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“世界一テレビに映るカウントダウン・スポット”タイムズスクエアをニューヨーク在住日本人が案内します
2023.2.1
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ニューヨークを訪れたらぜひ体験したいのが、本場ブロードウェイでの「ミュージカル鑑賞」。世界中からトップクラスのパフォーマー達が集まるニューヨークは、まさにエンターテインメントの最高峰です。ここでしか見ることのできないエキサイティングなミュージカルやパフォーマンスは人々を魅了してやみません。ステージ上で繰り広げられる現実離れした世界観は見る者を圧倒します。まるでそこがニューヨークの街中であることを忘れてしまうほどです。おもわずため息が出そうになるほど作りこまれたステージは、ブロードウェイの舞台を目指してダンスやボイストレーニングのレッスンを積み重ねた演者をはじめ、バックステージで舞台を支えている方たちの努力の賜物です。ニューヨークを旅行される場合はぜひ本場のミュージカルをご鑑賞ください。今回はブロードウェイで見ることができるミュージカルについて、2022年9月現在に公演しているブロードウェイ・ミュージカルの作品や人気のミュージカル、チケットの購入方法、マナー(服装、荷物、飲食)を解説します。お得な情報もありますので、お見逃しのないよう。
目次
「ブロードウェイ」とはニューヨーク市マンハッタンで最も古く有名な大通りのひとつです。ブロードウェイ沿いの一部のエリア(タイムズスクエアやシアター・ディストリクト)は、ブロードウェイの名前をとってアメリカ演劇の中心地として知られています。
マンハッタンにある500席以上の41の商業劇場で上演されているものが、ブロードウェイ・ミュージカルと呼ばれますが、ブロードウェイ沿いにある劇場は3つしかなく、多くの劇場は劇場街(Theater District)と呼ばれる6番街から8番街の間の41丁目から54丁目周辺に点在しています。
ミュージカルは「ブロードウェイ」、「オフ・ブロードウェイ」、「オフオフ・ブロードウェイ」の3つのカテゴリーに分けられ、規模が異なります。
「ブロードウェイ・ミュージカル」は、客席数が500席以上の劇場を指します。出演者や製作スタッフは組合(俳優の労働組合、テレビや演劇などエンターテインメント業界の組合、舞台監督および振付家協会、アメリカ劇作家組合、国際映画劇場労働組合連合、アメリカ音楽家連盟など)に加入する必要があり、労働組合によって賃金が保障されています。また、広告宣伝料は非常に高額です。そのため、ブロードウェイ・ミュージカルのチケットは約135〜350ドル(1枚当たり)と価格が高いです。
公演には億単位の莫大な費用がかかるため、出資者(成功した際に利益を配分する)が必須です。上演できても、「評価が低い」、「人気が出ない」、「口コミが悪い」という理由でチケットが売れず出資者が降りてしまうため、上演が打ち切りになることもあります。ブロードウェイの歴史の中で最も長く続いているミュージカルは1988年初演の「オペラ座の怪人」ですが、1年以上続く作品は10%前後といわれる厳しい世界です。
2022年9月に上演中のブロードウェイ・ミュージカルには、「ハリー・ポッターと呪いの子」、「ライオンキング」、「MJ」、「ハミルトン」などがあります。
ブロードウェイ・ミュージカルの上演リスト
Broadway Shows in New York(日本語)
ブロードウェイ・ミュージカルの興行には莫大な費用がかかり、それに比例してチケットの価格が高くなります。そのため、小規模で実験的な舞台は、「オフ・ブロードウェイ・ミュージカル」として500席以下(100〜499席)のこじんまりとした劇場で行われます。
たとえブロードウェイ(劇場街)にある劇場であっても、客席数、組合労働条件や広告料金などがブロードウェイ・ミュージカルの条件に満たない作品は、オフ・ブロードウェイ扱いになるのです。オフ・ブロードウェイのチケットは約50〜100ドル(1枚当たり)と、ブロードウェイ・ミュージカルに比べると安くなります。過去にオフ・ブロードウェイの「ハミルトン(Hamilton)」、「アベニューQ(Avenue Q)」、「レント(Rent)」、「コーラスライン(Chorus Line)」などは、人気が出てブロードウェイ・ミュージカルに昇格しました。
