アカデミア美術館 (ヴェネツィア)

アカデミア美術館は、14～18世紀のヴェネツィア派絵画の集大成ともいえる美術館。題材のなかにもヴェネツィアを取り上げた物が多いので、自分が今見てきた物とさして変わらぬいにしえの風景に出合えるという不思議な感慨に襲われるだろう。また絵画から当時の時代風俗がうかがえるのも興味深い。大きくて古いこの建物にはかつて、教会、修道院、同信組合などがおかれていた。ヴェネツィア派を語るとき、アカデミア美術館を欠くことはできない。アカデミア美術館の前身は、1750年に創立された美術学校で、ティエポロが校長を務めた時期もあり、彫刻家カノーヴァもここで学んだ。1797年、ヴェネツィア共和国崩壊後、ナポレオン統治下の市政府は、ここに占領政策で閉鎖されたスクオーラ（同信組合）、教会などからの絵画を集めた。1807年学校を改め、ここが絵画の展示場となった。その後、ヴェネツィアがイタリア王国に加盟したあとは、ヴェネツィア絵画の収集を主としてきた。この時代から現在まで寄贈と収集によって、約500年のヴェネツィア派絵画の集大成の場となってきたのだ。詩情あふれる光と影が交錯するヴェネツィア派の絵画は、町の風景と重なって旅人の心を引きつけてやまない。