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鹿児島より皆さんこんにちは!イタリア特派員のローマの阿部です。今回、鹿児島県に上陸した過去最強レベルといわれる台風10号の台風情報をシェアしたいと思います。筆者は神奈川県出身ですが、神奈川では生まれてから一度も経験したことのないような、本当にびっくりするような激しい風でした。台風には慣れているはずの鹿児島の人々も「今までにはちょっとないくらい強い台風だったなあ~」というほどでした。さきほど、台風は鹿児島県の薩摩川内市に上陸しました。筆者のいる鹿児島市からは少し遠ざかってきていますが、まだ県内は暴風域にとどまっているため、どこも激しい雨風となっています。
8月28日水曜日の正午過ぎに、気象庁が「今晩未明から一部の住宅が倒壊するような猛烈な風が来る見込みのため、暴風が吹き始める前に頑丈なところに移動するとともに、窓から離れてください」と鹿児島に暴風・波浪の特別警報を発表しました。
この台風10号の中心気圧は935ヘクトパスカルで、伊勢湾台風並みの猛烈なパワーを持つ台風だといいます。徒歩で歩くようなゆっくりしたスピードで進むのが特徴で、強い勢力を維持したまま鹿児島に上陸する恐れがあります。
8月28日の15時ごろから、鹿児島は雨風が強くなるというため、それ以降は家から出なくてもよいようにと台風前の備えを始めました。
午前中に、ベランダに置いてあるプランター栽培のナスとミニトマトの苗に網をかけてぐるぐる巻きにし、葉っぱが風に振られないように守ります。家の中に入れられないほど苗が大きくなってしまったため、プランターと支柱をベランダに紐でしっかりと括り付けます。とにかく念入りにと、この準備だけで1時間くらいかけました。
しかし、このあと画像を添付しますが、ナスの葉っぱは網の外から予想もしないレベルの強い風でちぎられ、一枚残らずびりびりになりました。翌朝、1~2センチ角にちぎられたナスの葉が、別のベランダや窓ガラスのそこらじゅうに雨で貼りついていて、とてもナスに申し訳ない気持ちになりました。ミニトマトの苗2株は無事でした。
鹿児島の友だちに聞くと、南薩(南九州市や南さつま市、指宿市、台風銀座と呼ばれる枕崎市など)の方は台風が来るとしばしば停電になるとのことでしたが、都会で街も大きい鹿児島市は大丈夫だと思うとのことでした。しかし、知事が経験したことのないような台風が来るといいますし、停電のための準備も始めました。
まず、すべてのスマホはフル充電の100%にし、ろうそくを3本買ってきました。
懐中電灯も念のため3つを用意(1つが突然壊れてしまったときのために)、玄関、居間、寝室と、ひとつずつ置いておきます。
そして、バスタブの半分くらいまで水を溜めました。というのは、マンションなどの集合住宅では、増圧直結給水方式と貯水槽水道方式が多く使われ、水を屋上や各家庭に引くためにポンプを作動させています。電力が通っていないとポンプで水を供給することができません。停電とともに給水が止まる可能性があります。停電時でも水は出るとのことでしたが、台風のアタックに加え、地震、桜島の大噴火と同時に起こることもあり、何があるか分かりません。断水時のシャワー、トイレ、お皿洗い用に水を溜めました。
駐輪場に停めた自転車も、飛ばされないように駐輪場の柱に紐できつく縛り付けました。筆者のほかに、もう4台の自転車が、それぞれ紐で駐輪場のルーフの柱やといに括り付けられていました。万全な態勢に整えられています。
そして、ついに台風が接近してくる15時になりました。
予報どおりに、15時を過ぎたころから徐々に風が強くなり、雨もたくさん降ってきました。
強い風でヒューヒューと電線が鳴り始めます。これくらいなら、普通に悪天候のときでも見られる状況です。特に不安はありませんでした。シャワーも夕食も済ませ、あとは台風の到来を待つだけです。
