モルディブの治安情勢
新型コロナのグローバルなパンデミックが落ち着きを示す中、夏にきれいな海を目指してインド洋の天国とも言われるモルディブへ渡航しようとする人もいるかも知れません。モルディブと言うとハネムーンとしても非常に人気があり、世界から観光客が押し寄せる場所ですが、あまり治安面を気にする人は多くないと思います。では、実際のところモルディブの治安はどうなっているのでしょうか。
モルディブの犯罪情勢
モルディブの犯罪情勢は決して悪くありません。殺人や強盗などは稀ですが、観光客を狙ったスリや置き引きは頻繁に発生しており、首都マレなどを中心に、金品を狙った窃盗被害、自動車泥棒、空き巣、バイクやオートバイによるひったくりなども近年増えているようです。誘拐事件は多くなく、外国人を狙った誘拐事件も確認されていません。一方、マレでは犯罪組織による抗争が激化し、銃撃戦に巻き込まれ死傷者も出るケースも過去にあります。
過去にはテロが発生
しかし、モルディブで意外に驚くのはテロ情勢です。モルディブでテロのイメージはほぼゼロではないでしょうか。しかし、モルディブはイスラム教徒が多く、イスラム過激思想に染まる人はほぼ限られますが、近年では中東のシリアイラクを中心に猛威を振るったイスラム国の過激思想を支持する個人、小規模組織による活動が見られました。2020年2月にはマレ北方にあるフルマレ島で中国人2人とオーストラリア人1人が刺される事件が発生しました。事件後、イスラム国を支持する地元のグループが犯行声明を出しましたが、警察は事件に関与したとして現地に住む3人を逮捕しました。2019年にはシリアやアフガニスタンへ戦闘員を送る活動をしていたとして30代の男が逮捕され、2007年にはマレ市にある公園で発生した爆弾テロにより、日本人2名を含む観光客12名が負傷しました。最近は大規模なテロ事件は起こっていませんが、これまでにイスラム国の活動に参加するため中東に渡った現地人は100人に上るとされます。
危険から身を守るには
モルディブで犯罪やテロに巻き込まれないためにはどうすればいいのでしょうか。基本的なことにはなりますが、スリや置き引きに遭わないためには自分の身の回りを十分に気を付けることが第一ですが、強盗や強姦に遭わないためには夜間の1人外出を避ける、人気のない狭い道を避けるなどが重要になります。また、テロに遭わないためには大使館や人が集まる場所にはできるだけ長居しない、国家記念日や選挙、イスラム教の祭日などのタイミングには中心部への渡航は避けるなどが重要な対策になります。また、上述でも触れたように、モルディブはイスラム教国ですので、イスラム教のルールを遵守する必要があります。たとえば飲酒はリゾートエリア以外は禁止されており、断食月ラマダンの時は日中の飲食も禁じられています。イスラム教のモスクを訪れる際は過度に肌を露出することを避ける必要があります。外務省の海外安全ホームページなども利用し、イスラム教の基本マナーを理解しておく方がいいでしょう。
筆者
地政学リスクの視点から海外渡航、海外危機管理を考える特派員
ピエール・プロバンス
これまでに訪れた国は30か国程度。海外の外交官やジャーナリスト、研究者などと強い人脈を持つ
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