タイ初心者でも安心。旅の注意点、交通手段、お寺見学時のルールなど

公開日 : 2022年12月15日
最終更新 :
筆者 : Taeko

日本から約6時間のフライトで訪れることができる観光立国タイ。タイには在住日本人も多く、親日国ですが、日本とは異なる独自のルールがあり、観光や出張でタイを訪れる人でも守るべき決まりごとがたくさんあります。タイ初心者でも安心して旅行ができるよう、タイ独自のマナーや寺院見学時のルール、衣食住環境や交通手段などを解説します。

タイ人との挨拶「サワディー」「ワイ」「チューレン」「クン」とは?

タイの挨拶は「サワディー」です。「こんにちは」と訳されることが多いですが、時間を問わず、「おはよう」や「こんばんは」として、また、お別れ時のあいさつにも用いられます。自分が男性の場合は、語尾に「カップ」、女性の場合は「カー」をつけるのがていねいな言い方です。

たくさんの人が参拝に訪れるエラワンの祠
たくさんの人が参拝に訪れるエラワンの祠

挨拶するときに、胸~顔の前で手を合わせる「ワイ」という動作があります。ワイは、一般的に目上の人に対して行いますが、ワイをされた人はワイを返すのがスマートでしょう。相手の立場が上になればなるほど、ワイをする位置は高くなります。

タイ人に名前を尋ねると、「ウアン(=太っている)」や、「レック(=小さい)」、「グラタイ(=ウサギ)」のように、およそ名前ではないような返答があります。これは、タイ人がお互いをチューレン(=愛称)で呼び合うことが多いからです。愛称は、子供も大人も使用し、日本では信じられないような話ですが、友達同士でも本名を知らないこともあります。

タイでは男女問わず名前や愛称の前に、「クン」をつけて呼ぶとていねいな表現になります。例えば、山田さんの場合は、「クンヤマダ」と呼ばれます。

寺院参拝時の注意点

寺院を参拝する人々
寺院を参拝する人々

タイで人気の観光といえば寺院巡りですが、タイは国民の9割以上が仏教を深く信仰しており、仏教寺院は神聖な場所と考えられています。ですので、観光の場合でも訪れる現地の人や空間へ敬意を払う必要があります。

タイの王宮&ワット・プラケオ参拝時に許可されない服装
タイの王宮&ワット・プラケオ参拝時に許可されない服装

まず寺院参拝の際は、露出を控えた礼儀正しい服装で行きましょう。暑い国ですが、タンクトップやミニスカート、短パンでは入れない寺院もあります。有料で、衣装の貸し出しがある場合もありますが、襟付きのシャツに足先近くまで隠れるズボンやスカートで、なおかつ体のラインがわかりにくいものが無難です。

寺院の敷地内の様子
寺院の敷地内の様子

また、寺院によっては靴を脱いで参拝する場所もあり、足の裏が汚れたり、地面が熱かったりする場合があるので、靴下を持参しておくと重宝します。

さらに、仏像より頭が高くなるようなポーズで写真を撮ることなどが禁じられている場合があります。過去には、日本人が寺院内で騒いだことが問題視されたこともあるので、文化を敬い、言動には気をつけるようにしましょう。寺院内のみならず、町なかでも僧侶を目にすることがありますが、女性は僧侶に触れてはならず、距離を置くのがマナーとされています。

頭は神聖な場所 、左手や足の裏は不浄な場所

タイでは、頭には精霊が宿ると考えられており、手で頭を触ることは失礼な行為です。不快に感じる人もいるので、触れてしまわないように気をつけましょう。

一方、左手と足の裏は不浄な場所と考えられています。左手で人に物を渡す、足で人をまたぐ、仏像や人に足の裏を向ける行為もたいへん失礼になります。

8時と18時は、直立不動!

タイでは、タイ王室に敬意を払うことが一般的です。なかでも、タイ国王はタイ仏教の頂点という立場で、最も敬意を払うべき存在とされています。町の至る所に飾られている国王の写真や国旗はていねいに扱われており、映画館では上映前に国王讃歌と王室の映像が流れますので、そういった場面に遭遇した際には起立するなど周囲の人の行動にあわせて動くとスマートです。

バンコク市内の公園
バンコク市内の公園

毎日8時と18時には、公園などから、国王讃歌が流れるので、曲が終わるまで直立不動の姿勢をとるようにしましょう。これらを守らない場合「不敬罪」として処罰の対象となります。

ただし、安全面で問題が生じるような車の運転手などは、この限りではありません。王室への批判や侮辱行為は、インターネット上での発言であっても同様に不敬罪にあたります。日本語のわかるタイ人も多いので、言動にはくれぐれも気をつけてください。

お酒は日本のようにいつでも買えるわけではない!

