとなっております。夏の時期は虫除けスプレーを持って行く事をお勧めします。
マカオに来られた方の動画を拝見すると、ベネチアンから官也街(タイパオールドヴィレッジ)へ行く場合(或いはその逆のルート)、バス等の交通機関で行かれるケースを良く見かけますが、ベネチアンの西ウイング出口から出て歩道橋(エスカレーターあります)へ行き、そのまま動く歩道橋へ。5分ほど移動すると官也街の裏手、カルモ教会と隣接する小学校・幼稚園の下に出ます。
左側へ進み水色の建物、嘉模會堂(Carmo Hall /公民館)手前の小坂を上がり左手へ行けば、あの官也街の映える階段の最上段のところに着きます(ギャラクシーからも行けます)。この建物は昔、タイパの電力会社があった場所ですが、今では政府の公民館となっており、小さなイベント会場として使われております。
蓮の池に作られた遊歩道。
池の周りが遊歩道になっており一周約2km。私事ですが、朝のウォーキングに活用しております。この池には多くの小魚が生息し、餌を求めて野鳥が飛来します。カワセミや黒鷺・白鷺、ヒクイナ等、野鳥の宝庫となっており、何ヶ所かの観察小屋も設置。
遊歩道は毎日朝6時から夜の8時までとなっており、片側は大自然の池や湿地帯。その反対側はCity of Dreamやベネチアン、ロンドナー等のコタイストリップエリア。
大自然と一大カジノエリアがこうも綺麗に線引きされて共存するのか?と不思議な感覚に包まれるエリアです。
気温と湿度の高いマカオですが、朝早起きして開門と同時くらいに自然の空気とイオンたっぷりの木々と水辺の遊歩道を散歩するのがお勧めです。特に早朝と黄昏時は刻一刻と変わる色と情景に、非日常的な空間が存分に味わう事ができます。
この住宅博物館の公園エリアには売店もあり、公衆トイレも三ヶ所完備されており、待望のレストランも出来ました。
人混みの官也街で買い物を済ませ、エッグタルトやアイスクリーム等を購入し、静かな住宅博物館内の公園の木陰で涼みながらゆっくりとした時間を過ごしたい方には特にお勧めのエリアです。