ビザ?ESTA? パスポートだけでは入国できない国がある。ビザ(査証)の申請と主要なビザ必要国
2023.7.12
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日本人に人気の旅行先タイ。エメラルドグリーンの海が広がる美しい自然と伝統的な食、文化が味わえる観光立国タイには、世界中から多くの人が訪れます。首都バンコクはいまや東京と並ぶアジアの近代都市に発展し、自然の癒し空間と都会の利便性、刺激の両方を兼ね備えています。その暮らしやすさからタイに移住したいと考える人も少なくありません。旅行の思い出を胸に多くの人が憧れる海外移住ですが、実際にタイでロングステイするにはどうすればいいでしょう。日本人が自国以外の国で長期滞在して暮らすためにはビザが必要です。タイでは滞在目的や期間によって申請するビザの種類が異なります。ビザ申請に必要な条件や費用は様々なので、まずは自分の滞在計画を確認してみましょう。タイでロングステイビザを申請するための要件とビザの種類、費用や必要書類などを徹底解説します。
タイに長期滞在するためのビザは就労や国際結婚などを除いて大きく3つに分類されます。
滞在目的別に紹介します。
タイランドエリートビザはタイ外務省が取り扱うタイ政府の正式なロングステイビザです。
エリートビザは世界でも珍しい独自の方法でタイにロングステイできるもので、年齢制限はなく(Ultimate Privilegeのみ20歳以上)、預金残高などの資金証明の必要もありません。
申請時に支払う費用さえ準備できれば、他のビザに比べて求められる条件が少ないため比較的誰でも申請しやすいビザと言えるでしょう。
仕組みとしては会員権を購入することでタイに長期滞在できるビザを取得し、加えて会員限定の様々な特典が得られるというものです。滞在年数は5年から最長20年まで選べます。個人でビザを取得するだけでなく、家族でまとめて取得することもできます。
必要書類
・パスポート
・申請書
・写真
取得条件
・タイ以外の外国のパスポート所持者
・タイでのオーバーステイ履歴がないこと
・いずれかの国で禁固刑判決を受けていないこと
・破産判決を受けていないこと
種類 | 滞在期間 | 価格 | 人数 | 年会費 | 備考 |
Easy Access | 5年 | 60万バーツ(約228万円) | 1名 | – | – |
Family Excursion | 5年 | 80万バーツ(約304万円) | 2名(夫婦・家族) ※更に追加1名につき30万バーツ(約114万円) | – | – |
Family Alternative | 10年 | 80万バーツ(約304万円) | 1名 ※追加1名につき70万バーツ | – | – |
Privilege Access | 10年 | 100万バーツ(約380万円) | 1名 | – | – |
Superiority Extension | 20年 | 100万バーツ(約380万円) | 1名 | – | – |
Ultimate Privilege | 20年 | 200万バーツ(約760万円) | 1名 | 2万バーツ(約7万6000円) | 転売可能 ※20歳以上 |
※参照:Thailand Elite
ビザ申請から取得までは1ヶ月から3ヶ月。日本の在東京タイ王国大使館、タイ王国大阪総領事館、福岡タイ王国総領事館もしくはタイのスワンナプーム国際空港で受け取ることができます。また、スワンナプーム国際空港では到着時に取得することも可能です。
留学と言えばアメリカやイギリスなど英語圏の国を思い浮かべる人が多いですが、タイの大学の国際学部には英語で授業を行うコースもあります。ファウンデーション(大学進学準備)コース、学士、修士の課程があり、ビジネス、経済、ホスピタリティ、工学、教育学など様々な学位を取得することができます。また、タイ語を学ぶための専門コースを用意している大学もあります。
留学生はノンイミグラント- EDと呼ばれる学生ビザでタイに滞在します。在学中は1年ごとにビザ更新が可能で、申請は日本とタイで2段階に分けて行います。学生ビザ申請に必要な書類を紹介します。
必要書類(申請場所:日本)
・パスポート
・申請書
・写真
・経歴書
・タイの入学許可書/招聘状原本(Confirmation letter / Invitation letter)
・日本の教育機関の英文推薦状原本(Recommendation Letter)
※日本における教育機関がなく個人で申請する場合は英文身元保証書原本(Guarantee Letter)と保証人の署名入りの旅券または運転免許証のコピー
・20歳未満の学生は戸籍謄本と保護者の英文身元保証書原本と保証人の署名入りの旅券または運転免許証のコピー
・私学教育委員会などのタイの所轄省庁申請者名入りの承認状(大学、大学院を含まない私立校の場合)
・航空券(Eチケットまたは航空会社発行の予約確認書のコピー)
申請料シングルエントリー
・9000円
※参照:在東京タイ王国大使館
学生ビザは日本国内のタイ大使館で申請します。