逆に2013年にトニー賞を受賞した「キンキーブーツ(Kinky Boots )」は、ブロードウェイ・ミュージカルとして人気を博しましたが、2022年7月からの再演はオフ・ブロードウェイ(劇場は42丁目の劇場街にある)で行われました。価格が手頃になったので、ファンにはありがたいかもしれませんね。
オフ・ブロードウェイのロングラン作品は、42年間続き2002年に幕を下ろした「ファンタステックス(The Fantasticks)」です。ライザ・ミネリやグレン・クローズという大物女優も出演しました。
現在(※)上演中のオフ・ブロードウェイ・ミュージカルには、「ブルーマン(Blue Man)」、「ストンプ(Stomp)」、「リトルショップオブホラーズ(Little Shop of Horrors)」などがあります。
※2022年12月時点
オフ・ブロードウェイ・ミュージカルの上演リスト
Off-Broadway Shows
実験的で挑戦的な作品や小規模な作品は、非営利団体によって運営される「オフオフ・ブロードウェイ・ミュージカル」として扱われます。座席数100席未満と、オフ・ブロードウェイ・ミュージカルよりさらに小規模の劇場で、劇場街から離れたエリアのグリニッチビレッジやイーストビレッジなどの小劇場や倉庫、教会、レストラン、バー、コーヒーショップなどで行われます。
オフオフ・ブロードウェイ・ミュージカルでも、ロック・ミュージカルの「ヘアー(Hair)」の成功は有名で、オフオフ・ブロードウェイからオフ・ブロードウェイに、最終的にはブロードウェイに進出しました。オフオフ・ブロードウェイのチケットは無料〜約35ドル(1枚当たり)と手頃なものが多いので、色々な作品を見てみたいという方にはおすすめです。
オフオフ・ブロードウェイ・ミュージカルの上演リスト
Off-Off-Broadway Shows & Tickets
2022年12月時点
現在ブロードウェイで人気のあるミュージカルをいくつかご紹介します。
独特な魔法の世界観が特徴のハリー・ポッター・シリーズ。世界中に作品のファンが数多くいますが、ミュージカル「ハリー・ポッターと呪いの子(Harry Potter and the Cursed Child)」では、「ハリー・ポッターと死の秘宝」から19年後の世界を舞台に物語が展開します。
登場人物は皆大人になり、ハリー・ポッターは既に3人の子供の父親で魔法省に勤務。主人公は次世代の息子に移って、ストーリーが展開します。2018年のトニー賞(アメリカ演劇界で最も権威がある賞)の11部門にノミネートされ、演劇作品賞、演劇監督賞ほか6部門を受賞。劇場はハリー・ポッター仕様に改築されており、総工費はなんと約38億円。随所に手の込んだデザインが施されているので、作品そのものはもちろん建物の外観・内観の隅々までお見逃しなく。ファンの心をくすぐる何かが隠れているかもしれません。夜間はライトアップされ雰囲気も最高、ハリー・ポッターの世界へ引き込まれます。
ニューヨークのミュージカル劇場の舞台に、アフリカの大草原が広がります。「ライオンキング」では,人間が演じているとは思えないような野生動物のリアルな動きはもちろん精巧に作られた人形やマスクなどの小道具も必見! 舞台で使用される小道具はなんと3万7000時間をかけて作られたそうです。
1997年11月ブロードウェイ初演以来、大人も子供も楽しめる完成度の高いミュージカルとしてロングランを続けています。鑑賞後は爽快感でいっぱい! 「ハクナマタタ(なんとかなるさ)」と困難に立ち向かう勇気を貰えます。1998年のトニー賞では、ミュージカル作品賞、演劇装置デザイン賞、衣装デザイン賞など6部門を受賞しています。
キング・オブ・ポップと称されたマイケル・ジャクソンの魅力に浸れるミュージカル「MJ」。1992年のデンジャラス・ワールド・ツアーに焦点を当て、ビート・イットやスリラーなど、マイケルの25曲以上のヒット曲がダンスとともに楽しめます。
コロナ禍により上演が延期となったり、主演の交代があったりしたものの、上演直後の2022年トニー賞で主演男優賞、振り付け賞を含め4部門を受賞しました。
「シカゴ(Chicago)」はブロードウェイの天才振付師ボブ・フォッシーが1996年の初演を手がけ、映画にもなった人気作品です。黒のスタイリッシュな衣装、指先、つま先までこだわった独特なスタイルのダンスは必見! 主役のひとりであるロキシー・ハートは、過去メラニー・グリフィスやブルック・シールズ、「スパイスガールズ」のメラニー・ブラウンなど有名女優が演じています。
