フランスのリゾート地・レユニオン島のおすすめ観光情報

公開日 : 2020年08月06日
最終更新 :
険しい山と谷が入り組み、来るものを拒むマファト圏谷 @istock
険しい山と谷が入り組み、来るものを拒むマファト圏谷 @istock

フランスはヨーロッパというイメージを持っていませんか? フランスには世界各地に散らばる海外領土があり、それぞれが個性豊かな文化と自然を持っています。インド洋に浮かぶレユニオンもそのひとつ。海と山が一緒に楽しめるリゾートです。

【はじめに】2020年8月4日現在、観光目的の海外渡航は難しい状況です。『地球の歩き方ニュース&レポート』では、昨今の世界情勢をふまえ観光地情報の発信を抑制してきました。しかし、2020年5月31日で「期間限定の電子書籍読み放題サービス」が終了したこともあり「近い将来に旅したい場所」として、世界の現地観光記事の発信を2020年6月以降、再開することにいたしました。

世界各地のまだ行ったことのない、あるいは再び訪れたい旅先の詳しい情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス禍収束後は、ぜひ旅にお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを、心より願っています。

レユニオンについて

レユニオンについて
レユニオン島沖ではホエールウオッチングもできる @istock

アフリカ大陸の東に浮かぶマダガスカル。そのさらに東方800km、インド洋上に浮かぶ島がレユニオンです。レユニオンからさらに東へ行くとモーリシャスがあります。

レユニオンは熱帯性気候に包まれたカルデラ型の火山島。県都はサン・ドニです。島の地形は起伏に富み、中央に最高峰ピトン・ド・ラ・フルネーズがそびえ立っています。そのため、標高によって気温が大きく変化し、高山では冬に積雪も見られます。南半球にあるため、日本などがある北半球とは季節が逆。11月〜4月が夏、5月〜10月が冬になります。

島内の耕作面積の60%がサトウキビ畑 @istock
島内の耕作面積の60%がサトウキビ畑 @istock

食も豊かです。熱帯性気候と風土を生かした、パイナップルやマンゴー、パパイヤ、バナナ、ライチなどのトロピカルフルーツ。サトウキビやゼラニウム、タバコといった作物が栽培されています。なかでもレユニオンで精製されるブルボンバニラは、多くの料理人に愛されている食材。ブルボンポワントゥというコーヒーの原種に近い種類のコーヒーも特産品です。

色とりどりのフルーツはレユニオンの自然の恵みだ @istock
色とりどりのフルーツはレユニオンの自然の恵みだ @istock

フランス国内のため通貨はユーロが流通。公用語はフランス語ですが、一般的にはクレオール語が使われています。日本との時差は−5時間です。日本とフランスの時差は−8時間(夏時間のときは−7時間)なので、レユニオンの方が日本との時差は少ないです。なお、レユニオンではサマータイムは行われていません。

レユニオンの歴史

レユニオンの歴史
レユニオンの海岸線と周囲に広がるインド洋 @istock

無人島だったレユニオンに、1513年に来航したのはポルトガル人のマスカレナスでした。その後、レユニオンはオランダの支配を経て1642年からフランス領に。当初はブルボン島と名づけられましたが、一時はボナパルト島と名前が変わり、1793年には現在のレユニオンという名前に。そして1946年、フランスの海外県になりました。

フランスの植民地となったレユニオンには、アフリカ大陸から大量の黒人奴隷が連れてこられました。サトウキビやコーヒーのプランテーション栽培の労働力として使うためです。奴隷貿易廃止後は、インド人が労働力となりました。このように、歴史的にさまざまな人種が入植した経緯から、住民はマレーやアラブ、ペルシア、アフリカ、インド、フランスおよび、クレオール(「植民地で生まれた者」という意味)で構成されています。そのためグルメも各国からの影響を受けています。

火口から噴出したマグマは大地を這い海へ向かって流れていく @istock
火口から噴出したマグマは大地を這い海へ向かって流れていく @istock

観光地としては、2010年にはレユニオンの自然の美しさが認められ「レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群」が、ユネスコの世界遺産に登録されています。

