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【ニューヨーク 旅の最新事情】コロナ収束に向かい、観光客が急増する街を在住者がレポート

青山 沙羅

青山 沙羅

アメリカ・ニューヨーク特派員

更新日
2021年7月28日
公開日
2021年7月28日
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観光客がマスクなしでそぞろ歩く、NYCセントラルパークモール(並木道)

2021年5月、ニューヨーク州内で18歳以上のワクチン接種率が7割(1回目のみ済ませた人を含めたCDC 米国疾病予防管理センターによる統計数)を超え、陽性率が0.36%(2021年6月23日時点の週平均)減少。クオモニューヨーク州知事は、2021年3月7日に発令した非常事態宣言を、2021年6月24日で終了すると発表しました。そして7月、商業店舗やレストランなどの飲食店の営業時間や定員数の規制は解除され、経済再開が始まっています。

本記事では、コロナ収束へ向けて再開の道をたどるニューヨークについて、ニューヨーク市在住の筆者がレポートします。

ニューヨークにおけるワクチン接種率は

NYCワクチンバス2021年6月20日

2021年7月12日のデータでは、NYCを含むニューヨーク州全体で18歳以上のワクチン接種率は73.3%(1回目のみ済ませた人を含めたCDC 米国疾病予防管理センターによる統計数)。

アメリカ全体では、67.7%(1回目のみ済ませた人を含めたCDC 米国疾病予防管理センターによる統計数)ですから、ニューヨークの接種率は高いといえるでしょう。

18歳以上の7割以上が、少なくとも1回はワクチン接種を済ませたニューヨークでは、接種会場はガラガラで待ち時間なく接種可能。接種会場は、博物館や動物園、地下鉄駅構内、ヤンキースやメッツの公式野球場、有名観光地でのワクチンバスなど多岐にわたります。ちなみに、ワクチン接種も感染検査も、ニューヨークでは「無料」です。

ワクチンツアーで観光誘致をするニューヨーク

(C)NYCDepartmentofHealthandMentalHygienehttps://www.facebook.com/nychealth

世界でも、ワクチン接種率のトップクラスを行くニューヨーク。コロナ禍により激減した観光客を呼び戻すべく、「ニューヨークでワクチン接種をして、健康を取り戻そう」と、2021年5月からワクチンツアーのキャンペーン中。観光都市ニューヨークを復興させるための大胆な観光客誘致で、「観光客に寛大」「安全な街」をアピール。ワクチン接種目的の旅行客が増加しており、ホテルやAirbnbなどの宿泊業、レストランなどの飲食業は増収を期待しています。

【マスクの着用義務は】

2021年5月19日 ニューヨークでは、CDC(米国疾病予防管理センター)のガイダンス変更にともない、「ワクチン接種完了者」は、「屋外でのマスクの着用」および「6フィートの距離の確保」が不要に。ワクチンを接種していない人は、引き続き、公共の場においてマスクを着用する必要があります。

公共交通機関、医療機関などではワクチン接種有無にかかわらずマスク着用義務があり、オフィス、フィットネスジム、ヘアサロンや商業店舗などは各店の任意判断となりました。筆者が見るところ、ソーホーやイーストビレッジ、セントラルパーク、タイムズ・スクエアなど観光客の多いエリアはマスク着用率が低い傾向にありますが、一般住民が暮らす住宅地では屋外であってもおよそ90%がマスクを着用しています。

ニューヨーカーの足地下鉄やバスなど公共交通機関は

NYC地下鉄内の様子2021年7月7日

2021年7月現在、地下鉄やバスなど公共交通機関内において、利用者にはマスク着用の義務があります。乗車率は、コロナ禍以前の8割程度まで戻った印象です。
経済再開により、デブラシオニューヨーク市長はニューヨーク市職員の勤務形態を在宅勤務から庁舎への出勤に切り替え。公立学校は、夏休み明け(9月第1月曜日のレイバーデイが、夏休み最後の祝日)の新学期から通学再開予定。一般企業なども、9月頃から出社再開が予想され、公共交通機関は混み合いそうです。

