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【スイス】アッペンツェル地方の郷土菓子「ベアリ・ビバー」の手作り体験

ヘス順子

ヘス順子

スイス特派員

更新日
2025年5月1日
公開日
2025年5月1日

「ビバー(Biber)」とは、アッペンツェルやザンクト・ガレンといった東スイスで16世紀から焼かれている郷土菓子で、今では全スイスのスーパーやキオスクで必ず見かける、スイス人に最も愛されているお菓子のひとつです。
スイス在住の日本人はしばしば「日本のお菓子の『ひよこ』みたいな感じ」とたとえたりも。
今回は、このビバーを焼くワークショップに参加してきました。どのような材料を、どのような工程で焼き上げるのでしょうか?!

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ビバーとは?

「ひよこと似ている」とお伝えしましたが、似ているのは「あんを生地に包んで焼いたもの」という部分だと思われます。

違いは、生地にもあんにもハチミツがたっぷり練り込まれているので少しずっしりしていること、シナモンやカルダモンをはじめとしたスパイスの香りがすること、豆ではなくアーモンドパウダーが使われていること。そして、立体ではなく平べったい形なので、見た目は月餅のような感じかもしれません。

ビバーの語源は、洋梨を使ったお菓子「ビルネンツェルテン(Birnenzelten)」で、それが変化して「ビバー(Biber)」と呼ばれるようになりました。大きいものをビバー、小さいものを「ビバリ(Biberli)」と区別しています。

「リ(li)」は、スイスでは名詞の後につけると「小さくて可愛いもの」という意味になるので、ビバリは「ちっちゃいビバリ」になります。

スイス1有名なお店のひとつ? bischofberger

アッペンツェルにあるビバー専門店「bischofberger(ビショフベルガー)」で焼くビバリは「Appenzeller Bärli-Biber(アッペンツェラー ベアリ・ビバー)」と「Appenzeller Bärli-Biberli(アッペンツェラー ベアリ・ビバリ)」という名前で販売されています。Bär(ベア、熊)模様のついた焼き型で作られるので、この名前になりました。

スイス国鉄SBBのWeissbad(ヴァイスバード)から徒歩10分くらいのところにあるお店、兼、工場。最近リノベーションしたので少しモダンになりましたが、パッケージの絵はずっとアッペンツェルの有名な農民画家が描いた風景や人々。

この絵も、お菓子がスイス人に愛されている理由のひとつかもしれません。

定員14名、約1時間半のビバー体験スタート!

1人でも申し込めるのはここだけなので(他のお店は10人以上のグループでのみ参加可)、特に土曜日開催のワークショップは早めの予約をお勧めします。

まず、4種類ある木製の型を選ぶことからスタート。

熊のモチーフが1種類、花のモチーフが2種類あり、人気の熊から選ばれていきました。私は花のモチーフを使いました。

型にまんべんなく小麦粉をはたいて、2枚ある生地の外側にも小麦粉をはたきます。

指導してくれた方がかなり多めにはたいていたので真似してみましたが、少し不安…。

型の上に生地を乗せ、生地の外側だけ強く型に指先で押し付けます。

型に掘られたストライプに沿って、少し伸ばすようにするとうまくいくようです。

続いて内側の模様の部分の生地を押していきます。

生地が薄くなりすぎないように気をつけつつ、凹凸がきちんとできるように、少しハラハラしつつ丁寧に作業を進めました。

そして、型の上に乗った生地のどこが端でどこが真ん中かを縁を使って確認します。

軽く押してうっすら跡をつけておくのがポイントだそう。

そして、中身を生地の真ん中にのせます。

中身はハチミツ、砂糖、アーモンドパウダー、卵の白身でできているのでベタベタ!

手に水をつけながら、まずは長く伸ばしておいて、それを生地にのせ、広げていきます。

(ちなみに、売られているものはアプリコットの種のパウダー入り。これはなしだそうです)

もう一枚の方の内側には粉がつかないようにしつつ、型の上に乗せます。

端をしっかり押し付けて、2枚の生地をくっつけます。

縁で外側の余分な部分をカットして、

型を裏返して、生地を台に乗せて、

表面の余分な小麦粉をはたきます。

普通に掃除をするためのブラシだったので、少し笑ってしまいました(笑)。

自分のイニシャルや名前をスタンプします。

ここで、「自分だけのオリジナル」感が増していき、さらにテンションがあがりました!

最後に牛乳を塗って完了!

売られているビバーは、特殊な液体を焼き上がりと同時に塗るそうですが、体験レベルだとむずかしいそうで牛乳を。

オーブンに入れて25分くらい待っていたのですが、なんかドキドキ。

オーブンはプログラムされていて、担当の人に聞いたけれどはっきりはわからなかったのですが、「最初は少し高めの温度で7分くらい焼き、その後は温度を下げて焼く」とのことでした。

待ち時間は施設内にあるミニミュージアムを見学

さて、焼き上がりを待っている間は、店舗兼キッチンの建物内にあるミニミュージアムを見学しました。

ビバーの創始者ファミリーの歴史や、創設当初のレシピなどが展示されています。伝統的なアッペンツェルの風景が描かれた絵もたくさん見られるのも嬉しい経験でした。

なかでも個人的に一番興奮したのは木製の型の数々! 木を彫るもの大変だろうけど、生地を上手く乗せるのにも技術がいるな、とワークショップの後だけに感動しました。

焼き上がりました!

焼き上がりを、特別な箱に入れてお持ち帰り!

常温保存では3ヶ月、冷凍すればさらにもつそうなので、まずは眺めるために食べずに飾ってあります。

乾燥しすぎると表面が硬くなるし、香りも減ってしまうし、早く食べた方がいいのですが…(笑)。

誰かのお誕生日やお祝いに、手作りのビバーを相手の名前入りで贈るのも素敵だなと思いました。

スイスドイツ語の中でも特殊な部類に入る(=わかりづらい)アッペンツェルドイツ語でのみの開催ですが、まわりの人々の様子を見ていれば問題なく楽しめる内容です。

在スイスの方々はもちろん、旅行でスイスを訪れた方々も楽しめるビバー体験、アッペンツェル滞在の記念に訪れてみてはいかがでしょうか。

場所
Bischofberger Direktverkauf / Shop + Ausstellung
Weissbadstrasse 118
9057 Weissbad

営業時間
月曜日 13:00 – 18:00
火~金曜日 9:30 – 18:00
土曜日 9:30 – 17.00

■ビバリ作り体験
毎週水曜日
月に1度、土曜日
(2025年5月現在)
開催日時は変動があるので各自ご確認のほどよろしくお願いします。

価格
大人1人 36フラン
子供(6歳以上、12歳未満)24フラン

ホームページ
https://www.baerli-biber.ch
https://shop.e-guma.ch/baerli-biber/de/tickets
季節やイベントなどの関係で営業時間が異なる場合がありますので、事前のチェックをお勧めいたします。

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