ウルルとカタジュタ国立公園の観光ガイド完全版 オーストラリア中央部の絶景を楽しむために
オーストラリア大陸のほぼ中央、赤土の荒野に忽然と姿を現すウルル(エアーズロック)。周囲約9. 4km、海抜863m(地上からの高さは348m)の世界最大級の一枚岩だ。まさに「地球のへそ」と呼ぶにふさわしい姿で、オーストラリアといえば、この岩を思い浮かべる人も多いだろう。
西洋人による発見は1872年。探検家ウイリアム・ゴスが大陸内部探査の途中で見つけ、当時の南オーストラリア長官ヘンリー・エアーにちなんでエアーズロックと名づけられた。現在はウルル- カタジュタ国立公園Uluru - Kata Tjuta NP としてオーストラリア政府がアボリジニ・コミュニティ(ピジャンジャラ評議会)から借り受けている。そしてオーストラリア先住民にとっての重要な聖地であり、このあたりに住むアナング族が代々呼び続けた名前「ウルル」を正式名称に変更しているのだ。
ウルル周辺には、この巨大な一枚岩のほかにも重要な見どころがいくつかある。なかでもウルルとともに世界複合遺産に登録されているカタジュタ(オルガ岩群)、ウルルと大陸中央の町アリススプリングスとの中ほどにあるワタルカ国立公園(キングスキャニオン)は、中央オーストラリアの見逃せない観光ポイントだ。
ウルルの歩き方
ウルル-カタジュタ国立公園の観光方法
リゾートからウルルやカタジュタの観光へ向かうのだが、どちらも20km以上離れており、エアーズロック・リゾート発着のツアー利用が一般的。レンタカー利用の場合は、国立公園内にガソリン、水、食料の補給所がないので注意すること。観光ルートはすべて舗装されているので安心だ。なおウルル、カタジュタのあるウルル- カタジュタ国立公園を観光する場合は、国立公園入口にて入園券を購入する必要がある。ツアー利用の場合は、通常ガイドが販売代行をしている。
ウルルカタジュタパークパス
- 料金
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3日間有効:大人$38 子供無料
※ツアー参加者はバスドライバーから購入できる - 開園時間
- 12~2月:5:00~21:00/ 3月:5:30~20:30 / 4 月:5:30~20:00 / 5 月:6:00~19:30 / 6~7 月:6:30~19:30 / 8 月:6:00~19:30 / 9 月:5:30~19:30/ 10 月:5:00~20:00 /11 月:5:00~20:30
先住民の伝説の世界を垣間見る ベースウォークBase Walk
ウルルにはセイクレッドサイトSacred Site と呼ばれるアナング族にとって歴史的に重要な意味をもつ場所がいくつかあり、立ち入ることや写真撮影が禁じられている。ベースウォークのルート上にその旨指示があるので、必ず守ること。
ウルルを一周する約9kmのウォーキングトレイル(ベースウォーク)がある。所要3時間ほどなので健脚派におすすめ。ベースウォークツアーで訪れる場合も、ベースウォークの一部、マラウォークMalaWalk とクニヤウォークKuniya Walk を歩くことになる。この2 ヵ所を歩くだけで主要なポイントはおさえられる。
マラウオークは登山口から片道1km ほど続く遊歩道。旧登山口から時計回りに進むと、左側に小さな洞窟が見つかる。洞窟内の天井に先住民の壁画が残っている。絵はおもにカンガルーやエミューの足跡で、かつて子供たちに絵や伝説を教えた場所とされる(クルピニャインカクKulpi Nyiinkaku)。さらに進むと、岩肌の一部が大きく波形に削り取られた2つの自然のシェルターが現れる。先住民がくぼみの一部に長老の姿を見るとされるクルピワトクKulpi watiku、女性や子供が食料を調理したとされるクルピミニャマクKulpi Minymaku だ。このあたりからは岩沿いには低木が茂っている。そしてカンジュ渓谷Kantju Gorgeと呼ばれる小さな池に着く。雨が降ると、この池へと雨水が岩肌を滑り落ち、壮大な滝となる。
ウルルの南側の駐車場から往復1kmほどの遊歩道がクニヤウオーク。先住民の伝説では、毒蛇男に甥を殺されたニシキヘビ女のクニヤが、その復讐をした場所で、ここに残る泉カピムティジュルKapi Mutitjulu(マギースプリングスMaggie Springs)は、亡くなった甥を祀っている場所といわれている。