申請時に入学許可証や招聘状が必要なため進学先は招聘状が出せる学校でなくてはいけません。また、正式な教育施設で勉強することを証明するため、申請者の名前が記載された学校発行のレターに、タイの教育庁のスタンプが押された書類の原本が必要です。この書類は学校が作成し用意してくれるので、申請の際は届いた書類の原本を提出するだけでOKです。学校選びの際には、書類を発行してくれるかどうか確認するようにしましょう。
スムーズに申請が進むと2、3日で3ヵ月間有効なビザが発行されます。その後タイ入国後にタイ国内で滞在延長手続きを行うことで1年滞在することが可能になります。
タイ入国後の滞在延長で必要な書類を紹介します。耳慣れない項目もあると思いますので、以下で説明します。
入国後の滞在延長申請で必要な書類(申請場所:タイ)
・パスポート
・TM6
・TM2
・TM7
・acknowledgement of penalties for a visa overstay
・賃貸契約書
・TM30(Residence receipt of notification)
・住まいのHouse Registration
・家主のパスポートのコピー
・家主の住居のHouse Registration
※タイでは、入国管理に関係する申請書類をTM●●という通し番号で区別しており、申請するビザによって必要な書類の種類が変わります。
TM6はタイ渡航時に飛行機の中で渡される書類です。入国時にその半券を受け取ります。タイ滞在中はあらゆるビザで必要になりますので、失くさないように大切に保管しておきましょう。
TM2、TM7、acknowledgement of penalties for a visa overstayの書類はイミグレーションでもらい英語で記入して提出します。加えてビザの期限内に日本へ帰国するなど出入国をする場合はTM8と呼ばれるリエントリー申請も必要です。
住居に関する書類は居住地がボーディングスクール(寮)であれば容易に準備できます。上にあげた項目は賃貸物件に住む場合の例となり、家主に用意してもらう書類はTM30、住まいのHouse Registration、家主のパスポートコピー、家主の住居のHouse Registrationです。そのため、家の契約を決める前には、ビザ取得のための書類を提供してもらえるかよく確認しておきましょう。TM30は居住開始30日以内に家主から所轄イミグレーションに申請してもらいます。
タイ入国後の延長手続きは、例えば入国日が7月15日の場合、滞在期限は90日後の10月13日までとなり延長は30日前の9月14日から行えます。それ以前には申請できないので入国後60日の間に必要書類を揃えておくようにしましょう。
※ノンイミグラントEDビザの対象には、学校教育以外の施設(塾)は含まれません。
タイでロングステイする方法のひとつにノンイミグラント – Oビザと呼ばれるロングステイビザがあります。Oビザは滞在目的の違うビザが複数あり、ビザの種類により必要書類が異なります。
Oビザは大きくわけて5種類8区分に分類されます。
代表的なものでタイ人の配偶者と扶養家族、タイで就労する外国人の配偶者と扶養家族のためのOビザがあります。駐在員の家族やタイ人と結婚した方など日本人の申請者が多くいるため、Oビザと言えばこちらをイメージする人も多いかもしれません。
そしてもうひとつ代表的なものが、いわゆるリタイヤメントビザと呼ばれるOビザ。他に、治療のためにタイに滞在する人のOビザ、ボランティア活動をする人のOビザ、そして未成年の学生の保護者のOビザがあります。
始めに、リタイヤメントでタイに滞在するためのOビザについて解説します。
取得条件
・申請時に満50歳以上であること
・日本国籍者もしくは日本で永住権を持つこと
・タイ王国の入国禁止者リストに入っていないこと
・タイ王国の治安を脅かすような犯罪歴がないこと
・健康面で不安がないこと
必要書類
・パスポート
・申請書
・写真
・経歴書
・航空券(Eチケットまたは航空会社の予約確認書)
・金融証明書(詳細は後述)
・英文の無犯罪証明書
・英文の健康診断書
・医療保険証
・医療保険加入証明書
注意事項
・タイ王国での就労禁止
・ビザの有効期限は発行日から1年間で滞在許可は入国日から1年間
・滞在許可の延長申請はタイで1回のみ1年
申請料(マルチプルエントリー)
・2万2000円
※参照:在東京タイ王国大使館
ノンイミグラントO-Aの金融証明には、以下の3つの条件のうち1つを満たしている必要があります。1つ目は、銀行預金の残高で80万バーツ(約304万円)以上を証明すること、2つ目は年金受給額が月6万5千バーツ(約24万7000円)以上あることを証明すること、3つ目は銀行残高と年金受給額の合算で80万バーツ(約304万円)に相当する額があることを証明することです。
医療保険証は、タイ国内での治療費用が対象になるもので、かつ保障期間が入国してから1年以上あること(それ以上滞在する場合はその滞在期間も含め保障されていること)が要件です。
次に紹介するノンイミグラントO-Xとの大きな違いは、資産を証明する際の金額がポイントになります。2つ比べて、どちらが自分に向いているか確認してみましょう。
必要書類
・パスポート
・申請書
・写真
・経歴書
・航空券(Eチケットまたは航空会社の予約確認書)
・金融証明書
・英文の無犯罪証明書
・英文の健康診断書
・医療保険証
※医療保険加入内容(補償額や補償期間)が明示されている必要あり