アクセス方法

アクセス方法
レユニオンまでは大きく分けてアジア経由とヨーロッパ経由がある @istock

日本からレユニオンへの直行便はありません。日本からだと、中東のドバイなどアジア各国を経由してモーリシャスで乗り継ぎ、レユニオンの玄関口、県都サン・ドニ郊外にあるローラン・ギャロス空港に着きます。ドバイ経由のエミレーツ航空を利用すると、日本からモーリシャスまでは約20時間のフライト。モーリシャスからレユニオンまでは45分で到着します。

フランス国内であるため、パリ・シャルル・ド・ゴール空港からもエールフランスのフライトが結んでいます。日本からパリまでは12時間、パリからレユニオンまでは11時間です。アジア経由、ヨーロッパ経由どちらを取るにしても、北半球から南半球へ渡るロングフライトになります。

おすすめ観光スポット【1】ふたつの火山

おすすめ観光スポット【1】ふたつの火山
大地に大きく口を開けるピトン・ド・ラ・フルネーズの火口 @istock

レユニオンを代表するふたつの火山がピトン・デ・ネージュ(3071m)とピトン・ド・ラ・フルネーズ(2632m)です。

島の中央にあるピトン・デ・ネージュは、レユニオン島が生まれるきっかけとなった山。現在は休火山であり、レユニオンの中でもっとも高い標高を誇っています。ピトン・デ・ネージュを囲むように3つの大きな谷「シラオス」「マファト」「サラジー」があります。これらの地形は50万年前に形作られました。

真っ赤なマグマを吹き上げるピトン・ド・ラ・フルネーズ @istock
真っ赤なマグマを吹き上げるピトン・ド・ラ・フルネーズ @istock

一方で、島の南東部にあるピトン・ド・ラ・フルネーズ(通称ル・ヴォルカノ:標高2632m)は、今も噴火が起こる世界でも最も盛んに活動する活火山のひとつです。噴火は年数回起こり、噴火時には真っ赤な溶岩や火山灰が吹き出す姿を見ることができます。火山活動が続いているため一帯に植物は生えず、溶岩と火山灰で覆われた灰色の世界が広がっています。ピトン・ド・ラ・フルネーズは活火山ですが、溶岩は人家の方向には流れていないため、人々の生活には直接は影響がありません。

ピトン・ド・ラ・フルネーズあたりは、「シラオス」「マファト」「サラジー」の3つの谷と比べれば歴史は新しく、18万年前に形成されました。

荒涼とした大地とピトン・ド・ラ・フルネーズ @istock
荒涼とした大地とピトン・ド・ラ・フルネーズ @istock

ピトン・デ・ネージュ、ピトン・ド・ラ・フルネーズどちらも、周囲はハイキングコースが充実しています。また、レユニオンでは気候の関係で午前11時には山岳部が霧に覆われてしまうため、ピトン・ド・ラ・フルネーズへ出かける際は、10時頃までには頂上に到着するように予定を組んでみましょう。

おすすめ観光スポット【2】3つの圏谷群

おすすめ観光スポット【2】3つの圏谷群
大地の活動が造り出した美しい景色が島内いたるところに広がる @istock

「シラオス」「マファト」「サラジー」の3つの圏谷群は、ハイキングコースが充実するレユニオンの中でもハイライトとなるスポットです。険しい地形からこれら地域は、逃亡した奴隷がかつて隠れ住む場所となっていました。

島のほぼ中央に位置するシラオス圏谷とシラオスの村 @istock
島のほぼ中央に位置するシラオス圏谷とシラオスの村 @istock

3つの谷の中でも、シラオスは多くの人にとってハイキングの起点になる場所です。レユニオン南部の中心地サン・ルイからシラオスまで山道を40km進み向かうのですが、シラオスにいたる道沿いから標高2000mを超える山々の美しい景色を楽しめます。

シラオスの村は、島内で唯一ワインが造られており、ワインの酒倉ではワインの試飲や購入が可能です。村はバスの停留所があるグリサン通りを中心に広がっています。温泉も湧いています。

ピトン・マイドからはマファト圏谷などの絶景を望める @istock
ピトン・マイドからはマファト圏谷などの絶景を望める @istock

マファトは高い外輪山と深い谷で形成されており、徒歩もしくはヘリコプターでしかアクセスできません。マファトの谷にある人口180人の最も大きな村のラ・ヌーヴェルでは、学校や商店などはあるものの、電気はすべて太陽光、物資はヘリコプターで供給されます。

