2024年9月1日からスカンジナビア航空が新たにスカイチームに仲間入り
北欧のナショナルフラッグキャリア、スカンジナビア航空(SAS)は、先月8月にアメリカ及びスウェーデンでの再建手続きを完了し、2024年8月31日をもってスターアライアンスを脱退し、9月1日よりスカイチームの一員となりました。今後は、デンマーク政府、またエールフランス-KLMグループやCastlelakeなどの投資会社によるコンソーシアムからの出資を受けてSASは新時代を迎えます。
日本時間午前7時にあたるスカンジナビア時間0時過ぎからは、ウェブサイトやアプリのアップデートだけでなく、世界中の空港でもシステムや案内表示などの切り替えが行われたようです。
スカイチームネットワークとスターアライアンスとの関係
航空会社によるアライアンスは主にANAやルフトハンザ、ユナイテッドなどが加盟するスターアライアンス、JALやフィンエアー、アメリカンが加盟するワンワールド、そしてエールフランスやデルタ、そしてSASが新たに加盟したスカイチームがあります。SASはスターアライアンスの創立メンバーでもあり、そのエアラインがアライアンスを抜け、新規に他のアライアンスに入るのは航空史上でも初めての出来事です。昨年10月に出資先が決定した際、エールフランス-KLMグループがスカイチームであるため、今回のようなアライアンス移籍が実現することとなりました。
SASは20番目のスカイチームメンバーとなり、エアーフランスやKLMオランダ、ヴァージン・アトランティック、デルタ、大韓航空などスカイチームの航空会社と提携していきます。すでに各航空会社を利用したフライトもSASウェブサイト上で予約が可能となっています。特に、SASは世界最北に位置するノルウェー・スバールバルのロングイェールビーンに就航しており、またスカイチームのアルゼンチン航空は世界最南端のアルゼンチン・フエゴのウシュアイアに就航しているため、フライトネットワークがさらに広がることとなります。
一方で、スターアライアンスメンバーの一部エアラインとはジョイントベンチャー、コードシェア、インターライン契約やパートナー契約を通して今後も良好な関係を築いていくようです。例えば、シンガポール航空とはコペンハーゲン-シンガポール間のシンガポール航空によるフライトは共同運航を継続し、それ以外のシンガポール運航便でもユーロボーナスにおいてフライトポイントを貯めることができます。またSASが運航していない路線はインターラインに則って、スターアライアンス加盟航空会社フライトを利用する場合もあります。そして例えばフランクフルト空港ではルフトハンザラウンジ、チューリッヒ空港ではスイス航空ラウンジの利用が今後も可能となっています。
日本国内移動
日本国内路線も例外ではありません。現在スカイチームには日本の航空会社は加盟していないため、スターアライアンスメンバーであるANAとコードシェアやインターラインを継続していきます。スカンジナビア内と日本国内間の移動は1つの予約番号で可能なままです。予約検索によると、国内線への乗り継ぎで、羽田と札幌(CTS)、名古屋・中部(NGO)、大阪・伊丹(ITM)、福岡(FUK)間の一部ではSK便名が付与された、いわゆるANA運航によるコードシェア便も利用できます。また以前まではSASウェブサイトで不可能だった日本国内のその他の空港を発着するフライトを含めたフライト予約も現在は可能となっています。例えば、以前までは電話でしか受け付けていなかったストックホルム・アーランダと小松を往復するフライトの予約をSASウェブサイト上でもできるようになりました。
SASは現在デンマーク・コペンハーゲンと東京・羽田間を週4往復で運航(10月28日から翌年3月30日までの冬期スケジュールの間は週3往復予定)しています。また、コペンハーゲン-中国・上海便を利用して、そこからスカイチームの中国東方航空を利用して日本国内に戻ってくるという選択肢もあります。いずれにしても、SASではフライト中からスカンジナビアを体験できるため、ぜひ北欧、そしてその他ヨーロッパへの旅行の際はSASを利用してみてください。
注目ポイント
今後資金投入が行われることから、空港や機内でのサービス向上、またユーロボーナスのベネフィットの変化があるかもしれません。数年以内にはA3502機をはじめとした機材を積極的に追加していきます。それによる新規路線開設であったり、SkyTeam特別塗装機材の導入がいつ行われるのか気になるところです。また、今回19.9%の株式を取得するエールフランス-KLMグループは2年後にその株式を20%以上取得できる権利があります。そのため、SASが将来的にはエールフランス-KLMグループの傘下になるかも注目すべき点です。
かつてはスターアライアンス創設、フライト予約システム「アマデウス」発起、タイ国際航空設立、初の北極ルート開設、ホテル経営など先進的なことに取り組んできたSASが、またその輝きを取り戻していくことを期待しましょう。
筆者
スウェーデン特派員
たってぃ
2017年スウェーデンに移住。皆さんに読み込んでいただけるようなブログを目指してストックホルムの旬や”瞬”をお届けしていきます。
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