注意事項
・タイ王国で就労禁止
・ビザの有効期限はビザの発行日から5年間有効で滞在許可は入国日から5年間滞在可能
・滞在許可の延長申請は1回のみ、5年
申請料(マルチプルエントリー)
・4万4000円
※参照:在東京タイ王国大使館
ノンイミグラントO-Xビザを申請する場合の金融証明には、日本の金融機関の預金残高ではなくタイの金融機関での預金残高が必要です。残高が300万バーツ(約1140万円)以上あることを証明する、または180万バーツ(約684万円)以上の残高証明に加え、年120万バーツ(約456万円)以上の収入があることを証明することのどちらかで要件を満たします。
医療保険で必要なのは、タイ国内の医療保険会社であること、そして治療費用の保障額が4万バーツ(約15万2000円)以上、入院費用の保障額が40万バーツ(152万円)以上であることです。また、保障期間には滞在期間全てが含まれていなくてはいけません。
近年日本でも教育の多様化が進み子供の進学先としてインターナショナルスクールを選ぶ人が増えています。いまやその選択肢は日本国内にとどまらず、日本からイギリスのボーディングスクールに子供を留学させる有名人が増えたこともあり、選択肢のひとつとして海外の学校を検討する保護者が増えているようです。
タイにはイギリスに本校がある学校直属の姉妹校が複数あります。学生だけでなく保護者もビザを取得することができるので、子供と一緒に暮らしながらイギリストップレベルの教育を受けさせたいと考える親御さんがタイの学校を選んでいるようです。保護者ビザの申請に必要な書類を紹介します。
必要書類(申請場所:日本)
・パスポート
・子供のパスポート
・申請書
・写真
・経歴書
・タイの学校からの招聘状原本(子供が在学する学校).
・日本の教育機関の英文推薦状
・戸籍謄本
・航空券(Eチケット)または航空会社発行の予約確認書のコピー
申請料(シングルエントリー)
・9000円
※参照:在東京タイ王国大使館
学生の保護者のためのOビザは学生本人のノンイミグラント-ED(学生ビザ)に付随するものなので、まず初めに子供のビザを申請し、その取得後にノンイミグラント-O(保護者ビザ)を申請します。基本的な申請書類と住まいに関する書類についてはノンイミグラント-ED(学生ビザ)と同じです。加えてノンイミグラント-Oビザ(未成年の学生の保護者)の場合は、親子関係を証明する書類と資産を証明する書類が必要になります。
必要書類(申請場所:タイ)
・パスポート
・子供のパスポート
・写真
・TM6
・TM2
・TM7
・acknowledgement of penalties for a visa overstay
・Birth Certificate(legalize)
・タイの銀行のレター
・タイの銀行口座の残高証高(50万バーツ(約190万円)を3ヵ月間保持)
・タイの銀行口座の全ページのコピー
・賃貸契約書
・TM30
・住まいのHouse Registration
・家主のサインつきのパスポートコピー
・家主の住居のHouse Registrationサインつき
親子関係を証明するBirth Certificate(出生証明書)は、在タイ日本国大使館で英文書類を取得することができます。その後英文のBirth Certificateが正式なものであることをタイ政府に認証してもらってからイミグレーションに提出します。
次に重要となるのが銀行関係の必要書類です。
このために渡航前にタイの銀行口座を開設して入金しておくか、タイ到着後すぐに口座を開設して入金する必要があります。ビザ申請の際は3ヵ月以上上記金額を口座に保持しておく必要があるので、入金後は引き出さず預けたままにしなくてはいけません。また銀行関係の書類はビザの延長申請当日に発行した書類しか認められないので、申請当日の朝に銀行で書類を出してもらわなくてはいけません。
※上記はシングルエントリーの場合。ビザ取得期限内にタイ出入国をする場合はリエントリーの申請(TM8)も必要です。
ビザ取得と同時にタイでロングステイする際に忘れてはいけないのが90日レポート。
タイに90日以上連続して滞在する外国人は、通称90日レポートと呼ばれる「FORM FOR ALIEN TO NOTIFY OF STAYING LONGER THAN 90 DAYS」をイミグレーションに提出する義務があります。これはビザを取得した人も対象になりますので忘れないようにしましょう。
ビザの申請に必要な書類は住まいのエリアごとに異なる場合があります。申請時に独自のイミグレーションルールで追加書類を求められたり、また時期によっては新たな取得条件が追加されたりすることが度々あります。申請の際は最新の情報に沿って臨機応変に行動し余裕をもって対応することが重要です。
タイでロングステイビザを取得するには滞在目的別に様々な条件がありますが、根気よく準備する忍耐力があれば夢ではありません。憧れの海外移住を実現するためにはビザ要件をクリアすることが第一歩です。滞在目的に沿って準備をすすめてみてください。
TEXT・PHOTO:地球の歩き方特派員 Marina.
監修:地球の歩き方
※1バーツ:3.8円で計算しています。
※こちらの記事は12/1のものです。最新情報は必ず各自でご確認ください。