タイのセブンイレブンの酒類販売禁止時間帯の様子
タイのセブンイレブンの酒類販売禁止時間帯の様子

タイでは、14~17時、24~翌11時までの時間帯、酒類の販売が禁止されています。そのほか年に数回、酒類を販売してはいけない日も。敬虔な仏教国であるため、仏教行事や選挙が行われるときには、酒類販売が禁止になります。外国人が宿泊するようなホテルでは購入できる場合がありますが、お酒が好きな人は事前に調べておくようにしましょう。

喫煙やポイ捨ては罰金対象の場合も!

BTSアソーク駅直結のショッピングモール「ROBINSON」近くの喫煙可能エリア
BTSアソーク駅直結のショッピングモール「ROBINSON」近くの喫煙可能エリア

タイでは、喫煙のイメージがあまりよくありません。タバコのパッケージを見てみると、喫煙によっていかに健康リスクがあるかということがひと目でわかるようなパッケージになっています。そして、喫煙できる場所も限られており、日本と同じく愛煙家にとっては肩身が狭くなりつつあります。

百貨店やショッピングモールなどの屋内では喫煙できず、出口付近を探すと、喫煙が可能なエリアがなんとか見つけられる状況です。禁止エリアで喫煙したり、ポイ捨てしたりすると、2000バーツ(約7600円)以上の罰金が科せられますので、気をつけましょう。ヘビースモーカーの方は、携帯灰皿があると便利です。

タイのトイレ事情について

きれいで有名な、BTSアソーク駅直結のショッピングモール「Terminal21」内のトイレ
きれいで有名な、BTSアソーク駅直結のショッピングモール「Terminal21」内のトイレ

バンコクの百貨店やショッピングモール、オフィスビルでは、清潔で、清掃の行き届いた無料のトイレが増えてきました。ただ、そのようなトイレでも、日本のトイレのように、トイレットペーパーを流すと、紙質や水量などによって詰まってしまうことがあり、トイレットペーパーを流さないようにと記載されていることが多いです。その場合、トイレットペーパーは便座脇のゴミ箱に捨てるようにしましょう。

有名観光地であっても、バンコク中心街から離れたところではトイレが有料の場合があります(3~5バーツ=10~20円程度)。トイレットペーパーやゴミ箱がなかったり、水の入った桶やハンドガンタイプのホースがあったりする場合も。この桶に入っている水やホースから出る水でお尻を洗い、便器内の汚物も流すそうですが、なじみがなく戸惑う旅行者は少なくないでしょう。筆者はいまだにタイの“伝統的”なトイレになじめず、トイレに行くこと自体我慢していますが、もしものときのために遠出の際はトイレットペーパーとゴミ袋を持参するようにしています。

ホテル、マッサージ、ゴルフ場では、チップが必須!

ゴルフを楽しむ人々
ゴルフを楽しむ人々

タイのホテルでは、チップを渡すのが一般的。ホテルで、荷物を運んでもらったり、ベッドメイキングをしてもったりするときなど、20バーツ(約75円)程度、マッサージ店では満足度に応じて、1時間当たり50~100バーツ(約190~380円)、ゴルフ場で18ホール回った場合、最後にキャディーさんに300~500バーツ(約1100~1900円)渡すのが一般的です(タイのゴルフ場では、プレイヤーひとりにつきキャディーさんがひとりつきます)。事前に指名した場合は、通常より多く渡すのが無難でしょう。これらの職業に就いている人にとっては、チップが貴重な収入源となっており、チップを渡さないことはマナー違反で歓迎されないゲストと認識されることになりかねません。あらかじめ20~100バーツ(約75~380円)程度の紙幣を多めに用意して行動するとよいでしょう。

水道水は飲めない!

