パリのマレ地区でへラルボニーが初の海外展示会、愛媛シルクとのコラボ・スカーフを紹介
国内外の主に知的障害のある作家の描くアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開しているへラルボニーが、海外初の展示会「Artistes et HERALBONY」をパリ市内マレ地区のアートギャラリー「クリスチャン・バースト」で、9月24日から10月1日まで開催しています。
パリで10人の作家のシルクサテンスカーフを展示
今回の展示会では、日本からパリへ運んだ一部作家の絵画と共に、9名の作家によるデザインがプリントされたシルクサテンスカーフ10点を展示。「異彩アート」の輝きを存分に堪能できる催しです。
シルクはへラルボニーと愛媛県のユナイテッドシルク社との協業商品。これまでにへラルボニーがシルクサテンスカーフとして用いてきた生地と比べて、厚みのある糸・生地を採用し、プリントされた作品の魅力がより引き立つ素材となっています。ユナイテッドシルク社は、社会福祉法人・来島会との協業によって運営される会社。加工過程の一部を障害のある人々の手作業によりおこなっています。
展示会初日には、へラルボニーのCo-CEOである松田崇弥さん、HERALBONY EUROPEのCEOである忍岡真理恵さん、同CGOの小林恵さんが挨拶しました。
松田さんは「これから世界中の作家との連携が始まっていく。普通じゃないということは可能性だということを体現していきたい」と話し、忍岡さんは「パリからヨーロッパ、そして世界へと事業を展開していく。企業とのコラボレーションと自社ブランドの2つの軸をパリでおこないたい」と今後の事業展開について述べました。小林さんは「さまざまな国の福祉施設を視察・訪問した時に、こんなに素晴らしい作家と作品がこれだけあるということに、すごくワクワクした」とヨーロッパでの可能性を語りました。
へラルボニーとはどのような会社か?
へラルボニーとは、「異彩を、放て。」をミッションに、主に知的障害のある作家による2000点以上のアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開している会社です。正当なロイヤリティを作家へ支払う仕組みを構築して、商品や空間の企画プロデュースなどさまざまな形で「異彩」を社会に送り届けることで、「障害」のイメージを変えることを目指しています。
同社は2024年5月、ルイ・ヴィトンなどを傘下に持つLVMHが設立した革新的なスタートアップを評価する「LVMH Innovation Award 2024」において、日本企業として初めてのファイナリスト18社に。「Employee Experience, Diversity & Inclusion」のカテゴリ賞を受賞しています。
2024年7月にはパリに子会社「HERALBONY EUROPE」を設立。同9月からはパリ市内にある世界最大級のスタートアップ集積施設「Station F」に拠点を設置して、BtoB事業であるライセンスビジネスを主軸としたヨーロッパ現地企業との協業や、現地の福祉施設などを通じた海外アーティストとの新規契約締結に取り組んでいます。
ギャラリー・クリスチャン・バースト(Galerie Christian Berst)
- 住所
- 3-5 Pass. des Gravilliers 75003
- 期間
- 2024年9月24日〜10月1日(10:00〜18:00)
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
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