25周年を迎えた人気ミュージカルは、ダンスを堪能したい方に最適。1997年トニー賞で主演男優賞、主演女優賞、振り付け賞など6部門を受賞しています。
ブロードウェイの歴史の中で他を寄せ付けないロングランを誇る「オペラ座の怪人」は、1988年初演時にベストミュージカルを含む7つのトニー賞を受賞しました。ミュージカル界の大御所アンドリュー・ロイド・ウェバーの楽曲の素晴らしさと、フランスの小説家ガストン・ルルーのドラマティックなストーリーが秀逸な、ミュージカルの最高峰。シャンデリアが落下する衝撃的なシーン、怪人に誘われ夜のゴンドラを漕ぎ進む幻想的なシーンなど、一生忘れられない非現実の世界にうっとり。気がつけば、あなたも怪人と恋に落ちていることでしょう。
過去に何度も映画化されている作品なので、ミュージカルを見る前に映画でストーリーを予習すればより楽しめるかもしれません。2022年のヒロイン、Emilie Kouatchouはアフリカ系女性として初めてクリスティーン役にキャスティングされました。
見たいミュージカルが決まったら、チケットを購入しましょう! チケット購入方法は複数あります。
ブロードウェイ劇場業界の公式サイトが2018年~19年に行った調査によると、ブロードウェイでショーを見た約60%の人がオンラインでチケットを購入したと答えています。
ニューヨークを訪れる前から予約することができ、希望の席が押さえられる可能性が高いことが魅力です。ただし、人気のミュージカルはすぐに席が埋まってしまうことも少なくないので、絶対見逃したくないミュージカルがある場合はオンラインで早めに予約しましょう。
公式サイトから購入しようとすると、TicketmasterかTelechargeに繋がりますが、Telechargeでは座席からの眺めが実際に確認できて便利です。
当日券を安く買いたい方は、チケッツでの購入がおすすめ。チケッツは当日の公演で売れ残ったチケットを公式に安く販売している、ニューヨークでは有名なディスカウントチケット売り場です。タイムズスクエアでひときわ目を引く巨大な赤い階段の下に販売所があります。
ただし、あくまでも売れ残りのチケットのため、人気ミュージカルのチケット販売はあまり期待できません。取り扱い演目は赤い電子掲示板でチェックが可能、早い者勝ちです。
チケッツの場所については、以下の記事も参考にしてみてください。
くじ運に自信のある方は、ロッタリーに申し込むのもひとつの手です。当たると人気の「アラジン」や「ライオンキング」が30ドル、「MJ」が35ドルという破格値で購入が可能(手数料が5ドル別途でかかります)。
当日券は2枚までと制限がありますが、定価より100ドル以上も安いのですから、運試しに申し込んでみてはいかがですか?
ライオンキング、アラジン、ウィキッド、MJほか:https://lottery.broadwaydirect.com/
オペラ座の怪人:https://phantombroadwaylottery.com/
2020年3月、新型コロナウイルスの流行により非常事態宣言が発出され、ニューヨークのエンターテイメントは突然幕が下りました。劇場街からは人影が消え、かつて誰も見たことがないゴーストタウンのようなニューヨークになったのです。
休眠を経て2021年9月から少しずつ再開し始め、やっとかつての賑わいを取り戻し、街に命が蘇りました。
現在タイムズスクエアでは、世界中から訪れる多くの旅行客向けに無料で様々なイベントが催されています。上記の写真は、「あなたもミュージカル・スターになれる!」というミュージカル入門コースのイベントでした。
最前列には指導してくれるダンサーやリーダーがいて、歌やダンスを真似すればOK。臆せず参加すれば、よい思い出になりますよ!
本場ブロードウェイのミュージカルを見に,ぜひニューヨークを訪れてみましょう。
タイムズスクエアでのイベント:https://www.timessquarenyc.org/tsqlive
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO:Hideyuki Tatebayashi *Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
こちらの記事は2022年12月時点のものです。情報やスケジュールなどは変更になる場合がありますので、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。