タイで買える水のペットボトル
タイで買える水のペットボトル

タイの水道水は日本と異なりそのまま飲むのは不衛生だと考えられています。在住者は浄水器を設置していたり、水の宅配サービスを利用していたりします。スーパーやコンビニエンスストアなどで500mlのペットボトルが7バーツ(約26円)程度で購入できるので、タイ旅行中は安全な水を購入しましょう。

屋台やフードコート以外のレストランでは、サービス料と税金がかかることも

レシートにVATの項目があるかを確認
レシートにVATの項目があるかを確認

タイの屋台やフードコートの料理は安く、表示どおりの金額を払えば問題ありませんが、レストランでは、表示価格以外に、税金と10%程度のサービス料が加算されることがあります。会計時に足りないということがないよう、気をつけましょう。また日本のように水が無料で出てくることはほぼなく、屋台のテーブルに置いてある水も有料です。

スプーンがナイフ代わり!?

フードコートで食べられるカオマンガイ
フードコートで食べられるカオマンガイ

タイの大衆食堂やフードコートでは、スプーンとフォークのみが置かれていることが多いです。スプーンは必要に応じてナイフ代わりにも使われます。麺料理の場合は、箸とスプーンで食べます。なお日本とは異なり食器を持ち上げることや器に直接口をつけることはマナー違反とされています。

利用できる交通手段「BTS」「MRT」「タクシー」「トゥクトゥク」「バイクタクシー」「路線バス」など

市内を走るBTS(高架鉄道)
市内を走るBTS(高架鉄道)

バンコクの公共交通機関で便利なのは、運行本数が多くわかりやすいBTS(高架鉄道)とMRT(地下鉄)です。どちらも、暑い日でも涼しくバンコク市内を移動できるのもうれしいポイント! 乗車券の購入方法は、日本とほぼ同じですが、紙幣の挿入口がないところがほとんどです。そのため紙幣を両替する人が窓口に並び、朝夕の通勤時間帯はたいへん混雑します。

BTSは1日乗り放題の乗車券があるので、旅行の計画を立てて移動する際、うまく活用しましょう。車内では、高齢者や妊婦のみならず、子どもにも座席を譲る習慣があります。

トゥクトゥク
トゥクトゥク

16~20時頃は帰宅ラッシュで、渋滞がひどくなる傾向がありますが、ふたり以上で移動する際やBTSからMRTに乗り換えが必要なときなどは、タクシー利用のほうが便利でお得な場合があります。タクシーは、日本だと手をあげて止めますが、タイでは手を斜め下に向けると停車してもらえます。乗車後は、行き先を伝えれば目的地まで連れて行ってくれます。今ではほとんどのタクシーがメーター付きで、初乗り35バーツ(約130円)ですが、車内のメーターをつけようとしないタクシー運転手もたまにいて、プチぼったくりに遭いますので、乗車時にはメーターを確認するようにしましょう。

トゥクトゥク(三輪タクシー)やバイクタクシーにはメーターがありませんので、行き先を伝えて、値段を確認、場合によっては交渉してから乗車します。ほかには路線バスや乗り合いバンなどもありますが、多少タイ語で会話できる人向けの乗り物です。

写真や動画の撮影、投稿時の注意点

タイでは、2008年に施行されたアルコール飲料規制法により、アルコール飲料の広告を出すことが禁止されています。特定の商品をすすめていると捉えられてしまうため、アルコール飲料のブランド名がわかる写真や動画をSNSに投稿することも禁止されています。違反した場合には、罰金が科せられる可能性があります。実際に処罰された事例がありますので、気をつけましょう。

また、2022年6月1日より、個人情報保護法(PDPA:Personal Data Protection Act)が施行されました。なんらかの意図をもって、人の写真や動画を撮影、投稿することは、罰金または禁錮刑が科せられる可能性があります。個人であっても、広告費目的や、悪意をもってブログやYouTube、TwitterなどのSNSへ投稿すると、処罰の対象になり得ますので気をつけましょう。

最後に

以上、タイ旅行時に知っておきたい注意事項を紹介しました。外国人観光客が多少マナー違反なことをしていても、タイ人は、「マイペンライ(=大丈夫)」の精神で大目に見てくれる場合があるかもしれませんが、トラブル回避や、よりよい旅行体験のため、マナーを理解しておくに越したことはありません。皆さんのすてきなタイ旅行の参考になれば幸いです。

監修:地球の歩き方

※こちらの記事は、1バーツ:3.8円を参考に計算しています。

筆者

タイ特派員

Taeko

2011年10月から、夫の転勤で、タイのバンコク在住。

【記載内容について】

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