キーワードで検索
毎年、この時期になるとピエモンテ州のあちらこちらでお目にかかる郷土料理があります。それは、Bagna Cauda (バーニャカウダ) !
日本で、バーニャカウダといえば、まだまだアンティパスト(前菜)であるというイメージが強いということを先日、ピエモンテ州のレストランでもご活躍されたシェフに伺いました。こちら本場では、バーニャカウダがメインとなるお祭り BAGNA CAUDA DAY (バーニャカウダディ)が開催され、毎年満員御礼になるほど、皆に愛されるメインとなるべき伝統料理なのです。
今年からは、トリノにあるイータリー本店とのコラボレーションも実現し、バーニャカウダのお料理教室や、館内のレストランにおいては、期間限定のバーニャカウダが振舞われ、そのほかにもスローフードに関連した様々なイベントが行われました。
バーニャカウダの材料は、にんにく、アンチョビそしてオリーブオイル。これが基本のバーニャカウダとなります。そこで、バーニャカウダにまつわるちょっとした昔話をお伝えしましょう。
昔は、アンチョビやオリーブオイルは、海沿いのリグーリア州や南仏から運ばれていました。現在はピエモンテ州にもオリーブオイルの生産農家もありますが、昔からのヘーゼルナッツの産地であるピエモンテ州ではバーニャカウダを作るために、オリーブオイル以外にヘーゼルナッツやクルミオイルを混ぜていたと文献に残っているのです。地産地消の原点、理に適っていますよね。
チーズフォンデュやチョコレートフォンデュのように、テッラコッタ製の陶器を使用し、熱々のバーニャカウダを加え、冷めないように下からキャンドルの炎で温めます。そこへ好みの野菜、肉をつけて頂きます。基本的には、生野菜に温野菜。そして、トリッパやこの土地ならではの生ソーセージが用意されるところもあります。地元産 土着品種の赤ワイン バルベーラ ダスティ と共にいただきます。
バーニャカウダにディップする野菜は、もちろん旬の野菜が主役です!その中でもこの土地ならではの野菜があります。それは、スローフード協会の保護食品 プレシディオにも認定されている ニッツァモンフェッラートのカルド ゴッボ 。セロリのような風貌ですが、カルチョーフィ(アーティチョーク)の仲間です。それゆえ、同様に灰汁が強く苦みがあります。カルドは、一般的には火を通して食べる野菜なのですが、ニッツア モンフェッラート産のカルド ゴッボはひと手間かかっており、生でも食べられるのが自慢です。生育中に、育ち盛りのカルドに土を覆い、日光を遮断します。そうすることにより、白くそして柔らかくなるのです。土をかぶせるまえに少し曲げてから埋めるので猫背という意味のGobbo(ゴッボ)に仕上がります。変色しやすいですので、酸性のもので色止めしましょう!
バーニャカウダソースは、熱々を継ぎたしてもらい思う存分食べましょう!
一通りの野菜、(肉類)をバーニャカウダにディップし、お腹がいっぱいになれば卵の登場です!
いい具合に煮詰まってきたソースへ生卵を落とします。好みの硬さになればバーニャカウダと混ぜ合わせ、野菜やパンにつけていただきましょう。
“ヘルシーで栄養価も高い バーニャカウダを囲み、皆で団らんの時を楽しむ。”
何百年も前から食されているピエモンテ州で生まれた農民料理のバーニャカウダが、現代社会に相応しい一品だということでも注目を浴びています。世紀を超え、伝承されるには訳があるのです。
そんな本場のバーニャカウダを食べに秋冬のピエモンテ州へどうぞお越しくださいませ!