魔女伝説が息づくベネヴェントの魅力とアクセス方法を詳しく解説
サバト川とカローレ川に挟まれた平野の高台に位置するベネヴェント。
その歴史は紀元前8世紀に遡り、古代ローマの時代にはイタリアを南北に結んだアッピア街道の恩恵に浴し、南イタリア屈指の経済都市として栄えた。
当時の名残は今もほぼ完璧に残るトラヤヌス帝の凱旋門やローマ円形劇場に見ることができる。また、中世にはアッピア街道を通り、ロンゴバルド族が南に歩を進め、571年にはこの地に公国を築き、再び繁栄を治めたのだった。2011年にはこのロンゴバルド族の遺品がユネスコの世界遺産として登録された。
リキュールのストレーガ(魔女)やアーモンド入りヌガーのトロンチーノの産地としてもイタリア中に名前を知られた町でもある。
ナポリから日帰りするなら
fs線、EAV社がナポリから列車を運行。
fs線はfs線ナポリ(中央駅)→ベネヴェント fs線 R、R+FA、IC 1時間30分~1時間53分(カゼルタでFA、ICなどに要乗り換え、直通のR=所要1時間46分~1時間53分は平日のみ12:06、13:57、15:57発)
EAV社(ヴェスーヴィオ周遊鉄道)はナポリ中央駅からの発車。ナポリ発7:18、8:21、12:27、13:34、14:40、15:47、16:55、18:06、19:19、20:23、21:23(最新情報はウェブサイトで要確認)。所要約1時間50分、ベネヴェント・アッピア駅Benevento Appia下車。ドゥオーモまで約600m。ベネヴェント・アッピア発4:40、5:05、5:50、6:56、8:04、9:12、12:11、13:17、14:25、16:39、17:47、18:55(最新情報はウェブサイト。いずれも平日のみの運行で、最終便は12/24~12/31
「魔女伝説」と言い伝えが残るベネヴェント
紀元前8世紀サムニウム族の町として始まり、紀元前3世紀後半ローマの植民地となる。ローマを起点とするアッピア旧街道がこの町を通過し港町ブリンディシに到達したことから商業が大繁栄し、凱旋門など数々の壮麗な建築物を残した。571年ロンゴバルド族の最南端の公国として治められていた頃に領土が広がり、現在の町の中心地にある教会や城壁が建設された。1077年小専制君主国になった後、1860年まで教皇の支配下におかれ、その間1266年にイタリア半島におけるアンジュー家と教皇の初めての衝突がこの地で起こった。
また、この町には少し変わった言い伝えがあることでも有名。ダンテの神曲に「ベネヴェントに近き橋詰に、石山の重みに守られて……」という一節がある。この「橋」とはカローレ川に架かる物ではないかといわれ、「石山の重み……」は、13世紀アンジュー家との戦いに破れたシチリア王マンフレディの遺体がこの橋の下に20ヵ月もの間放置されていたことを指している。また、この近くにあったクルミの木の下で悪魔の宴会が催されそこで魔女と悪魔が交わった、という言い伝えから奇妙なベネヴェントの魔女伝説が広がっていったようだ。
おもな見どころ
トラヤヌス帝の凱旋門(Arco di Traiano)
ローマからブリンディシまで開通したアッピア街道の完成を祝って114年から117年にかけて建てられた門。ローマのフォロ・ロマーノのティトゥス帝の凱旋門をモデルにした物という。高さ15.6m、幅8.6mの全面にトラヤヌス帝の業績やその栄光の場面などが刻まれている。夜、ライトアップされた姿も美しい。
ローマ円形劇場(Teatro Romano)
2世紀、ハドリアヌス帝の時代に築かれた、半円状の劇場。直径90mの大きさで1万人を収容した。一部に床モザイクや大理石の床板が残り、現在もコンサートなどで使用されるため、その構造がよく残されている。
- 住所
- Piazza Caio Ponzio Telesino
- 電話番号
- 0824-47213
- 開館時間
- 9:00~日没1時間前
- 定休日
- 1/1、5/1、12/25
- 入場料
- €2
サンタ・ソフィア教会(Santa Sofia)
8世紀後半、ロンゴバルド族のアリキス2世の個人的な礼拝堂として、またロンゴバルド王国の聖所として建てられたもの。複雑なロンゴバルド建築の特色がよく保存されている。内部はさほど広くないが、高いクーポラを支えるようにアーチを描く列柱が中央に六角形、さらに同心で十角形が描かれ、どこか幻惑されるかのような空間だ。正面、
祭壇後ろの壁にはキリストの生涯を描いた絵の断片が残っている。右は福音書の場面、左は聖ザッカリアの生涯といわれている。
- 住所
- Piazza S.Sofia
- 電話番号
- 0824-21206
- 開館時間
- 通年 8:00~12:00、夏季16:30~20:00、冬季16:00~19:00
- ※
- 宗教儀式の際は観光客の入場不可
サンニオ博物館(Museo del Sannio)
サンタ・ソフィア教会の裏手、かつての教会付属修道院を利用し、19世紀に設立された博物館。ベネヴェント周辺から発掘された先史時代からの展示品が並ぶ。紀元前8~3世紀のギリシア植民地時代の色絵壺、イシデ神殿からの彫像、トライアーノ帝と妻の彫像などが続く。展示室の最後にロンゴバルドの遺品を展示。レリーフ彫刻、剣や槍の武具、金、銀、動物の骨から作られたアクセサリー、ロンゴバルド王国とその王女の造幣局が作った金貨などが並ぶ。キオストロは、ロマネスク時代に再建された物だが、47本の柱に1本として同じ物がなく、柱基、柱頭飾りにロンゴバルドらしい彫刻が刻まれている。レリーフは農作業や狩りの様子などで、明るく大らかで骨太なエネルギーに満ちている。
- 住所
- Piazza S.Sofi a
- 電話番号
- 0824-774763
- 開館時間
- 9:00~19:00
- 休館日
- 月曜日
- 入場料
- €4(博物館とキオストロ)キオストロのみ€2
- ※
- 博物館入口はサンタ・ソフィア教会正面右奥
ベネヴェントの味わいを
黄色く甘く香るリキュールのストレーガStregaやこれを使ったチョコレート、特産のヌガーのトロンチーノTroncinoなどがこの地の名物。おみやげにもいい。ストレーガの工場跡にあるEuro Liquori(住所:Corso Garibaldi 95)がおすすめ。
基本情報
筆者
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