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世界中の旅好きを魅了する観光資源が豊富なイタリアですが、まだ日本から自由に旅行で訪れることができる状況ではありません。2022年1月より、新型コロナウイルス感染症の変異株、オミクロン株がイタリアでも急速に拡大を見せ始めています。昨年の秋頃より、少しずつローマを訪れる欧州各国を中心とする観光客も増えて来ましたが、年が明けてからは、またイタリアは以前のように観光スポットに人が少ない寂しい状況に逆戻りした感があります。今回はローマの今の様子について、イタリアの公認観光通訳としても活動する地球の歩き方 ローマWeb特派員の阿部がレポートします。
2月に入り、ローマは1年の中で最も寒い季節になりました。とは言っても、ここ毎日(2月上旬)の日中の気温は最高で17度くらいあり、地中海性気候で冬が温暖なローマらしい過ごしやすい気候となっています。
ローマの冬は、夏に比べると訪れる観光客も少ないのですが、現在はコロナ禍でますます街を歩く人が減っています。訪れる人が少ない冬場は、春から秋の観光シーズンは人で混みあっているような人気の観光スポットでもすんなりと入場でき、ゆったりと見学することができます。
例えば、冬におすすめの訪問場所として、古代ローマの遺跡「フォロ・ロマーノ」があります。こちらのお写真のように、冬場は訪れる人がとても少なくなっています。フォロ・ロマーノなどの遺跡は、日陰が少ないため、夏は暑いローマは歩くのも大変です。乾燥した夏には、土ぼこりが舞うこともしばしばありますので、冬に湿度が高くなるローマは観光のしやすいスポットともいえます。ローマの冬は比較的温暖ですので、たくさん歩いているうちに身体も温まることでしょう。
また、ローマにはたくさんの美術館・博物館があります。有名なバチカン博物館や、ローマ市営のカピトリーニ美術館などは、夏休みのシーズンはとても入場者が増えますので、筆者は個人的にゆっくり見たいと思う場合は、1~2月に行くことにしています。これらの特に大きく有名な施設は、ほぼ1年中入場者で混んでいると言えますが、それでも冬は夏に比べると人も少なく、内部も回りやすくなっています。
現在はコロナウイルスの感染拡大防止のため、どの施設も一度にたくさんの入場者を入れないようにしています。そのこともあり、美術館・博物館のお部屋は混雑をせず、より快適になっている状態です。
ローマには、美術・芸術作品があふれている美しい教会も多くあります。聖堂を訪れる観光客も、冬場は激減しています。それを知ってか、ローマの有名な教会を訪れるイタリア国内からの観光客や巡礼者の団体も見られます。大聖堂には、トイレもあり、気温の低い冬の日でも安心して訪れることのできるスポットです。
伝統的にイタリアでは、クリスマスの期間はプレゼピオというキリスト降誕の場面を人形で再現した模型が飾られます。教会にもよりますが、ローマでは1月いっぱいは片付けずに飾ったままにしてあるところも多いため、地元民のプレゼピオ巡りの楽しみにもなっています。筆者も、ひと冬でおおよそ50の聖堂のプレゼピオを見学しに行った年があります。
教会に関わるスタッフが手作りをしたジオラマは、ひとつひとつに個性があり、大きいものから小さいものまで、また水車が動き本物の川が流れているリアルなものから登場人物や動物がアニメチックなかわいらしいものまであり、温かみを感じることができます。
現在のイタリアのコロナウイルス感染症の状況ですが、2022年1月21日の首相令により、2022年2月1日から3月31日までは、イタリア全土にて、スーパーグリーンパス(ワクチン接種証明および治癒証明のCOVID-19グリーン証明書。つまりはワクチンの接種者のみ取得できるもの。PCR検査での陰性証明書では申請はできない)が、ほぼすべての機関の入場に必要となりました。
スーパーグリーンパスの所持なしにアクセスできるのは、4分野(食料品と生活必需品、保健、安全、司法)の中で規定により定められたもののみです。例えば、スーパーマーケットなどの食料品を扱うお店や、保健衛生用品を売る薬局などは、スーパーグリーンパスを所持していなくても利用することができます。スーパーグリーンパスは、“ワクチンの2回接種済み”と同じ意味ですので、未接種者は、イタリア国内の博物館、美術館、遺跡などの観光施設には入場することができません。
2022年2月4日には、新たな緊急政令第5号が官報に掲載されました。こちらでは、スーパーグリーンパスの有効期限や期限の変更について、そして海外からの入国者の活動・サービスへのアクセス措置等が定められています。本緊急政令は2月5日から有効となっていますが、新型コロナウイルス感染症への政府の対応は、日々刻刻と変化しています。これからイタリア訪問をご予定されている方、ご滞在中の方は、政府や、州知事(地方政府)の発表に十分ご注意下さい。
新型コロナウイルス感染症により、日々人々の社会生活が変化しているイタリアです。目まぐるしく状況が変わるコロナ禍の今、1日1日を大切に暮らして行きたいと思っています。
長く辛い冬でも、いつか必ず春が訪れます。イタリアにも、このコロナ禍をプラスと捉え、前向きに毎日一生懸命頑張っている人が多くいます。日本ほど経済基盤が確固でないイタリア。そんな中、ユーモアを忘れず、明るく全力で挑戦し続ける人々の姿に心を揺さぶられます。
筆者は、皆さんがイタリアのすばらしい観光地やユネスコ世界遺産の数々を見に来てくれることを願っています。
イタリア全土をカバーするガイドブック。人気の五大都市(ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ヴェネツィア、ナポリ)は巻頭にまとめました。魅力あふれるイタリアの地方は州ごとにまとめ、訪ねるべき町々を選び紹介しています。巻頭16ページの特集は年度ごとに新しく取材。新登録の世界遺産をはじめ、旬のディスティネーションや食べ物、日本ではまだ知られていない地域をご紹介。美食の地パルマの食材、人気のワイン プロセッコ、イタリアのパワースポットなど盛りだくさんです。
■地球の歩き方 ガイドブック A09 イタリア 2020年~2021年版
・URL: https://hon.gakken.jp/book/2080127400
※当記事は、2022年2月10日現在のものです
PHOTO:阿部美寿穂、iStock
〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年2月10日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。
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