深夜0時になると、風がかなり強くなってきました。神奈川で生まれ育った筆者の感覚ですと、これは完全に台風の域です。雨は強風で流されて真横になって降り、土砂降りです。鹿児島生まれ鹿児島育ちの友人に連絡をすると「ぜんぜん怖くないよ。まだ雨風は弱い方だよ。こっちで台風が来るときはこんなもんじゃないよお」といいます。風が電線を鳴らす音や風が出す地鳴りのような音が響き、窓ガラスがカタカタといいだしました。
深夜3時になると、”とんでもない”といえるレベルの風になってきました。
天気予報を見ると、現在の鹿児島市の風速は20メートルとなっています。このとき、最大風速では、30~40メートルは出ていたと思われます。風の音がゴーゴーヒューヒューと大音響で鳴り、おおげさでなく、まるで滝つぼに住んでいるのか(?)といううるささです。風の音がうるさすぎて、家の中なのに、もはや自分の声(独り言)すらまったく聞こえません。
滝つぼ以外に例えるなら、飛行機のエンジンの前に立っている感じでしょうか。洗濯機の脱水中のところに放り込まれてしまったともいえるかもしれません。うるさいのと怖いのとストレスで丸禿げになりそうでした。これが何時間も続きます。一刻も早く通り過ぎてくれと願うばかりです。人間の無力さを痛感しました。
”風”が、小さな風でできているのではなく、”突風だけ”でできているような感じなのです。突き上げる突風以外の風は来ないので、突風のコレクションでは恐ろしいといったらありはしません。”どんっ”と激しく音を立てて窓ガラスを突き抜けようとする風が数秒ごとに来るたびに、びくびくします。
鉄筋のマンションですが、家は飛ばされないにしても、外から風圧で窓ガラスは割られると思いました。それくらい、未だかつて経験したことのない暴風が街全体を覆っていました。ぴかりと雷も鳴っています。まるで街は死んでしまったかのように、暴風雨にただただ翻弄されるばかりです。しつこい台風にべろんべろんと舐められているかのようです。
何度も何度も、切れては点いてと停電がありました。停電の度に、トイレの温水洗浄便座がリセットされ、便座が温かい設定になってしまうので、最初はいちいち直しにいっていましたが、途中であきらめました。ガス湯沸かし器もエアコンも扇風機も、停電で切れてしまいます。
窓の外を見ると、道路の街路樹のヤシの木たちが、風によって90度くらいの直角にしなりながら、必死に耐えていました。近くの家から瓦や太い枝が飛び込んできたりして窓を破られれば一巻の終わりです。この暴風雨の中、部屋は水浸し、段ボールなどで割れた部分をふさぐしかありません。
3時半になると、窓をきっちり閉めているにもかかわらず、窓のサッシの隙間から微妙に雨が入ってきて床を濡らし始めました。窓が破られた場合は危ないため、台風のときは窓の近くにはいないようにします。カーテンをしっかりひいて真ん中を洗濯ばさみで留めておきます。窓が破れたときに、少しですが、衝撃のクッションにはなってくれるでしょう。
下の動画は、筆者が深夜3時40分に撮影したものです。右下にうっすらと見えるのは道路です。道路を雨水がゴーゴーと流れていきます。こんなときにも、トラックの運転手さんは荷物を運ぶためか走ってくださっています。ボリュームを大きくされると、窓ガラスを叩きつける雨音やヒューヒューという風の音などが聞こえます。
朝6時になってもなお雨風がひどい状況でした。やがて台風は、少しずつ遠ざかり、鹿児島県薩摩川内市の付近をおおよそ15キロ/時間の速さで北へ向かいます。
これから台風が進む地域の皆さんは、下記のものを準備されることをおすすめします。
どんな台風になるか台風が行ってみないと分かりませんので、やっておいて損はありません。
知らない土地に住んでいるのであれば、地元の人に、台風が来たときはどんな状況になるのか、事前にヒアリングしておくととても参考になります。
また現在の鹿児島市がそうですが、台風の吹き戻し(台風が過ぎ去ったあとに吹く逆方向からの強い風)があります。これは、数時間後から半日程度あとに、また台風が戻ってきたのではないかと思うような雨風が吹くものです。台風が遠ざかったと思っても、しばらくの間はご注意ください。
これから台風10号が通過する予定の場所にお住まいの皆さまは、台風が来る前にできる準備はおこない、十分にお気をつけてお過ごしください!参考になりましたら幸いです。