ウルルを前に荘厳な朝を迎える ウルル・サンライズ
1日のうちに岩肌の色をさまざまに変えるウルル。日の出前は闇のなかに溶けていた岩肌が徐々に赤みをもち、日の出とともに鮮やかなサーモンピンクに染まったあと、鮮やかなオレンジ色へと変化する。朝日に染まるウルルを見るベストポイントは、ウルル南東のタリングル・ニャクンチャク・サンライズ・ビューイングエリアTalinguru NyakunytjakuSunrise Viewing Area で、一度に3000人が日の出のウルルを見学できるよう造られた展望デッキがある。ウルルの左側遠くにカタジュタも一緒に望めるため、ウルル&カタジュタを1 枚の写真に収めることも可能だ。
ウルルが赤く燃える ウルル・サンセット
ウルルが真っ赤に染まる夕方の光景。それを眺める最良の場所がサンセット・ビューイングエリアSunset Viewing Areaだ。日が西に傾き始める頃から、徐々に岩肌が赤く色づき始める。そして日が沈む瞬間に岩肌は燃えるような色となる。だが一瞬のこと。日が沈みきると急速に色は失せ、夜の闇のなかにその姿を隠していく。この世のものとは思えないほどに燃え上がるのは、年に数えるほど。微妙に雲が広がっていないと真っ赤にならないようだ。
月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日の出 | 6:12 | 5:50 | 5:49 | 6:08 | 6:31 | 6:46 | 7:00 | 7:15 | 7:29 | 7:31 | 7:14 | 6:43 |
日の入り | 18:51 | 19:10 | 19:32 | 19:41 | 19:28 | 19:02 | 18:31 | 18:08 | 18:03 | 18:12 | 18:26 | 18:39 |
(2022年10月~2023年9月:各月15日の時刻)
その他の主要な見どころ
ウルルのツアー&アクティビティ
ツアー会社はいくつもあるが、AATキングス が催行しているツアーに参加するのが一般的。いくつかのツアーがセットになったパスがあるので、観光はツアーで、と考えている人は購入しよう。日本語ガイドが付くツアーをまとめたパスもある。
ツアーの組み合わせ例
エアーズロック・リゾート到着は昼過ぎが多い。1泊2日の予定なら、到着日午後にウルル・セイクレッドサイト(ベースツアー)&ウルルサンセット+マイウルルララBBQへ出かけ、翌朝ウルル・サンライズ&カタジュタのワルパ渓谷散策を行う。
ベストは2泊3日。到着日の午後はリゾート内でゆっくりしたあとにウルル・サンセット&マイウルルララBBQ、翌朝カタジュタ・サンライズと風の谷、午後は遊覧飛行などを楽しみ、夜はサウンド・オブ・サイレンス・ディナー(もしくはフィールド・オブ・ドリームス見学)。3日目早朝にウルル・サンライズ&ベースウオークというパターンだ。風の谷散策を外せば、2日目にキングスキャニオン観光もできる。
ツアー名 | URL |
---|---|
サウンド・オブ・サイレンス | https://www.ayersrockresort.com.au |
シーニックフライトプロフェッショナル・ヘリコプタサービス | https://phs.com.au/ |
エアーズロック・シーニックフライト(ヘリコプター&セスナ) | https://www.ayersrockresort.com.au/ |
ウルル・キャメルツアー | https://www.ulurucameltours.com.au/ |
ウルル・セグウェイツアー | https://www.ulurusegwaytours.com.au |
アウトバックサイクリング・ウルル | https://www.outbackcycling.com/uluru-bike-ride |
ウルル・モーターサイクルツアー | http://ulurumotorcycles.com.au/ |
ウルルのホテル
エアーズロック・リゾートに滞在する