細い滝が幾筋も落ちるサラジーにある花嫁のベールの滝 @istock
細い滝が幾筋も落ちるサラジーにある花嫁のベールの滝 @istock

サラジーは、美しく変化に富んだ滝が点在する谷です。1336mの山ピトン・ダンシェンやヴォワル・ド・ラ・マリエ滝といった見どころのほかに、エル・ブールは「海外フランス領でもっとも美しい村」のひとつになっています。またグラン・イレでは、レユニオンの農村の生活に出合えます。またサラジーは、徒歩もしくはヘリコプターでしか入れないマファトへの、入口のひとつでもあります。

おすすめ観光スポット【3】サン・ジル・レ・バン

おすすめ観光スポット【3】サン・ジル・レ・バン
サン・ジル・レ・バンの海岸と白い砂浜 @istock

レユニオンの西側にある町、サン・ジル・レ・バンはレユニオン最大のビーチリゾートです。周囲は南北にわたり、インド洋に面して白い砂浜が広がっています。波を求めるサーファーやその他マリンスポーツを楽しむ人、海辺でゆっくりとしたバカンスを過ごしたい人など、ここでは思い思いの形で人々が自らの休日を送っています。

サン・ジル・レ・バンの中心地は、海岸から少し入った先のメインストリート「ジェネラル・ド・ゴール通り」を中心に栄えています。ド・ゴール通りには両サイドに服や雑貨を扱う店やレストラン、カフェ、スーパーマーケット、クレオール手工芸品などを扱う土産物店などが軒を連ねています。近くには観光案内所もあります。

サン・ジル・レ・バンの北端ブーキャン・カノは、インド洋の波を求めてサーファーが集う地区です。サーフショップなどがあり、ボードのレンタルができます。

何段にも分かれ美しく流れ落ちていくエグリットの滝 @istock
何段にも分かれ美しく流れ落ちていくエグリットの滝 @istock

少し変化をつけたい時は、サン・ジル・レ・バンからサン・ジル・レ・オに向かって内陸へ入ってみましょう。3つの滝「コルモラン」「エグリット」「マルヒュー」があります。滝の起点となる入口には駐車場があり、2時間ほどで3つを巡れます。コルモランは力強く男性的、エグリットは優美で女性的と、対照的です。同所はレユニオン出身の高踏派詩人ルコント・ド・リールが、霊感を感じた場所として知られています。

レユニオンの治安は?

レユニオンの治安は?
サン・ドニの中心部にあるサン・ドニ教会は真っ白な外観が美しい @istock

レユニオンの治安はおおむね良く、あまり心配する必要はありません。ただし、どこの場所でもそうですが、最低限の注意は常に怠らないようにしたいです。

例えば「人目がある場所で多額の現金などを出さない」「現金をはじめパスポート、クレジットカードなどは分散させ、スリなど万が一の被害に遭った際に、被害が最低限になるよう日頃から努める」「パスポートやクレジットカードは紛失した時のために、番号のコピーと紛失時の問い合わせ先をメモしておく」「貴重品はホテル内の部屋の目につく場所に置きっぱなしにしない」「セーフティボックスなどに預ける」といったことは実践したいです。

少し気をつけるだけで、滞在中の小さな犯罪やトラブルは防げます。

レユニオンのおすすめホテル

レユニオンのおすすめホテル
インド洋に面して広がるサン・ドニの町は白い建物が立ち並ぶ @istock

■オーストラル(Hotel Austral)

首都サン・ドニの中心地にある50室を備える3つ星ホテル。海からは300mの距離にあります。空港からは車で15分。バスターミナルも近いです。2017年に改装を済ませています。館内ではWi-Fiが完備されているほか、プール、ふたつの会議室、地下駐車場があります。

・住所: 20, rue Charles Gounod 97400 Saint-Denis REUNION
・URL: https://hotel-austral.re/

レユニオンへの旅

レユニオンへの旅
サン・ドニ北部バラショワ広場に並ぶ砲台 @istock

神奈川県とほぼ同じくらいの面積を持つレユニオンは海と山の楽しさが、ぎゅっと詰まっています。フランス文化を始めさまざまな文化が混ざったレユニオンで、多民族国家フランスの一面を発見しに行ってみませんか。

PHOTO: iStock

※本記事の観光関連情報は2020年7月20日現在のものです。

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2020年8月4日現在、レユニオンへの日本からの観光目的の渡航はできません。渡航についての最新情報、情報の詳細は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:  https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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