自宅待機が求められ乗客がいないNYC地下鉄内の様子2020年5月22日

昨年、ニューヨーク州、ニューヨーク市で次々と非常事態宣言が発令され自宅待機が求められてから、地下鉄の利用客は2020年4月上旬で平常時の92%まで減少。“眠らない街”ニューヨークの地下鉄は、深夜1:00から5:00まで消毒のため運行を休止。ホームも車両内もガランとした地下鉄は、今まで誰も見たことがない不気味な光景でした。2021年5月17日より、24時間運行を再開しています。

観光客が戻ってきたニューヨーク

観光客を待つ観光馬車NYCセントラルパーク2021年5月23日

飲食店や商業店舗の営業時間や入場定員数の規制がなくなり、本格的な経済再開を目指すニューヨーク。ワクチンツアーとの相乗効果もあり、9月のレイバーデイ(9月第1月曜日 夏休み最後の祝日)までに、1000万人の観光客を予想しているそうです。

ワクチン接種が進んだため、アメリカは急激に旅行ブームが復活。アメリカの運輸保安庁(TSA)は、2021年7月1日に1日の空港の保安検査通過人数が2019年同日の通過者数を上回ったことを発表しました。コロナ禍以前より旅行者数が増えたというのですから、アメリカ人の旅行熱がかなり高まっていることがわかります。

規制が解除され、食事を楽しむニューヨーカー

地ビールを楽しむニューヨーカーNYCロングアイランドシティーブリュワリー2021年6月26日

店内飲食の人数制限が解除され、友人や家族と食事を楽しむニューヨーカーたち。コロナ禍で店内飲食が禁止されたことにより2020年6月22日の経済再開第2段階から特別認可された、歩道や車道に作られたアウトドア・ダイニング(屋外席)は現在も人気。もちろん、気温の高い日にはクーラーの効いた涼しい店内に腰を落ち着ける人が多いです。

コロナ禍で会うことのできなかった友人や家族と心ゆくまで語り合うことが、ニューヨーカーたちの外食の主な目的となっているようです。

観光ツアーの復活

NYCマンハッタンチャイナタウンで観光ツアー2021年7月7日

2021年5月前まで観光客の姿がなく、レストランが閉店し、ガラガラだったマンハッタンのチャイナタウン。最近になってようやく観光ツアーが再開されました。旗を持ったツアーコンダクターは、バンダナで鼻と口元を覆って参加者を案内しています。

NYCマンハッタンチャイナタウン観光ツアーの参加者2021年7月

一方で、ツアー参加者のほとんどはマスクをしていません。
ニュースで「マスクから解放されたニューヨーカー」などと報道されていることがありますが、それはタイムズ・スクエアやセントラルパークなどにいる観光客を指している場合がほとんどで、一般住民はまだマスクを着用しています。ニューヨーカーは2020年に世界最大の感染都市となったこの街で恐怖を味わったこと、感染力の強いデルタ株についても危惧していることから、油断していないのです。報道されているニューヨークや、観光客が思っているニューヨークと、一般住民が感じているニューヨークにはそのような温度差があります。

【ニューヨーク市の治安について】

1. アジア人への暴行・傷害事件(アンチアジアのヘイトクライム)
2. ユスリ、たかりに近いしつこさのホームレス(薬物依存者が多く、精神異常をきたしている場合も)
3. 倍増する拳銃発砲事件。ニューヨーク州知事による銃暴力緊急事態宣言(州内の銃暴力による死者は、新型コロナウイルスによる死者よりも多い)発令

https://www.cnn.co.jp/usa/35173523.html

など、現在のニューヨーク市は治安がよいとは言えません。現地住民でさえ、外出時や地下鉄乗車の際は緊張しています。
日本の皆さんがニューヨークへ旅行にいらっしゃるのはまだ先のことかもしれませんが、渡航の際はインターネットなどで最新の治安情報を収集しましょう。ニューヨーク市警と日々連携をもつ、在ニューヨーク日本国総領事館の「ニューヨーク市の治安について」にも、目を通されることをおすすめします。

■ニューヨーク市の治安について 在ニューヨーク日本国総領事館
・URL: https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/01.html

[All Photos by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission.

※当記事は、2021年7月13日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

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