ウルル観光拠点、それがエアーズロック・リゾートAyers Rock Resort。ウルル-カタジュタ国立公園内には宿泊できないので、観光客はすべてこのリゾートに滞在する。リゾート自体アウトバックの景観を損なわないよう配慮して造られており、ほとんどの建物は砂漠の色と同化するよう特別な塗料が使われている。真夏の昼は40℃以上にもなる猛烈な熱を反射するため、スイス製の日よけ用の帆が68も使われており、その姿、形がここの特色にもなっている。
エアーズロック・リゾートとひと口にいっても、実はいくつかのホテルやショッピングセンターなどが集まる町のような場所。周遊道路があって無料のリゾートシャトルが巡回しており、どのホテルに泊まっても不便さは感じない。 ショッピングセンター前の芝生広場では、アボリジナルアートを体験できるワークショップが開かれたり、リゾート内無料ガーデンウオークが行われたりといったアクティビティが用意されている。またギャラリー・オブ・セントラルオーストラリアGallery of Central Australia(通称GoCA)には多数のアボリジナルアートが展示してあるほか、先住民の文化、生活についてのパネル展示が行われている。
リゾート内の高級ホテル、セイルズ・イン・ザ・デザート内には日本語で情報が得られる日本語サービスデスクがある。見やすくまとめられた日本語のツアー案内チラシもあるので、手に入れておきたい。
エアーズロック・リゾートのホテル
エアーズロック・リゾート内に5軒のホテルとキャンプ場、ウルル- カタジュタ国立公園脇に最高級サファリリゾートのロンギチュード131°、さらにワタルカ国立公園にキングスキャニオン・リゾートがある。キングスキャニオン・リゾートを除きボヤージズホテルズ&リゾーツの経営となっており、予約はボヤージズ・トラベルセンターVoyages Travel Centre で行う。なおアコーホテルズでも予約を受け付けている。
●ボヤージズ・トラベルセンター
電話番号:1300-134-044
URL: https://www.ayersrockresort.com.au/
日本での予約先:アコーカスタマーサービス 0120-993-130
URL: https://all.accor.com/a/ja.html
FAQ
それぞれの交通機関でのアクセスは?
●飛行機で
カンタス航空とジェットスターがシドニー、メルボルンから、ジェットスターがブリスベンから直航便を運行している。コロナ禍前にあったカンタス航空のケアンズ、アデレード線、ヴァージンオーストラリアのシドニー線は2022 年8 月現在運休中。
●長距離バスで
アリススプリングスからAAT キングスAAT Kings とエミューラン・エクスペリエンスEmu Run Experience がバスを運行している。
●ツアーで
アリススプリングス発数泊のツアーを利用するのが一般的。アドベンチャーツアーズ・オーストラリアAdventureTours Australia、ウェイアウトバック・オーストラリアンサファリWayoutback Australian Safari、エミューラン・エクスペリエンスEmu Run Experience などが人気だ。一般的なパターンは早朝アリススプリングスを出発、途中キャメルファームで休憩、その後エアーズロック・リゾート脇のキャンプ場へ。午後はウルルのベースツアー& サンセット観光。翌朝、ウルルのサンライズ観光とカタジュタでのウオーキングを行い、アリススプリングスへ戻るというものだ。2 泊3日のツアーなら帰路キングスキャニオンへも立ち寄る。
●レンタカーで
アリススプリングスからレンタカー利用も考えられるが、走行距離による追加料金がかかり、かなり割高。片道400km 以上あり、途中ガソリンスタンドは3 軒しかない。スペアタイヤ、十分な飲料水を持参すること。レンタカー利用なら、むしろエアーズロック・リゾート到着後に借りるほうがおすすめだ。
基本情報
筆者
地球の歩き方ウェブ運営チーム
1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』のメディアサイト『地球の歩き方web』を運営しているチームです。世界約50の国と地域、160人以上の国内外の都市のスペシャリスト・特派員が発信する旅の最新情報をお届けします。
【記載内容について】
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